むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『八月の光』フォークナー(光文社古典新訳文庫)

2022年09月26日 | 読書
ノーベル賞作家フォークナーの代表作。
赤ちゃんが出来たとたん男に逃げられた娘。
殺人事件を起こし、リンチで死んだ黒人の血を引く男など、新聞の三面記事やワイドショウのネタを組み合わせながら、社会の真理に迫った小説です。
世間は、黒人の血だろうが、殺人事件の犯人だろうが、お構いなしに、社会からはじき出されるべきレッテルを張り、その人間を排除しようとします。
牧師はそれにあがなうことが出来たけれど、殺人者は殺されてしまうまで追い詰められてしまいました。殺人者の男は、黒人の血を引いていると言い張っていただけで、その真実は不明なのです。また、牧師はあることないこと世間の人たちの想像・妄想・憶測で社会から弾かれて暮らしていました。
また、赤ん坊を孕んで捨てられた女は、同情を買いながら逞しく生きて行くことになります。
世間の人たちを動かすのは、その潮流・流れであり、それに乗れるかどうかにかかっているようです。

それとは別に、女を孕ませて逃げた男と、その女に恋してしまい結婚を申し込んで振られ続ける男の対比は、脳科学者の中野信子さんが「男には2種類の遺伝子を持った人がいる」と言っているのにピッタリハマったので苦笑しました。



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