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ハーバード大学で政治哲学の教授を務める著者が、「正義」についての講義を元に語る内容となっています。古今の哲学者が考えてきた正義について解説し、それに対する反論と反論に対する回答を記しながら、より深く正義の内部に迫っていく過程は、迫力がありました。
ベンサムの最大多数の最大幸福(功利主義)からはじまり、リバタリアニズム(自由至上主義)の思想から、本当の平等とは? 自由とはという考察に入っていきます。
個人の資質の不平等性をどう解決するのか、誰が何に値するのか? 所属するコミュニティ・人種、歴史への責任、国家への忠誠など、多種多様な問題が提起され、さらに同性愛・妊娠中絶、政治と宗教など、アメリカ合衆国の社会(全世界ともとれる)の複雑性を感じることができました。
さて、これらの問題は、答えが出るはずもない複雑さを孕んでいますが、政治は、これらを調整し、万人が納得できる道徳・正義の体制を作ろうとしなければなりません。
それは不可能と認めながらも、様々な考え方をぶつけ合い、よりよい社会を作っていくのが政治であると著者は言います。
正義に対して、ここまで深く考えたことがなかったので、楽しんで読むことができました。
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