なんとなくそんな事件があったような気がするが、内容をよく覚えていなかった。
それもそのはず、あまりの内容の酷さに報道規制が敷かれていたのだ。
本を読んで、確かにそんな事件があったような気がするが、理解しがたく、あり得ないと思われる内容なので、フィクションとしても面白くないくらい酷いのだ。記憶に残っていないはずである。
一人の男が、知人らを虐待し7人を死に至らしめ(その中には警察官もいた)た事件である。これだけでも意味不明だ。
その共犯である妻との間に産まれた子供2人が生き延び、その長男の告白をドキュメントしたのが本書である。
子供もいっしょに虐待され、死体を煮て液体にしてペットボトルに詰めて捨てる作業を端から見ていたらしいのだが、よく解っていない。
学校にも通わせてもらえず戸籍もない子が、救出され立ち直っていく流れが解るのだ。
まさにどん底から、立ち直る流れを見ることになるのだが、淡々としていて、それだけに凄みすら感じられる。
どんな逆境からも、立ち上がることができるという勇気を与えられた。