ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

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堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』を読む

2008年03月08日 00時45分17秒 | 
堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書、2008年)を読んだ。

衝撃だった。新自由主義のもと、教育、医療などの暮らしを支えるシステムが縮小され、貧困が広がり、そのもとで、自発的に戦争にかり出されていくシステムが作られていた。その戦争でさえ、民営化され、ビジネスとなっているのだ。貧困に陥った国民の目線で見ると、そこには自由も選択肢もなく、とどまるもゆくも地獄となっている姿がある。

まず、はじめに貧困の広がりと肥満児童の問題が取り上げられ、心をわしづかみにされた。太っているものの実感として、やはり心の貧しさも含めた貧困が身体に表れていると言うことだろう。教育でも、「落ちこぼれ防止法(No Child Left Behind Act)によって、高等学校の生徒の個人情報が軍に合法的に渡され、それが軍隊のリクルートに使われるということも考えさせられるものがあった。
新自由主義の席巻、アメリカナイズされた教育や世界観の広まり(特別支援教育の分野でも)、その行き着く先はどのようなものか。

「「個人情報」を握る国と「民営化された戦争ビジネス」に着手する企業との間で、人間は情報として売り買いされ、「安い労働力」として消費される商品になる。戦死しても名前が出ず数字にすらならない、この顔のない人間達の「仕入れ先」は社会保障削減政策により拡大した貧困層、二極化した社会の下層部だ。たとえ一国内でアレ地球全体でアレ、格差は拡大すればするほど戦争ビジネスを活性化させ、そこから出る利益を増大してくれる」

目次は以下。

プロローグ
第1章 貧困が産みだす肥満国民
第2章 民営化による国内難民と自由化による経済難民
第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々
第4章 出口をふさがれる若者たち
第5章 世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」
エピローグ

ぜひ読んでみてほしい。