伊勢真一監督の新作映画『えんとこの歌 ねたきり歌人・遠藤滋』完成 京都新聞 2019年6月14日づけ
戸井十月『植木等伝 「わかっちゃいるけど、やめられない!」』が興味深い!これは、2007年に小学館より刊行されたものの文庫化されたもの。植木等の父親についての植木の著書のことについては、大学院生時代に生協の書評誌にかいたことがあった。今回は、植木等そのもののである。植木の役柄やその笑いについて、スマートさを巡って大阪と東京の違いを考えたり、高度成長の時代と反権力、それに対する現在の権力にいたる笑い(笑業)・権力にこびる笑い(阿倍首相と吉本の関係など)を思ったり、いろいろ考えるところがあった。それにしても、おおらかな役柄を実はまじめな植木等が演ずるというところがおもしろい。
目次
プロローグ:お呼びでない/第一章:めんどうみたョ(昭和元年~昭和20年)/第二章:だまって俺について来い(昭和20年~昭和32年)/第三章:コツコツやる奴ぁ、ご苦労さん(昭和32年~昭和38年)/第四章:そのつちなんちかな~るだろう(昭和38年~平成19年)/外伝 稲垣二郎かく語りき・谷啓かく語りき・小松正夫かく語りき/エピローグ こりゃシャクだった/解説(津野海太郎)/関連年表
ちょっとやみつきになりそう。青島幸男『わかっちゃいるけど・・・シャボン玉の頃』(文春文庫)や大林信彦『植木等と藤山寛美』(新潮社)などもよんでみたい
保坂正康『続昭和の怪物 七つの謎』をようやく読み終わった。これは、昨年、福岡教育大に集中で行っていたときに読んだものの続編。途中で、新書本が行方不明になり、図書館で借りたが、その日に車の中から購入したものが発見されたという逸話も付け加わった(人生の3分の1は捜し物をしている人間だから)。
内容(目次)は次の通り
三島由紀夫は「自裁死」で何を訴えたのか/近衛文麿はなぜGHQに切り捨てられたか/「農本主義者」橘孝三郎はなぜ5・15事件に参加したか/野村吉三郎は「真珠湾騙し討ち」の犯人だったのか/田中角栄は「自覚せざる社会主義者」だったのか/伊藤昌也哉はなぜ「角栄嫌い」だったのか/後藤田正晴は「護憲に何を託したか」/あとがき
最後の、角栄・伊藤(大平)・後藤田のあたりが興味深かった。