湊かなえの『ユートピア』を読んだ。交通事故で車いす生活をおくる小学生をめぐって、古くからいる住人と新しく入ってきた芸術科の住人とのあいだの心理の表と裏が物語の合間に垣間見られる。ユートピアを夢見て、車いす利用者の支援をするブランドの立ち上げなど善意の中の打算や嫉妬などが描かれて、人間関係が絡み合っていく。湊の作品は、悪意がにじみ出て、後味が悪いので敬遠していたのだが、これもあまり後味は良くない。
単純なというのは、『フォレスト・ガンプ』だ。知的障害だが、才能はあるガンプが、アメリカの一九五〇年代から一九八〇年代を駆け抜ける。アメリカンフットボール、ベトナム戦争への従軍、ベトナム反戦運動、卓球の選手、宇宙飛行士、プロレスラー、チェスをさしたり、ハーモニカを吹いたり、、、。悪意のかけらもなく、アメリカの歴史に巻き込まれていく。映画家されたこともあるが、なぜ、この小説がアメリカで、一九九〇年代半ばに大流行をしたのか、よくわからん。ちなみに、映画の主演は、トム・ハンクス。
最近読んだちょっと対比的な心理小説と行動小説の2冊。