みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

蝉三景

2005年09月02日 | 
季節は夏の終わりで、蝉の声もほとんど聞かれなくなった。朝夕はすっかり秋の気配。

蝉逝きて真空の街に秋流れ入る
(そらみみ)

山登りの時も、蝉の声は印象的だったのだ。

山旅に終わりを告げる蝉の声
(そらみみ)

アルプスの高いところには蝉はいなかった。人里近くまで、だいぶん降りてきて、ふと蝉の声が耳に入る。懐かしい。
今日の日経の春秋では、

やがて死ぬけしきは見えず蝉の声
(芭蕉)

勢い盛んに鳴き続ける蝉、数日後訪れる死のことなど少しも思わずに無心に鳴き続ける蝉と、その命が果てる時を想う芭蕉の構図である。いい句だ。死によって蝉の声(生)の勢いが引き立つ。「見えず」は何にとって見えないのだろう?鳴いている蝉?今わの際の蝉?作者?余韻が残る。
ちょうど、ラベルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が流れていて、この曲は、夏の終わりによく似合う。

アスファルトの強者供の亡骸を せめては土に戻してやろう。
(そらみみ)
コメント
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