笑いながら「わが町は世界の流行から遅れているのう」という。何かと思えば「新型コロナの感染者が出ていないから」。そんな評価は冗談にも口にしない方がいいと止めた。手洗いはじめ感染予防を皆が気をつけているからだろうと話す。口止めはさせたが、ふと、世の中は多くの事柄で採点や順位が付けられている。そんな中で、報道機関の世論調査は注目を集める。
新聞社の電話世論調査を複数回受けた。質問に「はい、いいえ、わからない」で答えさせてその理由を聞かれる。「例示された回答に該当するものがない」と答えると「では、その他ですね」として次の質問に進む。確かに何千という調査対象と応対していては調査は進まないとは思うが、調査側の想いと違う考えこそネタになると思う。
ある上司は説明を求めるとき「その尺度は」という古い言葉を使っていた。尺度は物の寸法を測定するときに用いる具、という意味。長いか短いか、どれだけ過不足か、測ればすぐに分かる。転じて物事を評価・判断するときの基準として使う。日常会話の場合、真正面から基準を論じて判断や評価はしていない。自分の常識や思い付きで会話するのではなかろうか。
そんなことを思った日、引き出しを開けるとどれも世話になった数本の30㌢物差しが入っている。竹製の10㌢刻みに記された分度器状の印が懐かしい。ケースに「サンライズ ¥108」のラベルがついている樹脂製はいつの物だろう。1本は高校時代に製図の授業で使ったものだから60年以上前のものになる。なんの評価にも通じないが、並べてみると懐かしい。わが家には70㌢余の竹製の「鯨尺」がある。いつか書いて残したい。