テレビで何回か見ても『カモネギックス』は苦手で、購入は二の足を踏んでいたが、使命感からカップリング曲を含めて6曲配信で購入した。驚きだが、カップリング曲は粒ぞろいだった。
「過ぎた夏の恋を回想」という、私の大好きなテーマの曲が2曲もある。
『もう裸足にはなれない』と『サングラスと打ち明け話』だ。
2曲とも、『涙の湘南』『ビーチサンダル』『そばかすのキス』『風の行方』『波音のオルゴール』と続いてきたシリーズの延長線上にある曲だ。
『もう裸足にはなれない』。
見延典子の小説『もう頬づえはつかない』、イルカ『もう海には帰れない』、つちやかおり『もう家には帰らない』などの系譜を汲むタイトル。
歌詞中には、AKBグループの夏の歌にいつも使われるアイテム(「波乗り」「かき氷」「サンダル」「日焼け」「海の家」「水着」「監視(員)」「キス」)は、「日焼け」くらいしか使われず、新たなボキャブラリーで勝負している。
歌い出しの「秋が来るのはいつもあっという間」「冬は足音を消して背後に回り」というくだりは、酒井法子『さよならを過ぎて』の「秋は夏をやさしく殺しに来るスパイ」という印象的な擬人化を想起させる。
「何の準備もできず恋に破れる」とは、『恋するフォーチュンクッキー』の「何度目かの失恋の準備」と呼応している。「首筋の陽灼けひりひりしてたのに」は当然『ヒリヒリの花』と呼応。
「ヒールの高い靴」「パンプス」は、夏の歌定番の「ビーチサンダル」を避けて、ひとひねりした小道具。その靴を脱いで裸足になる気にはなれないとは、今は秋だから冷たくて脱げないという表層下に、あの夏のようにリゾート気分にはなれない、つまり恋をしていた華やかな気持ちにはなれないという意味が込められている。
ベースが大暴れするアレンジも格好よく、聴いていて高揚する曲だ。
『サングラスと打ち明け話』。
この曲は、「過ぎた夏の恋を回想」シリーズの『そばかすのキス』のアンサーソングになっていると思う。
冬の海辺で夏の恋を思い出している状況が同じで、明るい曲の雰囲気もどこか似ている。「永遠に熱いと思った」→「永遠より長いような」、「どこかに置き忘れた」→「監視台が立ってたあたりではぐれた」といったフレーズが『そばかすのキス』を連想させる。とすると、「どこかに置き忘れたサングラスと打ち明け話」とは、ライフセーバーの彼が着けていたサングラスと、かき氷が溶けるまで話したお互いの話のことではないかと想像してしまう。
ところで、この歌の彼女は、『もう裸足にはなれない』の彼女と違い、冬なのにパンプスを脱いで「砂が冷たい」などと言っている。『もう裸足にはなれない』の彼女よりは活動的で、失恋の傷も浅いようだ。
この曲のオリジナリティは、最後の「もうこれで気が済んだ」という部分だ。いつまでも過ぎた夏の恋に浸っていないで、また来年の夏、新しい恋をしようという意欲を漲らせている。これは『HA!』の「失恋を癒すには次の恋だ」という世界観に近く、NMB48らしいと言えるだろう。
他のカップリング曲については、また別の記事で。
「過ぎた夏の恋を回想」という、私の大好きなテーマの曲が2曲もある。
『もう裸足にはなれない』と『サングラスと打ち明け話』だ。
2曲とも、『涙の湘南』『ビーチサンダル』『そばかすのキス』『風の行方』『波音のオルゴール』と続いてきたシリーズの延長線上にある曲だ。
『もう裸足にはなれない』。
見延典子の小説『もう頬づえはつかない』、イルカ『もう海には帰れない』、つちやかおり『もう家には帰らない』などの系譜を汲むタイトル。
歌詞中には、AKBグループの夏の歌にいつも使われるアイテム(「波乗り」「かき氷」「サンダル」「日焼け」「海の家」「水着」「監視(員)」「キス」)は、「日焼け」くらいしか使われず、新たなボキャブラリーで勝負している。
歌い出しの「秋が来るのはいつもあっという間」「冬は足音を消して背後に回り」というくだりは、酒井法子『さよならを過ぎて』の「秋は夏をやさしく殺しに来るスパイ」という印象的な擬人化を想起させる。
「何の準備もできず恋に破れる」とは、『恋するフォーチュンクッキー』の「何度目かの失恋の準備」と呼応している。「首筋の陽灼けひりひりしてたのに」は当然『ヒリヒリの花』と呼応。
「ヒールの高い靴」「パンプス」は、夏の歌定番の「ビーチサンダル」を避けて、ひとひねりした小道具。その靴を脱いで裸足になる気にはなれないとは、今は秋だから冷たくて脱げないという表層下に、あの夏のようにリゾート気分にはなれない、つまり恋をしていた華やかな気持ちにはなれないという意味が込められている。
ベースが大暴れするアレンジも格好よく、聴いていて高揚する曲だ。
『サングラスと打ち明け話』。
この曲は、「過ぎた夏の恋を回想」シリーズの『そばかすのキス』のアンサーソングになっていると思う。
冬の海辺で夏の恋を思い出している状況が同じで、明るい曲の雰囲気もどこか似ている。「永遠に熱いと思った」→「永遠より長いような」、「どこかに置き忘れた」→「監視台が立ってたあたりではぐれた」といったフレーズが『そばかすのキス』を連想させる。とすると、「どこかに置き忘れたサングラスと打ち明け話」とは、ライフセーバーの彼が着けていたサングラスと、かき氷が溶けるまで話したお互いの話のことではないかと想像してしまう。
ところで、この歌の彼女は、『もう裸足にはなれない』の彼女と違い、冬なのにパンプスを脱いで「砂が冷たい」などと言っている。『もう裸足にはなれない』の彼女よりは活動的で、失恋の傷も浅いようだ。
この曲のオリジナリティは、最後の「もうこれで気が済んだ」という部分だ。いつまでも過ぎた夏の恋に浸っていないで、また来年の夏、新しい恋をしようという意欲を漲らせている。これは『HA!』の「失恋を癒すには次の恋だ」という世界観に近く、NMB48らしいと言えるだろう。
他のカップリング曲については、また別の記事で。