愛知県が瀬戸市のフェロシルトについて「地元が同意しても封じ込めは拒否すること、さらに、全量撤去以外の方法として管理型処分場を現場に建設して処理する方法も認める」としたことは 6月4日の読売新聞の報道 で引用しました。
ところが、6月7日の朝日新聞は、封じ込めに話を戻そうとするかのような記事。
発端は 瀬戸市議の加藤徳太郎さん の議会質問。
砂防法違反の行為のことは当然として、どうしても漂う石原よりの姿勢。
あなたはどう読み取りますか? (写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
(後日、追記。トラックバックいただいているハラナさんが上記記事を打ち込まれたので、データをいただきました。)
「フェロシルト 地下30メートルに瀬戸の業者 砂防法違反 撤去対象が増加」
石原産業(大阪市)の有害な埋め戻し材「フェロシルト」の撤去問題で、愛知県瀬戸市幡中地区の埋設地では、同市の採掘業八坂鉱山(山本義雄社長)が、砂防法に基づき県から得た深さ13メートルまでの採掘許可を大幅に上回る30メートルまで掘削していたことがわかった。このため、搬入されたフェロシルト量は13万7千トンだったのに土が大量に混じり、石原産業は撤去量を約90万トン~200万トンと推定している。県は当時、職員が現地調査をしたのに砂防法違反を見抜けなかったとして、経過を詳しく調べる。
撤去対象量の増加などを受けて同社は5月、「撤去よりも、費用の安くて済む現地での封じ込めが妥当」とし、県の撤去命令の取り消しを求める裁判を名古屋地裁に起こしている。
同地区は雨などで災害の起きる可能性があるとして開発行為が規制される砂防法の指定地域。
県や市によると、八坂鉱山は地権者の名古屋鉄道の了解を得た上で00年、現地の4.9ヘクタールを深さ10メートルまで掘削する許可を取得。01年に4.5ヘクタールで13メートルに変更され、00年10月から02年10月まで掘削工事をした。
だが、県の撤去命令を受けて石原産業が今年2月までにボーリング調査をしたところ、最大30メートルまで掘削されていたことがわかった。同社は、フェロシルトやフェロシルト混じりの土砂は計90万トンと試算。さらに周囲の土だけの層も撤去対象になるとみており、総計200万トンにのぼると推計している。
撤去費用は1トン当たり約3万円。これまで同社じゃ撤去量を4府県各地で計100万トン余とし、計326億円を計上した。同地区の撤去対象量が200万トンとすれば、600億円かかる計算だ。炭野泰男・経営企画本部長は「200万トンの撤去は難しい。巨額の費用がかかっては株主の理解が得られない」という。
この工事を巡っては02年1月、運搬トラックの粉塵について住民から苦情を受けた市が県尾張建設事務所に連絡、県も現地を調べた。だが、測量をせず目視のみだったため、違反を見抜けなかったらしい。県の稲垣隆司副知事は「今春からパトロールを強化するなど監視体制を見直した。当時どう対応したのか詳しく調べたい」と話す。
八坂鉱山の山本伸一専務は「県から砂防法違反だと指摘されてこなかったから違反したと思っていない」と話している。(杉本裕明)
● 中日
6月8日の中日新聞は、瀬戸市議会の一般質問のこととして、これを追いかけました。
ここには、においはありません。
ところで、石原産業社長は久しぶりに三重県を訪問。
下記の記事をまとめると、石原産業がいう各県の撤去の見込みは次のようになります。
○三重県
亀山市辺法寺地区が2008年1月末
いなべ市藤原地区は来年6月末
○愛知県
瀬戸市幡中町(撤去命令の取消を求めて提訴中)以外は今年11月
○岐阜県内は今年7月
○京都府は来年6月
● フェロシルト撤去大幅にずれ込む 石原産業が県に謝罪 6月10日 中日
何度も頭を下げる社長に、複雑な表情を浮かべる県の幹部-。石原産業が製造した土壌埋め戻し材「フェロシルト」の撤去計画が大幅にずれ込むことになった。9日に県庁を訪れた田村藤夫社長は「心からおわび申し上げたい」と謝罪を繰り返し、修正計画を提出した。油家正・県環境森林部長は「(計画提出が)もう一度ということがないように」と険しい表情でくぎを刺した。
田村社長が来庁するのは昨年11月の県議会の参考人招致以来、7カ月ぶり。午後3時、安藤正義常務とともに県庁8階の県環境森林部で油家部長、松林万行理事に相対すると「フェロシルト回収の件が予定通り進まず、ご迷惑をお掛けしている」と立ち上がって頭を下げた。
油家部長は「地元住民や自治体の気持ちを考えると、非常に遺憾で残念。撤去完了が2007年度にまたがる亀山市辺法寺地区といなべ市藤原地区は極力、前倒しの努力を」と要請した。続いての会見で、環境森林部の岡本道和参事は「本当は短縮してほしいのが本音」と漏らした。
田村社長は会見でも謝罪を繰り返したが、フェロシルトをめぐる不正は元副工場長の独断だと強調。ただ、産業廃棄物の認識については「有害物が入っているとの指摘を受けた現状では、認識を変えないといけないのかなと思う」と述べた。
修正計画によると、フェロシルトが埋設された県内7地区の撤去予定量は、当初の36万1000トンから49万4000トンに増えた。既に撤去を終えたのは四日市市山田地区と桑名市長島地区だけで、撤去量も全体で9万4000トンにとどまっている。
撤去完了予定は亀山市辺法寺地区が2008年1月末で、当初計画より1年5カ月遅れる。いなべ市藤原地区は来年6月末で、11カ月遅れ。ほかの地区も8カ月-3カ月半ずれ込む。(沢田敦)
● 三重県内のフェロシルト 撤去完了17か月遅れ 石原産業修正計画
6月10日 読売
土壌埋め戻し材「フェロシルト」の撤去問題で、製造元の石原産業(大阪市)は9日、三重県内の撤去完了を当初予定より17か月遅れの2008年1月とした修正撤去計画を同県に提出した。
田村藤夫社長は同日、同県庁で会見し、「住民に多大な迷惑をかけている。何としても計画を順守するよう最大限努力する」と改めて陳謝した。
同社によると、同県内の回収必要量は49万4000トンだが、これまでに撤去したのは9万4000トン。遅れている理由を、処分場の確保が難航しているためとしているが、今後、撤去を進めながら、処分場も確保したいという。
同県を含め東海3県と京都府の回収必要量は、土砂を含めて計106万トンに上るが、撤去したのは38万7000トン。ただ、愛知県内については、同社が撤去命令の取り消しを求めている瀬戸市幡中町以外は今年11月、岐阜県内は7月、京都府は来年6月までに終了するとしている。
(2006年6月10日 読売新聞)
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