昨日の朝日新聞の社説。その明快さに驚きました。
株主総会の日の石原産業に対する警告のようにもとれます。
ここのところ朝日の 一部の記事の姿勢を批判 してきた私は、この社説の途中の論点はともかく、それなりの結論には納得。
朝日はリンク切れが早いので、引用しておきます。
なお、その社説を(誤解に基づいて)批判しているブログもあったので、説明しておきます。
【社説】2006年06月29日(木曜日)付 「自治体破綻 夕張市だけのことか」「石原産業 捨て逃げは許さない 」
● 自治体破綻 夕張市だけのことか
かつて産炭地として栄えた北海道夕張市が行政運営に行き詰まり、財政再建団体として政府の管理下で立て直しを図る。民間企業でいえば、会社更生法の適用を受けるに等しい。
市が抱えた借金は約600億円と見込まれ、その整理には50年かかるともささやかれる。市役所の合理化や公共料金の値上げも避けられない。市民には再建への長い長い道のりが待っている。 ・・・(以下、略)
● 石原産業 捨て逃げは許さない
こんな身勝手な企業があるのかと驚いてしまった。
大阪市に本社を構え、三重県四日市市に工場を持つ化学メーカー、石原産業のことである。
硫酸の廃液からつくったリサイクル製品に危険性があるとして、愛知県に撤去を命じられていた。ところが、撤去を急ぐどころか、逆に命令の取り消しを求めて、裁判所に訴えたのだ。
問題のリサイクル製品は「フェロシルト」といい、工事でできた穴を埋めるものだ。東海3県と京都府の約30カ所で計70万トンが埋められたが、各地で赤い水が流れ出し、発がん性があるといわれる六価クロムが検出された。
フェロシルトを埋めた最大のものが、愛知県瀬戸市の14万トンだ。この撤去に石原産業が抵抗している。
いまのところ、ここでは有害物質は検出されていない。深い穴に埋められて土と混じり合っており、土といっしょに200万トンを取り除かなければならない。600億円かかり、会社の能力を超える。そのうえ、たくさんのダンプカーが通れば、住民に迷惑をかける。それが石原産業の主張だ。
確かに、売上高1千億円の企業にとって負担は軽くない。しかし、周りの住民は「勝手に持ち込んでおいて、よくそんなことが言えるものだ」と怒っている。当然だろう。ここでは六価クロムは検出されていないとはいえ、ほかでは検出されている。不安は消えないのだ。
そもそも、本来使う廃液以外の工場廃液も混ぜ込んでいたことを認め、全量を撤去すると約束したのは石原産業である。リサイクルと称し、危険な製品を売った責任を取らなければならない。
石原産業はコンクリートを地中に流し込んで壁を作り、フェロシルトを封じ込めることを提案している。本当に有害物質が出ないことが確認され、住民も納得すれば、こうした代替案も考えられたかもしれない。しかし、提訴は住民との話し合いの場を自らつぶしてしまった。
問題はここだけではない。埋めたフェロシルトの半分はまだ撤去されていない。4府県とも、命令が実行されないなら、代わりに取り除き、費用を石原産業に払わせることを考えるべきだ。
多くの不法投棄は、業者が零細で撤去する資金がなかった。税金で処理するのも難しく、環境に影響がなければ、そのままにしておくこともあった。だが、石原産業は東証1部の上場会社だ。責任を果たす先例にさせなければいけない。
90年代に青森、岩手県境に86万トンの産業廃棄物が捨てられた事件では、両県が産廃を取り払いつつ、産廃を出した企業の責任を追及している。1万社のリストを作り、これまでに24社に撤去を命じた。両県の担当者は「強い態度は、再発を防ぐためでもある」と話す。
フェロシルトをめぐっては、4府県警が廃棄物処理法違反で合同捜査を進めている。刑事責任の追及はもちろんのこと、捨て逃げを許してはいけない。
● finalventの日記 2006-06-29
■朝日社説 石原産業 捨て逃げは許さない ・・・この社説だが、書いている人が問題を理解しているのだろうか?・・・わざとらかもしれないが、フェロシルトと六価クロムは関係ない。六価クロム混入は石原産業内でわかってやっていた犯罪なのだ(内部告発の問題だよ)。そのあたり、悪徳企業と技術を分離して議論しないといけない。
問題設定が間違っているので後続の議論もめちゃくちゃ・・・
↑こちらのブログはコメントもトラックバックもできないようなので、下記に説明します。気がついていただけるといいですが。朝日新聞の社説の名誉のためにも。
● 六価クロムはフェロシルトに由来するもので、混入物ではないこと
リサイクル認定申請書どおりの製造をしても、フェロシルトから基準を超えた六価クロムが生成されることは、岐阜県のフェロシルト問題検討委員会も三重県検討委員会も認めています。
三重県の検討委員会最終報告書がでました 2005.12.21 (ここでリンクしている「報告書」の第3章に技術的な分析結果や埋め立て現地での想定がなされています)
だからフェロシルトは産廃と判断され、産廃の不法投棄として刑事告発されました。 原料以外の廃液を混入したこと 2005.10.22 は論外ですが、それが産廃と判断された根本原因ではありません。
もちろん、石原産業がフェロシルト工程中での六価クロムのことを知らなかったとは信じられません。
石原産業と三重県共同研究サンプルから六価クロム110倍検出 005.12.26
その意味では、六価クロムが外部に持ち出されたのは「悪徳企業」ゆえですね。
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