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てらまち・ねっと



 今朝、ネットを開くと読売新聞の
 「ネットカフェ難民に生活費、職業訓練条件に月15万円融資へ」という見出しが目に入った。

 この夏、何回か「ネットカフェ」を利用したので、今まで以上に「ある種、親近感」がある「ネットカフェ難民」。

 行政も苦労しているのだろうけど、なかなかかみ合わない。
 それに、「難民」は若者が多いとされるが、必ずしもそうではないと、背景を分析する人もいる。
 
 このあたり、詳しい「経済アナリスト 森永 卓郎氏」のコラムも紹介する。

 ところで、学生の頃に読んだ小林多喜二の『蟹工船』(新潮文庫)、「これまでも年に約5000部が売れ続けるロングセラーだったが、今年突然売れ始め、4月に7000部を増刷、それでも追いつかず、5万部を増刷した」という。

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●ネットカフェ難民に生活費、職業訓練条件に月15万円融資へ  2008年8月23日14時54分 読売新聞
 厚生労働省は23日、「ネットカフェ難民」の就労を支援するため、公共職業訓練の受講を条件に、訓練中の住居・生活費として月15万円を融資する制度を2009年度に創設する方針を固めた。

 年収150万円以下の受講者は返済が免除されるため、実質的には給付となる。09年度予算の概算要求に関連予算1億円を盛り込む。
 ネットカフェ難民は住居がなく、定職にも就けずにいることで、低収入で不安定な生活を余儀なくされ、これが、就労を一層難しくするという悪循環に陥りやすい。厚労省の昨年の調査では、全国に約5400人いると推計されている。

 新制度では、雇用・能力開発機構の「技能者育成資金」を活用し、職業訓練受講者に月15万円を貸し付ける。訓練は座学と企業実習を組み合わせた「日本版デュアルシステム」と呼ばれるもので、期間は3~6か月。収入が得にくい訓練期間中に住居・生活費を手当てすることで、受講を促し、訓練に専念してもらう狙いがあり、厚労省では「住居と就労機会の両方を確保できる」と期待している。訓練を修了し、かつ、年収が150万円以下であれば返済は全額免除される。対象は、ネットカフェなどで寝泊まりしながら日雇い派遣などで働く30歳代後半までの「住居喪失不安定就労者」を想定しており、厚労省では年間数百人が利用すると見込んでいる。

 ただ、就労意思がない給付金目当ての受講者を防ぐため、厚労省はハローワークの面接などを活用する方針で、「不適当と判断すれば、希望しても訓練をあっせんしない」としている。
 住居喪失不安定就労者は路上生活のホームレスと異なり、自立支援のための特別措置法の適用外で、対策が求められていた。

早速こんな声も出ているけれど
  頑張って働いてる俺の月給より多いってどうゆうことよ  ネット から 

●「ネットカフェ難民」相談窓口 少ない20代   産経2008年07月29日
都と厚労省が「ネットカフェ難民」を支援するため、相談窓口を設けてから3カ月。相談に訪れるのは30~40代が多く、予想に反して20代が少ないという。

ネットカフェが集中するエリアで、実態調査と啓発活動をする「TOKYOチャレンジネット」職員=東京都新宿区

 インターネットカフェなどで寝泊まりする「ネットカフェ難民」を支援するため、全国に先駆け今年4月下旬に開設された東京都と厚生労働省の相談窓口「TOKYOチャレンジネット」。約3カ月の活動から、生活困窮者の実情を探った。

 住居や生活、就職などについて、電話やメールでの相談件数は1000件を超える。新宿・歌舞伎町の相談窓口に訪れた人は延べ800人以上。相談者のほとんどは男性だ。当初の予想とは異なり20代の相談者が少なく、30~40代が約6割を占めるという。
 就職先から採用通知を受けた相談者は7月半ばで50件近く。着実な成果が表れる一方、6月下旬から実施した都内18カ所での実態調査を兼ねた街頭での啓発活動では、新たな課題も見えてきた。

 ネットカフェ難民であることが派遣先に知られると、日雇い労働が打ち切られるケースもあり「街角で声を掛けても応じない傾向が強い」と話すのは、同窓口の新津伸次所長。20代の相談件数の少なさについて「まだ何とかなるという思いがある。問題を訴えたりコミュニケーションをとったりするのが苦手で、親との関係も希薄」と指摘する。

 福祉関連や警備、ビルメンテナンスなどニーズのある仕事紹介先と、相談者が希望する職種がかみ合わない問題も。「楽に稼ぎたいという若者に、ハードな仕事への意欲をどう持たせていくかが課題」という。
 厚労省の昨年の推計で東京23区に約2000人いるとされるネットカフェ難民。だが、新津所長は「友人宅、深夜営業の飲食店を転々とする若者も含めると、うちの相談対象者はもっと多いはず」と話し、さらに実態調査を進める方針だ。

●ネットカフェ難民が“住居”を失った理由  Business Media 08.5.26
 日雇い労働者が多い大阪あいりん地区に、ネットカフェ難民の若者が増えているという。なぜ彼らは住居を失ったのか? また住居を確保できない理由は何だろうか? NPO釜ケ崎支援機構調べ。[Business Media 誠]

 厚生労働省によると、住居を失いネットカフェやマンガ喫茶などで寝泊まりしながら不安定な仕事を続けている、いわゆる“ネットカフェ難民”は、全国で約5400人に上ると推計される。またここ数年、日雇い労働者向けの簡易宿泊所が密集している大阪のあいりん地区に、日雇い経験のない若者が増加傾向にあり、特にネットカフェを“住居”にしている人が増えているようだ。

 NPO釜ヶ崎支援機構は、ネットカフェなどを寝泊りの場所として利用している100人を対象に聞き取り調査を行った。調査場所はネットカフェまたは漫画喫茶(43人)、自立支援センター(41人)、NPO釜ヶ崎支援機構(11人)、ファストフード店(5人)。調査時期は2007年6月から12月まで。

ネットカフェ難民の実態
 「ネットカフェ難民」と聞くと、年齢は10代後半~20代前半、日雇いの仕事に就き、ネットカフェで寝泊まりしている若者を想像するが、これはマスコミによって流布されたイメージであり、実態とは異なるという。
 調査に協力した65人の内訳を見ると、30~34歳が20人で一番多く、35~39歳が14人、25~29歳が12人。20歳代後半~30歳代が中心であることが分かる。40歳以上も13人おり、このうち7人は50歳以上だ。
 彼らがネットカフェなどを住居にしている原因は何だろうか。最も多かったのは「失職し、住み込み先を出なければならなくなった」で35%、次いで「失職し、家賃を払えなくなった」(29%)、「日雇派遣または非正規で働いていたが家賃を払えなくなった」(20%)ということが、NPO釜ケ崎支援機構の調べで分かった。

 日雇派遣または非正規で働いていたにもかかわらず、なぜ住む場所を失ったのだろうか。「仕事の準備をして出かける前に『今日は(仕事が)なくなりました』と突然言われる」や「少ないときは週2~3回、多いときは週6日と仕事にばらつきがある」といった意見があった。また日給は6000~9000円が多かったが、交通費や作業着代などを天引きされるケースが目立つ。仕事が不安定なために就労日数も少なくなり、働いても1日の収入は数千円。低賃金の上に交通費なども出ないため、野宿などを余儀なくされるケースが多いようだ。

 例えば日雇派遣で働く、ある20代後半男性の場合。彼は現在、家賃3万8000円のワンルームマンションを借りているが、昨年の12月末ごろから家には帰らず、ネットカフェでの生活になったという。彼が仕事で得られる日給は6000~7000円、月に約20日勤務しており、月の収入は約13万円。支出は、家賃が3万8000円、食費が約4万円、ネットカフェの宿泊費が約1万円、携帯電話代が約2万円、その他ゲーム・雑誌代が約1万円。毎月ぎりぎりの生活をしており、貯蓄もほとんどない。彼がネットカフェ生活を始めた理由は、奈良・京都方面の仕事が増えて家まで帰るのがつらいためだという。
(出典:NPO釜ケ崎支援機構)

給料から寮費などが引かれるため、アパートを借りるのが困難
 何らかの理由で仕事を失い、住み込み先を出なければならなくなった人の日給は、8000~1万円(深夜勤務含む)が相場。ただ寮費などが差し引かれるため、自分でアパートを借りることは困難な状況にあるようだ。住込みで新聞配達をしていた人からは「配達、集金、勧誘の仕事をすべて行い、研修期間のうちから誤配率3%未満、集金率も97%達成しないと給料が出ない」といった意見があった。また「(自動車メーカーで)2年11カ月期間工として働いた(最高でこの期間しか働けない)。戻りたくても、辞めてから半年たたないと戻れない」との声もあった。

 寮といっても個室ばかりではなく、3LDKに3人、2LDKに2人といったケースもあった。このため「人間関係の問題も生じ、それが早期に仕事を辞めて派遣会社の寮を出る要因になっている場合もある」(NPO釜ケ崎支援機構)
 大阪市立大学の島和博教員は「1990年代の中頃から社会問題化した『ホームレス問題』は、豊かな社会の“終わりの始まり”であった。10年以上経過した現在、もはやかつての分厚い中間層は存在しておらず、社会の安定も不確かなもにとなるだろう」と見ている。

●ワーキングプアの“連帯感”、小林多喜二「蟹工船」がブーム  産経新聞
1929年に刊行された小林多喜二の『蟹工船』が売れている。これまでもロングセラーの作品だったが、今年になって5万4000部も増刷した。ブームの背景にはワーキングプアからの共感があるようだ。
 (中略)

 「『働いているのに生活できないのはおかしい』『人間扱いされているとは思えない』と気づき、社会に向けて自分たちの状況を発信し、待遇の改善を求める若者も増えつつある。この本を読むことで彼らは、いつの時代も不当な働き方を強いられる労働者がいることに痛みを感じつつ、時代を超えた連帯を実感しているのではないでしょうか」

●第97回 ネットカフェ難民がスラムをつくる日 経済アナリスト 森永 卓郎氏
    2007年9月3日 日経
 厚生労働省は8月28日、いわゆる「ネットカフェ難民」の実態調査の結果を明らかにした。 
    (略)
 厚生労働省の実態調査は、全国のネットカフェ、漫画喫茶3246店舗に対して電話で行われた。それによると、推計されるネットカフェ難民の数は5400人。店舗からの聞き取り調査をもとにしているために、実際はもっと多いはずだという意見もある。
 しかし、数自体はともかくとして、わたしが衝撃を受けたのは、その中身であった。
●ネットカフェ難民の半数近くが中高年だった 2  2007年9月3日 日経
 わたしはこれまで、ネットカフェに寝泊まりしているのは若い男性がほとんどだろうと思い込んでいた。実際に、テレビや新聞で取り上げられるのは、そうした例ばかりだから、それが典型例だと頭に焼き付けられていたのである。
 ところが、年齢別の構成比を聞いて驚いた。
 20代が26.5%と最も多いのは想像できた。しかし、それに次ぐのがなんと50代で、全体の23.1%もいるのである。そして、30代が19.0%、40代が12.8%と続き、60代も8.7%いた。

 つまり、40代以上の中高年が、半数近くを占めていたのである。それだけではない。女性が17.4%いたことにも、わたしには驚きであった。ネットカフェ難民はけっして若い男だけの現象ではなかったのだ。
 一方で、イメージ通りだった結果もあった。それは、アルバイトや派遣などの非正規労働者が約2700人と圧倒的多数を占めていたことである。その他、職を探している失業者が約1300人、職を探していない無業者が約900人、正社員が約300人だった。
 非正社員と失業者が圧倒的に多いという点では、フリーターと完全に層が重なっているといっていい。ただネットカフェ難民の生活スタイルは、従来型のフリーターとは明らかに異なっている。それは、先にも述べたように、彼らはネットカフェに生活基盤を置いているという点である。
 そう考えていくと、ネットカフェ難民は、フリーターよりもむしろ、ある別の存在に近いことに思い当たる。

●日雇い労働者化しているネットカフェ難民 3  2007年9月3日 日経
 自分の家が持てず簡易な宿に寝泊まりし、仕事が見つかったときだけ働きに出る ―― これは、ドヤ街と呼ばれた地域の簡易宿泊所で寝泊まりをしていた、主として日雇い労働者と呼ばれていた人たちのワークスタイル、ライフスタイルと変わらない。
 しかし、わたしはむしろ簡易宿泊所のほうが、はるかにましではないかと思うのだ。なぜなら、簡易宿泊所には横になって休めるベッドやふとんもある。ところが、ネットカフェにはそれがない。せいぜい椅子をリクライニングさせて眠るくらい。最近では簡易なベッドを設けているネットカフェもあるそうだが、それは例外的である。

 人間の健康にとって大切な「きちんと眠る」ことさえできないとは、これほど悲惨な生活があるだろうか。しかも、個室とはいうが、囲いでおおわれているだけで上部は筒抜けなのだ。だが、今や、そうした生活しかできない人が増えているのである。
 ネットカフェ難民という言葉からして、どことなく優雅なイメージを持っていた人がいるかもしれないが、そんなことはけっしてない。ネットカフェ難民は、日雇い労働者の現代的な形であり、しかもさらに悲惨なのである。
 もちろん、ネットカフェや漫画喫茶にもピンからキリまであり、すべてが簡易宿泊所化しているわけではないことはお断りしておきたい。終夜営業を行っていないネットカフェや漫画喫茶もある。

●なぜネットカフェから脱出できないのか 4  2007年9月3日 日経
 では、なぜ彼らはそこから脱出しようとしないのか。「努力が足りない」と簡単に片づける人もいるようだが、そうではない。実際にネットカフェ難民の支援者の話を聞いたことがあるが、ネットカフェ難民のほとんど全員が、現状からの脱出をしたがっているという。だが、それは非常に困難なのである。
 その理由は二つある。

 一つは住所がないことだ。住所がなければ正社員としての就職もままならない。しかし、家を借りようにも現住所がないことには、なかなか貸してもらえない。禅問答のようだが、家がないから家が借りられないのだ。そのために、正社員になって安定した金をかせぐことができないのである。

 もう一つは、まとまった金を持ち合わせていないことである。都会で家を借りようとすると、敷金、礼金、家賃前払いなどで40万~50万円、どんなに安くても10万円はかかる。ネットカフェ難民は、日雇いの仕事によって普段暮らしていく金は稼げても、そうしたまとまった金は用意できない。それがネットカフェから脱出できなくなる最大の理由なのだ。

 いったんこの境遇に落ち込むと、本人がいくら努力しても容易に抜け出せない、いわば「アリ地獄」のような状況がネットカフェ難民なのである。
 先日、自力で難民脱出に成功した人が1人だけいたという話を、ネットカフェ難民の支援者から聞いた。その人は、パチンコをやってたまたま確変(確率変動)を連発して大もうけし、家を借りる資金を得たのだそうだ。
 逆に言えば、ギャンブルにでも当たらない限り、抜け出すのは困難なのである。

●新しい形のスラムが出来ようとしている 5   2007年9月3日 日経
 フリーターやニートが250万人規模で存在するのに比べると、ネットカフェ難民の数はまだまだずっと少ない。しかも、ネットカフェ難民という言葉が連想させる、自由気ままなイメージにごまかされて、これをたいした社会問題ではないと思っている人が多いようだ。

 しかし、それは間違いだ。この問題を放置すると大変なことになるとわたしは考える。というのも、これは形を変えたスラムだとわたしは思うからだ。「いくら努力しても悲惨な境遇から抜け出せない」という人たちが集まることで、現代日本には存在しなかったスラムが、今、出来ようとしている。そしてそれは、従来の形のスラムとは違った、いわば地域横断的な新しい形の「分散型スラム」である。
 スラムには社会不安や犯罪の種がまかれる。早いうちにその芽をつまないと、あとで取り返しのつかないことになるだろう。

 厚生労働省も事態を重くみて、ネットカフェ難民が金をためられるように、資金管理の支援をするという。だが、それよりも大切なことは、彼らが住む場所を得られるようにアパートを借りる資金を融資することではないだろうか。
 ネットカフェ難民はニートやホームレスとは違い、ある程度の仕事の能力を持ち、仕事をしたいと思っている人が多い。いったん家を借りさえすれば、毎日の生活をするだけの金は稼げるのだ。

 彼らは働きたがっている。要は、住所さえ確保すればなんとかなる話なのだ。言ってみれば金で済む話なので、ニートやホームレス対策よりはるかに解決は簡単なのである。
 「再チャレンジ」を標榜する政府ならば、少なくとも働く意欲のある人に対して、できるだけ早く救いの手を差し伸べてほしいと思うのだ。

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