新聞を5紙とっていると、それぞれの「見出しが違う」のに驚くことがある。
昨日4日の朝刊。読売一面トップは「沖縄海兵隊を先行移転…普天間移設と分離で調整」だった。
しかも、問題になっている「辺野古移転」も無しにして今の「普天間基地」のまま行くという可能性も、との旨もある。
他紙は、触れていない。
・・・夜、届いていた夕刊各紙の一面を見ても同様だった。
5日、今朝の朝刊各紙は、この沖縄米軍のことを一面トップもしくはそれに近い扱い。
沖縄米軍については、もともと、昨年からアメリカ議会が政府に移転予算凍結を示していた。
そこで、米政府が内々に議会に移転は無い方向を示しているのが今回、ということらしい。
今年1月に、米国から通告されて、内々に日米協議を続けてきて合意したという。
今回のグアム移転計画見直しについて、米国は仮に日本が受け入れなくても実行する構えを見せており、「米国からの通告に反対できなかった」(政府関係者)のが実情だ。
表と裏だらけの野田政権。
沖縄問題では、防衛大臣の低資質・不注意発言の連続、局長の(きょう告示される宜野湾市長選の)選挙介入、そして基地移転の本質問題と困難さが増していくばかり。
そのあたりの報道を記録した。一番、まとまっていたのは今日の最後のほうに留める日経の記事、と読んだ。
いずれにしても、今回の見直しにより、「辺野古への移設断念・普天間固定化」の流れが加速しそうで、
ずっと憤る沖縄の人たちが、なお一層刺激されることは間違いない。
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●宜野湾市長選、5日に告示=普天間移設争点―沖縄
朝日 2012年2月4日16時6分
米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選が5日、告示される。ともに無所属で元市長の伊波洋一氏(60)=共産、社民、社会大衆推薦=と県議の佐喜真淳氏(47)=自民、公明、改革推薦=による一騎打ちの構図となる見通し。12日に投開票される。
政府が日米合意に基づき実現を目指している、普天間飛行場の移設問題が争点だが、告示直前に防衛省の真部朗沖縄防衛局長が講話で職員に投票を呼び掛けていた問題が発覚。両陣営が防衛局に抗議したほか、県内で反発の声が上がるなど選挙戦にも影響を及ぼしている。
伊波氏は、普天間の県外移設とともに、日米安保条約の見直しを訴える。佐喜真氏はかつて条件付きで名護市辺野古への移設を容認する立場だったが、市長選では県外移設を主張している。[時事通信社] |
●沖縄海兵隊を先行移転…普天間移設と分離で調整
(2012年2月4日03時00分 読売新聞)
日米両政府が2006年に合意した沖縄の米軍普天間飛行場移設を柱とする在日米軍再編計画について、両政府が抜本的な見直しに入ったことが3日、明らかになった。
複数の日本政府関係者が明らかにした。普天間移設と一体的に行うとしてきた沖縄の米海兵隊部隊の国外移転について、普天間と切り離し、先行して行う方向で調整が進んでいる。両政府は6日、ワシントンで外務・防衛当局の審議官級協議を行い、新たな再編計画の策定に向けた協議を本格化させる。
計画の見直しは、米側が1月半ばに日本に求めてきた。国防費の大幅削減に伴って米政府が1月5日に発表した「国防戦略の見直し」を踏まえたものだ。
日米両政府は、沖縄に駐留する米海兵隊の海外移転の規模について、06年の計画に沿った「8000人」を維持するものの、全部隊をグアムには移さず、一部をオーストラリアや米ハワイ州などに一時駐留する「ローテーション方式」で移転することを検討。普天間飛行場については、引き続き名護市辺野古への移設を目指す方針だ。
●米軍再編見直し合意 グアム移転先行、普天間移設と分離
朝日 2012年2月5日3時51分
日米両政府が、沖縄の米海兵隊のグアム移転と米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設とを切り離し、先にグアムへ国外移転させることで大筋合意した。移転規模は約4700人を軸に調整している。普天間移設に見通しが立たないことから、これまで「パッケージ」で移転を進めるとしてきた日米合意を見直す。
日米両政府は、6日から米ワシントンで行われる日米審議官級協議でこうした方針を確認。13日にも同時発表する考えだ。
関係者によると、新たな合意案では、グアムへの米海兵隊の移転規模を、2006年に両政府が合意した「在日米軍再編のロードマップ(行程表)」で明記した約8千人から縮小。普天間移設が進まなくても、約4700人を先行移転させる方向で調整している。残りは豪州やフィリピンなど海外にある米軍基地にローテーションで派遣し、在沖縄海兵隊の兵力は1万人規模で維持する。一方、普天間飛行場の名護市辺野古への現行の移設計画は変更しないことを改めて確認する。
●在日米軍再編:行程表見直し、野田首相訪米時に合意へ 「普天間固定化」加速懸念
毎日新聞 2012年2月5日
日米両政府は、06年に合意した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設と在沖縄米海兵隊のグアム移転を一体とした在日米軍再編のロードマップ(行程表)の修正協議について、グアム移転を普天間移設と切り離して先行実施することで大筋合意した。
オバマ大統領が予算教書演説をする今月13日までに、グアム移転の規模修正などに合意する予定。その後、ロードマップ全体の見直しについて4月ごろまでに調整を終え、野田佳彦首相の訪米時の日米首脳会談で合意を目指す方針だ。日本政府関係者が4日、明らかにした。(4面に米国防総省声明要旨)
今回の見直しにより、「辺野古への移設断念・普天間固定化」の流れが加速しそうだ。
日本政府関係者によると、海外移転させる海兵隊約8000人は予定した司令部要員中心から戦闘要員を増やす形に変更する。これに伴って家族約9000人の移転は削減する方向だ。また海兵隊の構成が変わるため、ロードマップで返還対象とした米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)以南の6施設・区域についても見直しが行われる見通しだ。
両政府は6日からワシントンで外務、防衛当局の審議官級協議を開き、修正協議を本格化させる。米政府は、在沖縄海兵隊約8000人をグアム移転させる当初計画を約4000人規模に縮小し、残る4000人程度をオーストラリアなどに分散移転してローテーションさせる方向で日本側と協議したい考えとみられる。
米国防総省は3日、両政府が修正協議に入ったことを事実上認める一方、普天間移設計画は「現行計画履行に全面的に取り組み続ける」として、堅持するとの声明を発表した。
日本政府内には、グアム移転が先行することで、移設に向けた雰囲気が出てくるのではとの期待感もあるが、移設に必要な埋め立て許可を仲井真弘多(ひろかず)知事から得られる見通しは立っていない。【西田進一郎、横田愛】
●崩れた日米合意 県内首長、歓迎と懸念
沖縄タイムス 2012年2月4日 12時29分
【名護・中部】米国防総省が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設断念の意向を水面下で議会側に伝達していたことについて、名護市議会の比嘉祐一議長は「報道が事実なら、辺野古移設にこだわっているのは日本政府ということになる。政府は県民の民意を受け止め、日米合意を見直すべきだ」と訴えた。
日米合意が事実上見直されることに、本島中部の首長は一様に歓迎。ただ、同飛行場の固定化や嘉手納統合案が今後浮上する可能性もあり「固定化や県内移設だけは絶対に許されない」と強調した。
比嘉議長は「2年前の名護市長選で、移設に反対する稲嶺進市長が誕生し、大きな県民世論のうねりをつくり、米側を動かすきっかけになった」と市長選勝利の意義を指摘。稲嶺市長が6日から訪米を予定していることに「報道は追い風になり、訪米の効果は高まるだろう。市長には沖縄現状をしっかり伝えてきてほしい」と述べた。
同飛行場がある宜野湾市の米須清栄副市長は「辺野古断念とは、すごい話だ」と驚いた様子。「断念イコール固定化ではなく、米国は速やかに普天間を閉鎖し、海外の分散移転を探るべきだ。日本政府は米国と再協議するべきで、危険性の下で暮らす宜野湾市民を置き去りにすることはあってはならぬ。固定化ではあまりにも単純で無責任」と政府にくぎを刺した。
嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長の東門美津子沖縄市長も「事実であれば、辺野古移設の断念は大歓迎だ」と喜んだ。ただ、普天間飛行場の固定化や嘉手納統合案などが浮上する可能性については「普天間の固定化も統合案も絶対に許されない」と指摘した。その上で「県民の願いは県内移設反対。日米両政府が、普天間の機能を必要とするならば、県外に移設するべきだ」と訴えた。
普天間移設 膠着の15年
米軍普天間飛行場の返還を求める声が日米両政府を動かしたのは、1995年の米兵3人による暴行事件の発生が契機となった。
県内でのかつてない反米軍基地の機運を受け、橋本龍太郎首相(当時)とモンデール駐日米大使(同)は翌年4月に普天間の全面返還で合意。ただし、同等の機能を持つ新たな施設の提供が条件となっていた。
移設先を名護市辺野古とすることを盛り込んだ沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告書の実行で日米が合意したのが96年12月。SACO合意にはほかに嘉手納より南の施設・区域返還などが盛り込まれ、これが移設と基地負担軽減が「パッケージ」となるものとなり、その後15年にわたる普天間問題膠着(こうちゃく)の原因ともなった。
政府はようやく2007年に環境影響評価手続きにこぎ着けた。09年には「最低でも県外」への移設を訴えた民主党が政権を獲得し、県民の移設先見直しへの期待が高まったが、10年5月に結局辺野古へ回帰する日米合意をしたことで県内世論は沸騰。両政府は、昨年末の未明の評価書提出などその後も県民の反発を収める材料を見いだせないまま、歳出削減を目指す米議会主導で普天間移設の見直しが進んでいた。
●普天間固定化の恐れ=日本側追加負担も-米軍再編
時事。(2012/02/04-10:55)
【ワシントン時事】米国防総省が在沖縄海兵隊のグアム移転計画を見直し、規模縮小に踏み出したのは、国防費削減圧力を強める議会を納得させつつ、アジア太平洋地域の軍の再編を早期に実施するためだ。ただ、沖縄県の米軍普天間飛行場移設と切り離し、グアム移転を先行させることは同飛行場の固定化を招く恐れがある。ハワイなど新たな振り分け先への移転費に関し、日本側が追加の負担を強いられる可能性もある。
米議会は昨年、政権側が計上を求めたグアム移転費を全額却下。新たな支出の条件として(1)同地域での海兵隊配置計画の提出(2)グアムの基地整備計画の策定(3)普天間移設での「目に見える進展」-などを列挙した。
議会側がこうした厳しい態度に出たのは、財政赤字削減が急務の中、グアム移転費が当初見積もりの2倍近くになることが既に判明し、さらに「天井知らず」(共和党のマケイン上院議員)とみられていることが背景だ。
また、グアムの生活インフラが不十分だと分かりながら、国防総省が必要な対策を怠ったことや、日米合意でパッケージとされた普天間移設が進まないことも、議会のいら立ちに拍車を掛けた。
この点で、移転規模の縮小は費用縮減につながる。パッケージを外せば、普天間問題の進展を待たなくてもグアム移転費が承認される可能性が出てくる。中国の軍拡に対処するため、軍の再配置を急ぐには計画の修正が必要と判断したわけだ。
とはいえ、普天間移設の原点は「危険性の除去」。グアム移転やこれに伴う嘉手納基地以南の区域返還を切り離し、先行させるよう求めてきた沖縄県側の要望にも一応沿うものの、移設のてこを失った普天間はいよいよ現状維持に向かう。
関係者によると、昨年12月の日米外相会談で、クリントン国務長官は普天間移設で地元の同意を得られない現状に不満を示し、「急いでもらいたい」と強い口調で迫った。再編計画を実施できない「責任」は日本側にあるとし、その後の費用交渉で優位に立とうとする意図も見え隠れする。
●普天間、政権にまた難題 海兵隊移転で固定化懸念 在日米軍再編の行程表も見直し
日経 2012/2/5 2:02
日米両政府が在沖縄米海兵隊のグアム移転見直しで大筋合意したことで、沖縄問題は野田佳彦首相の政権運営に一段と重くのしかかる。海兵隊の国外移転の先行により、米軍普天間基地の現状固定への懸念が強まり、2006年に合意した在日米軍再編のロードマップ(行程表)の表現も大幅修正は必至。田中直紀防衛相を標的にした野党の追及が一段と厳しさを増すのは避けられない。
■移転進まず補修も視野
「普天間基地の固定化につながらないのが大前提だ」。渡辺周防衛副大臣は4日、記者団に強調した。海兵隊移転見直し=普天間固定化、のイメージが広がれば、民主党政権の迷走が一段と浮き彫りになるためだ。折しも米側は日本の事情で移設が滞る現状を踏まえ、一定期間、普天間を継続使用する前提で必要な補修を視野に入れ始めた。これも固定化懸念に拍車をかけかねない。
普天間基地の名護市辺野古への移設は、海兵隊約8000人のグアム移転とパッケージ。今回の見直しで、グアム移転は約4700人に縮小し、普天間移設と切り離して先行実施する。
沖縄側では「米政府が辺野古移設をあきらめた」との受け止めから、逆に県外移設論が勢いを増す可能性がある。日本政府が海兵隊移転をテコに辺野古移設への地元の協力を求めるのは一段と難しくなる。
今回のグアム移転計画見直しについて、米国は仮に日本が受け入れなくても実行する構えを見せており、「米国からの通告に反対できなかった」(政府関係者)のが実情だ。
「普天間の固定化は避けなければならないが、海兵隊縮小で沖縄の負担が軽くなるなら前向きに受け止めるべきだ」。06年の日米合意から全く進まない現状よりは一歩前進、という外務省筋の説明からも“受け身”が透けて見える。今後の国会審議は厳しい。
巨額の海兵隊グアム移転経費も問題だ。総額約102億7000万ドルのうち、日本側が融資を含め約60億9000万ドルを負担する枠組みが決定済み。普天間移設が進まなくても日本側は経費負担を求められるうえ、米側が国防予算の大幅削減を受け、日本に新たな負担を要求する可能性もある。
■任命責任、首相に火の粉
普天間基地のある宜野湾市の市長選(12日投開票)を巡り、投票を呼びかける講話をした真部朗沖縄防衛局長の更迭を当面、見送った経緯も影を落とす。首相らは「事実関係の調査が終わるまで処分に踏み切るべきではない」との立場だ。真部局長は「特定候補への肩入れはなかった」と主張するが、防衛省調査では立候補者の普天間問題へのスタンスの違いは説明していた。
移設先である辺野古の埋め立て申請の前提になる政府の環境影響評価書は混乱の末、1月初めに沖縄県に受理された。だが局長の講話問題に地元が反発するなか、グアム移転見直しまで加わったことで、先の手続きは見通せない。自民党の岸田文雄国会対策委員長は「更迭見送りは優柔不断。沖縄問題への強い覚悟が感じられず無責任」と批判した。
今年度第4次補正予算案を巡る6日からの参院予算委員会では、グアム移転、局長講話を巡り防衛相が集中砲火を浴びそう。防衛相は衆院予算委で事実誤認や失言を繰り返した。野党は防衛相の資質に照準を定め、「生かさず殺さず政権に打撃を与える」(自民幹部)戦術をとる。田中氏を防衛相に任命した首相自身にも、火の粉は降りかかる。
●局長講話、中立性に疑問=特定候補支援を暗示
時事。(2012/02/03-21:51)
防衛省の真部朗沖縄防衛局長を招致した衆院予算委員会での参考人質疑では、沖縄県宜野湾市長選に絡み、真部氏に公務員として政治的中立性があったかどうかが焦点となった。真部氏は職員に投票を呼び掛けた「講話」について「法令違反との認識はなかった」とし、特定の立候補予定者への支援も求めなかったことを強調した。
しかし、明確な発言はなくても、与野党からは「選挙でどちらを通したかったかは分かる」と真部氏の中立性を疑問視する声が相次いだ。
自衛隊法は政治的行為を制限し、公職選挙法は公務員の地位を利用した選挙運動を禁止している。また、自衛隊法施行令は、選挙で特定の候補者への支持・反対の目的のために投票するよう勧誘する運動を禁じている。
真部氏は1月に行った講話で、米軍普天間飛行場移設問題に関する2人の立候補予定者の主張に触れ、一方は「県内移設反対、早期閉鎖・返還」、もう一方は「現状固定化を断固阻止し、危険性の除去と返還・跡地利用計画を推進する」と紹介した。その上で、普天間移設の政府方針を説明し、県民の理解を得ようと努力していることも強調した。
真部氏は「特定の候補者に投票しなさいと言える立場ではない」と述べたが、両候補の主張を並べたのは、どちらが政府の立場に近いかを示しており、誰に投票した方がいいか暗示したと思われても仕方ない。
このため野党は「現状固定化阻止は政府の閣僚が述べたこと」(共産党・赤嶺政賢氏)、「(職員への)無言の圧力」(公明党・東順治氏)と特定候補への支持を求める意図があったことは明白とみて、追及した。
真部氏が選挙権を有する親族の人数まで調べていたことは特に問題視された。野田佳彦首相は「批判や懸念が出てこざるを得ないような事案」と認めざるを得なかった。防衛省内では「完全な票読みだ」(幹部)との声すら上がった。
もっとも、真部氏は投票呼び掛けの動機を「なるべく多くの市民の考えが反映されるようになればいい」「どちらかに肩入れする認識はなかった」とかわし、田中直紀防衛相も「現時点で、公選法、自衛隊法に抵触するものではない」と真部氏を擁護した。政府は、(1)告示前なので候補者への支持・反対に当たらない(2)明示的に支持・反対を伝えていない-ことから法令違反ではないと判断しているとみられ、処分も当面見送りを決めた。
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