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てらまち・ねっと



 とてもショッキングだった光市母子殺害事件。
 裁判経過も曲折し、最高裁は下級審に「死刑にすべき」と差し戻した経過、そして昨日の「再度の最高裁」での死刑確定。
 死刑で当然だと平気でいう人たちもいるのだろう。
 ちょっと待てよ、と思う人もいる。
 
 ともかく、昨日の最高裁の死刑判決では異例に、「反対意見」がついた。4人の裁判官のうちの3人の結論。
 昨日の判決に付された「反対意見」、それを読んで行くと、少年の育った経過がある程度、見えてくる。
 
 ということで、下記に最高裁の判決の全文にリンクし、「反対意見」から一部を抜粋しておく。
 続いて、判決を評した新聞記事などを記録。

 なお、少年の育ちについて、主要メディアは語らないけれど、一部は流れていることもある。
 たとえば 
 公判でも明らかにされたが、彼は特異な家庭環境で育った。父親は事あるごとに暴力を振るい、したたかに殴られた夜には、のちに自殺する母親がFの寝床に潜り込み「生まれ変わったら結婚しよう」「あなたの子供がほしい」……と囁いていたという。彼が育ったこうした“健全とは言い難い成育環境”は、発達障害やコミュニケーション不全というかたちで、のちにFを苦しめることになる。 (日刊SPA) 下記に記録。

 少年の父親による母子への暴力、母親による少年への性的虐待、その後の状況、
 最高裁の多くの裁判官には、「そんなことはたいしたことではない」あっても「本人の責任だ」、
 「だから許されない」そんな風にしか映らないのかと思えてくる。

 こんなことがあってはならないのは当然だけど、それがあるのが世の中。
 社会が成熟しないといけないと痛感する。

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 ●最高裁/最新判例

平成20(あ)1136
事件名   殺人,強姦致死,窃盗被告事件
裁判年月日  平成24年02月20日
法廷名   最高裁判所第一小法廷
裁判種別  判決
結果   棄却
死刑の量刑が維持された事例(光市母子殺害事件)

● 判決全文
・・・・
裁判官宮川光治の反対意見は,次のとおりである。

1 私も,多数意見と同じく,被告人の本件行為は,(1) 被害者に対する殺人,強姦致死,(2) 被害児に対する殺人,そして,(3) 窃盗にそれぞれ該当すると考える。被告人の弁解は不合理であり,遺族がしゅん烈な被害感情を抱いていることは深く理解できる。被告人の刑事責任は誠に重い。
 私が多数意見と意見を異にするのは,次の点である。

被告人は犯行時18歳に達した少年であるが,その年齢の少年に比して,精神的・道徳的成熟度が相当程度に低く,幼いというべき状態であったことをうかがわせる証拠が本件記録上少なからず存在する。精神的成熟度が18歳に達した少年としては相当程度に低いという事実が認定できるのであれば,・・・

・・・・
また,刑法41条は14歳未満の者の行為は罰しないとしており,16歳未満の者は故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合であっても家庭裁判所から検察官へ原則送致はされない(少年法20条2項)。これらの背景には,行為規範の内在化が特に進んでいない年少少年の行為については,刑法的に非難することは相当でなく,刑罰による改善効果も威嚇効果(犯罪防止効果)も期待できないという考えがあると思われる。
以上を総合して考えると,精神的成熟度が少なくとも18歳を相当程度下回っていることが証拠上認められるような場合は,死刑判断を回避するに足りる特に酌量すべき事情が存在するとみることが相当である。

・・・
少年調査票の家庭裁判所調査官3名の意見は,小学校入学前後から激しくなった両親の諍い,父親の暴力,被告人の被虐意識,中学1年時の母親の自殺等が被告人の精神形成に影響を与えたことを示している。父親の暴力は,1審,第1次控訴審,第1次上告審では取り上げられていないが,12歳時における母親の自殺とともにこの事実が被告人の幼少年期において与えた影響をどう評価するかは,本件の重要なポイントでもあると思われる

・・・
。しかしながら,家庭裁判所調査官は,「3歳以前の生活史に起因すると思われる深刻な心的外傷体験や剥奪,あるいは内因性精神病の前駆等により人格の基底に深刻な欠損が生じている可能性も疑える」と記述しているのであり,鑑別結果通知書中においても,顕著な内面の未熟さのほか,幼児的万能感の破綻,幼児的な自我状態が指摘されている

そして,家庭裁判所調査官は心理テスト(TAT:絵画統覚検査)結果の解釈として,「いわゆる罪悪感は浅薄で未熟であり,発達レベルは4,5歳と評価できる」と記述し,
・・・「4,5歳」であるとの評価には疑問もあるが,家庭裁判所調査官の認識は被告人においては行為規範の内在化はかなり遅れており,人格的成長は幼いというものであったと思われる・・・・
被告人の人格発達は極めて幼いこと,その原因は,被告人が父親の暴力に母親とともにさらされ,その恐怖体験が持続的な精神的外傷となっており,またそうした暴力を振るう父親に恐怖しながら,強い父親に受け入れてもらいたいという矛盾する感情に引き裂かれてもいること,こうした生育歴の中で被告人は同年齢の者よりも幼い状態であったが,12歳の頃,母親が苦しみ抜いて自殺したことを目撃するという強烈で決定的な精神的外傷体験があり,この結果として,被告人の精神的発達はこの時点の精神レベルに停留しているところがあるという意見は,説得力があると思われる。

・・・
審理を尽くし,再度,量刑事情を検討して量刑判断を行う必要がある。したがって,原判決は破棄しなければ著しく正義に反するものと認められ,本件を原裁判所に差し戻すことを相当とする。


●光市母子殺害 裁判官1人が死刑に反対意見
         日経 2012/2/20 15:37
 光市母子殺害事件で、殺人と強姦致死などの罪に問われた元少年、大月孝行被告(30)の死刑を支持した20日の最高裁第1小法廷判決で、宮川光治裁判官(弁護士出身)は「死刑判決を破棄し、高裁へ差し戻すべきだ」とする反対意見を述べた。死刑判決での反対意見は異例。
 死刑とした差し戻し控訴審判決を是認し、被告側上告を棄却した多数意見は3裁判官が支持した。裁判長を務めた金築誠志裁判官(裁判官出身)は多数意見に賛成したうえで「審理は尽くされた」とする補足意見を述べた。

●光市母子殺害事件の最高裁判決要旨 
            中日 2012年2月20日 19時29分
 20日に言い渡された光市母子殺害事件の最高裁判決の要旨は次の通り。
・犯行時18歳だった被告は暴行目的で被害者を窒息死させて殺害し、発覚を免れるために激しく泣き続けた生後11カ月の長女も床にたたきつけるなどした上で殺害した。

・甚だ悪質で、動機や経緯に酌量すべき点は全く認められない。何ら落ち度のない被害者らの尊厳を踏みにじり、生命を奪い去った犯行は、冷酷、残虐で非人間的。結果も極めて重大だ。

・殺害後に遺体を押し入れに隠して発覚を遅らせようとしたばかりか、被害者の財布を盗むなど犯行後の情状も悪い。遺族の被害感情はしゅん烈を極めている。

・差し戻し控訴審で、故意や殺害態様について不合理な弁解をしており、真摯(しんし)な反省の情をうかがうことはできない。平穏で幸せな生活を送っていた家庭の母子が白昼、自宅で惨殺された事件として社会に大きな衝撃を与えた点も軽視できない。

・以上の事情に照らすと、犯行時少年であったこと、被害者らの殺害を当初から計画していたものではないこと、前科がなく、更生の可能性もないとはいえないこと、遺族に対し謝罪文などを送付したことなどの酌むべき事情を十分考慮しても、刑事責任はあまりにも重大で、差し戻し控訴審判決の死刑の量刑は、是認せざるを得ない。

 【宮川光治裁判官の反対意見】
・被告は犯行時18歳に達していたが、その年齢の少年に比べて、精神的・道徳的成熟度が相当程度に低く、幼い状態だったことをうかがわせる証拠が存在する。

・精神的成熟度が18歳に達した少年としては相当程度に低いという事実が認定できるのであれば「死刑を回避するに足りる特に酌量すべき事情」に該当しうる。

・被告の人格形成や精神の発達に何がどう影響を与えたのか、犯行時の精神的成熟度のレベルはどうだったかについて、少年調査記録などを的確に評価し、必要に応じて専門的知識を得るなどの審理を尽くし、再度、量刑判断を行う必要がある。審理を差し戻すのが相当だ。

 【金築誠志裁判官の補足意見】
・人の精神的能力、作用は多方面にわたり、発達度は個人で偏りが避けられないのに、精神的成熟度の判断を可能にする客観的基準はあるだろうか。

・少年法が死刑適用の可否について定めているのは18歳未満か以上かという形式的基準で、精神的成熟度の要件は求めていない。実質的な精神的成熟度を問題にした規定は存在せず、永山事件の最高裁判決も求めているとは解されない。

・精神的成熟度は量刑判断の際、一般情状に属する要素として位置付けられるべきで、そうした観点から量刑判断をした差し戻し控訴審判決に、審理不尽の違法はない。

●<光市母子殺害> 遺族の本村さん「悩み続けた13年間」
          毎日新聞 2012年2月20日 
 司法の最終結論は「極刑」だった。山口県光市で99年に起きた母子殺害事件に対する20日の差し戻し上告審判決。死刑と無期懲役で揺れ続け、「犯罪被害者の権利とはなにか」という問題も浮き彫りにした事件は発生から約13年、5度目の判決で終結した。布に包んだ2人の遺影を抱え、目を閉じて判決を聞いた遺族の本村洋さん(35)は「悩み続けた13年間だった。遺族としては満足だが、決して喜びの感情はない。判決に勝者はいない」と語った。【安部拓輝、和田武士】

 ◇「判決に勝者いない」
 「本件上告を棄却する」。午後3時、最高裁第1小法廷に金築誠志裁判長の声が響いた。本村さんは裁判官4人に深く一礼し、隣にいた妻弥生さん(当時23歳)の母親に「長い間、お疲れ様でした」と言葉をかけた。

 その後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見。「13年間、この事件に関心を持ってくださったことに感謝しています」。報道陣を前に、本村さんはそう切り出した。

 少年に立ち直りのチャンスを与えるべきか、命で償ってもらうべきか。ずっと考え続けてきた。この日は「日本では死刑制度がある以上、18歳でも死刑が科される。被害者の数にとらわれず、被告を見極め、悩んで下した判決だったと受け止めたい」と語った。

 判決は、元少年が差し戻し控訴審で一転、殺意を否認したことを「不合理な弁解」と指摘した。本村さんは「反省の情があれば死刑は下らなかった。残念だ。罪をかみしめ、それを乗り越えて受け入れてほしい」と複雑な思いをのぞかせた。

 一連の裁判は優先的な傍聴権や被告への意見陳述権など犯罪被害者遺族の権利向上にも結びついた。一方で、感情をあらわにした言動により「死刑の推進者」というイメージで語られることに戸惑いもあったという。

 この日の会見では「時間は最良の相談相手。冷静に事件を見つめられるようになった」と振り返った。亡くなった妻と長女に元少年も加え「3人の命を無駄にしないよう、死刑のような判決が出る事件がない社会を実現するにはどうすべきか、考えるきっかけになれば」と訴えた。

 感情を抑えた静かな口調で約1時間。終了に際し、本村さんは09年に入籍し、2人で墓参していることを明かした。「弱い私を支えてくれる素晴らしい人と出会えた。前を向いて笑って生きていくことも大切だと思っています」。新たな家族との歩みに感謝の思いもみせた。

●光市母子殺害:少年の死刑廃止「検討を求める」日弁連会長
          毎日新聞 2012年2月20日 23時15分
 日本弁護士連合会の宇都宮健児会長は「少年事件の特性を考慮しておらず誠に遺憾だ。
政府に対して改めて犯行時少年に対する死刑を廃止するための抜本的な検討を求める」とする声明を出した。

●社説:光事件元少年死刑 判決が投げかけた意味
     毎日新聞 2012年2月21日 2時30分
 99年に起きた山口県光市の母子殺害事件で、最高裁が殺人や強姦(ごうかん)致死罪などに問われた元少年の上告を棄却し、死刑が確定する。
 排水管検査を装って訪問した家で、母親を殺害後に強姦し、傍らの11カ月の乳児の首を絞めて殺害したとされる事件だ。最高裁は「冷酷、残虐で非人間的だ。死刑は是認せざるを得ない」と結論づけた。

 裁判は大きく変遷した。
 検察側の死刑求刑に対し、1審・山口地裁は無期懲役とし、2審・広島高裁も無期懲役を支持した。しかし、06年の最高裁判決は「無期懲役の量刑は不当で正義に反する」として、審理を広島高裁に差し戻した。

 その後、差し戻し控訴審で08年、広島高裁が死刑を言い渡していた。差し戻し審で元少年は殺意を明確に否定する新供述を展開したが、「不自然不合理」と退けられた。

 事件当時、元少年は18歳になって間がなかった。死刑を回避するか否か--。裁く側がこれほど厳しい判断を迫られる例はあまりない。

 父親の家庭内暴力にさらされたり、母親を自殺で亡くしたりするなど家庭環境も不遇だった。とはいえ、あまりにむごい状況を見れば、死刑は当然と思う人も少なくあるまい。
 今同様の事件が起これば裁判員が裁く。何が極刑選択を左右するのか。判決が投げかけた意味は重大だ。

 結果的に死刑の結論を支持した最高裁判決は、少年事件における厳罰化の流れを決定づけるだろう。

 最高裁は83年、死刑適用の指標として、いわゆる「永山基準」を示した。被害者の人数や殺害方法の残虐性、被告の年齢など9項目を挙げ、総合的に考慮してもやむを得ない場合に死刑の選択が許されるとした。

 特に重視されてきたのが被害者の人数だ。83年以後、少年による「2人殺害」で死刑が確定するのは今回が初めてになる。少年事件では更生可能性にも重きがおかれてきたが、その様相も変わるだろう。

 ただし、最高裁が厳罰化の方向だけを打ち出したと見るべきではない。今回、宮川光治裁判官が反対意見を述べたことに注目したい。死刑の選択に当たって、最高裁の中で意見が割れるのは極めて異例だ。

 宮川裁判官は、差し戻し控訴審で出された2人の専門家の鑑定書などを基に、元少年の精神的な成熟度が18歳を相当程度下回っていた可能性に触れ「その場合、死刑判断を回避する事情が存在するとみるのが相当だ」と主張し、さらなる高裁での審理を求めたのだ。

 凶悪事件を起こした少年に対して社会がどう臨むのか。死刑制度の議論と併せ、国民一人一人が難しい問題に向き合う時代がきている。

●【光市母子殺害】元少年Fが託した最期の言葉
            2012年02月20日17時15分 日刊SPA!
 妻と子の尊い命を奪われながらも、長きにわたって過酷な裁判に耐え、毅然とした態度で極刑を求め続けた本村洋さんの姿に涙した人も多いだろう。2月20日、’99年に起きた光市母子殺害事件を巡る裁判で、最高裁による“最後の審判”が下される。 ‘08年に死刑判決の出た最高裁の差し戻し控訴審で弁護団に参加しながらも、その弁護方針の違いから突如「解任」された今枝仁弁護士が、最高裁判決の直前、「元少年」Fから託された「最期の言葉」を綴る――。

 「死刑はやっぱり怖いよ。国から命を奪われるわけだからね」考え得るもっとも重い審判を下される“覚悟”は、すでに’08年に広島高裁で出された死刑判決を聞いた直後からあったのだろう。面会室のアクリル板越しに座るFの表情からは、意外にも悲壮感めいたものは感じられなかった。

 最高裁の最終決定が出される2月20日のちょうど1週間前、私は彼に会うため広島拘置所を訪れていた。

 「でも、こうなってみて初めて、僕が2人の大切な命を奪ってしまったことの意味が、少しずつだけどわかってきたような気がするんだ……」自分の犯した罪とどう償えばいいのか、何の落ち度もなく被害に遭われた本村弥生さん(当時23歳)、そして、お子さんの夕夏さん(同生後11か月)をどう弔えばいいのか、ご遺族となられた本村洋さんにどう贖罪の思いを伝えていけばいいのか……。

 ‘08年の死刑判決以来、彼がずっと向き合ってきた胸の奥の葛藤だ。

 事件当時、「18歳と30日」という年齢だったため、少年への死刑適用の是非が問われた本件だが、実は、F自身かねてより死刑制度は存続すべきという立場を取っている。

 「もしも許されるなら、生きて償う道を与えてほしいと思うけど……。僕のしたことは、2人の尊い命を殺めたのだから、僕の命をもって償わなければならないものだとも思う」彼に寄り添い続けた私のひいき目ではなく、差し戻し控訴審で死刑判決を受けてからのFは、少しずつだが強くなっているように感じた。

 公判でも明らかにされたが、彼は特異な家庭環境で育った。父親は事あるごとに暴力を振るい、したたかに殴られた夜には、のちに自殺する母親がFの寝床に潜り込み「生まれ変わったら結婚しよう」「あなたの子供がほしい」……と囁いていたという。彼が育ったこうした“健全とは言い難い成育環境”は、発達障害やコミュニケーション不全というかたちで、のちにFを苦しめることになる。

 「凶悪殺人鬼」のイメージとはほど遠い、同世代の青年よりも童顔で、社会性を欠いたアンバランスな言葉遣い……。贖罪の方法すら自身で見つけられないほど幼稚だった彼が、30歳になり、ようやく自らの犯した罪に真摯に向き合えるようになっている……そう、面会時に私は感じた。

 「警察、検察や裁判官が悪かったとは思わない。僕が、うまく自分の思いを表現できなかった未熟さが招いたんだ。今は、自分のこと 相手に理解できる言葉でうまく伝えて、良くも悪くも適確に評価してほしい。そして『不謹慎だ』『反省していない』と批判されたら、それを反省のチャンスにして成長したいんだ」一方で、この裁判には死刑制度へのスタンスが大きな影を落としたのも事実だろう。私が解任された「大弁護団」は、主任弁護人の安田好弘氏が日本の死刑廃止運動のオピニオンリーダー的な存在だったことから、Fの弁護活動を運動に利用している……との批判も浴びた。かねてより死刑存置派であった私もこの非難の渦に巻き込まれ、精神的に疲弊した結果、数か月間弁護士業務の休養を余儀なくされたくらいだ。

 悲しいかな、Fも死刑の賛否両論の渦に絡め取られてしまったのだろう。面会時、こんなことも話していた。

 「裁判所には、いろいろなことの判断を求めているんだ。裁判所は僕を判断する立場だけれども、社会から評価を受ける立場でもある。僕の刑が決まるだけじゃなく、これからのこの国の裁判の参考基準を示すことになるだろうから、何十年もの批判に耐える、しっかりした判決文を書いてほしい。そうしてもらえれば、僕も幸いだよ」

 2/21発売の『週刊SPA!』では、Fの更なる“最期の言葉”が掲載されている。 <文/今枝仁 撮影/週刊SPA!編集部>

●光市母子殺害「殺意はなかった」「批判を受けないように判決を」 大月被告が判決前、接見の弁護士らに語る
        news.livedoor 2012年02月20日16時57分提供:産経新聞
 大月孝行被告は、どのような生活を送っているのか。判決前に広島拘置所で面会した弁護士やジャーナリストらによると、遺族の本村洋さんには「おわびしたい」と謝罪の言葉を述べる一方で、判決の内容に話題が及ぶと、「殺意はなかった」と強い口調で訴えかけるという。

 差し戻し控訴審の途中まで弁護人を務めた今枝仁弁護士は、先週も接見。「本人は元気。たくましく、強くなった感じがした」と語り、20日の判決を目前に控えても特に変わった様子はなかったという。接見の中では、大月被告が自身への判決を「(死刑選択の基準となった)永山基準のように、今後の基準になるかもしれない。後で批判を受けないよう、しっかりとした判決を書いてほしい」と客観的に語ることもあった。

 また、ジャーナリストの門田隆将さんは死刑とした差し戻し控訴審判決の直後から、6、7回にわたって被告と面会を続けてきた。
 「胸のつかえが下りました」。差し戻し控訴審判決直後に初めて面会した際、大月被告はこう語り、穏やかな表情を見せたという。
 最後の面会となった昨年6月の際には「なかなか理解してもらえないが、死刑で償いたいという気持ちと、しかし、それだけでいいのかという気持ちがある。僕自身も揺れている」と複雑な心境を吐露。また、東日本大震災にも触れて「こういう中でも、私は(拘置所にいて)食べていける。生きているだけでも感謝しないといけないと思う」と命の尊さをかみしめている様子だったという。
 だが、弥生さんと夕夏ちゃんへの殺意が認定された判決に話が及ぶと、「殺意を持つような相手ではない」と否定し、「母への甘えたさから、弥生さんに抱きついただけだった」などという差し戻し控訴審での主張が本当なのだと、訴えかけてくるという。

 最初の控訴審では、友人への手紙で、犯行を犬の交尾に例えたとされる内容も明らかになった。
 門田さんは「反省は深まっているように思う」と大月被告の心境の変化を指摘した上で、「自分が犯した罪の重さに堪えかねて、無意識のうちに自分の行為に、理由付けを行っているのではないか」と話した。
 弁護人からの差し入れなどで、本を400冊ほど持っており、好きな本は、世界的ベストセラーになった哲学入門書「ソフィーの世界」。また、ドイツ文学を好んで読んでいるという。

●死刑判決 評価分かれる専門家
        NHK 2月20日 20時51分
山口県光市で主婦と幼い娘を殺害した罪に問われた当時18歳の元少年について「少年であっても死刑にせざるをえない」と判断した最高裁の判決に対する評価は、専門家の間でも分かれています。

このうち、少年法が専門の千葉大学大学院の後藤弘子教授は「判決では『更生の可能性もないとはいえない』と指摘しており、それならば死刑を適用すべきでなかった。少年であっても、結果が重大であれば死刑になるという流れが加速してしまうおそれがある」と批判しました。そのうえで「少年は未成熟であるがゆえに、大人よりも残虐になることがある。家庭環境などの影響もあるので、責任のすべてを少年に負わせていいのか考慮しなければならない」と述べました。

一方、刑法が専門の首都大学東京・法科大学院の前田雅英教授は「最終的に、これだけのことをしたら18歳でも死刑になるという判断は、多くの国民にとってふに落ちる判決だと思う。少年の成熟度の話は広島高裁でも審理していることから、最高裁の判決は、死刑に対する世論も考えると国民一般からしても分かりやすいと言える」と述べ、判決を評価しました。

●【光市母子殺害事件】死刑争点の主な少年事件
           共同通信 
死刑が争点となった主な少年事件は次の通り。
 【連続4人射殺】
 東京、京都、函館、名古屋で1968年、19歳だった永山則夫(ながやま・のりお)元死刑囚(97年執行)が警備員ら4人を射殺。一審死刑、二審無期懲役。最高裁が審理を差し戻した高裁で再び死刑となり、90年の差し戻し上告審で確定。

 【アベック殺人】
 名古屋市で88年、19歳の少年らが男女2人から現金などを奪い殺害。少年は一審死刑、二審無期懲役で確定。

 【一家4人殺害】
 千葉県市川市で92年、19歳の少年が会社役員宅に押し入り一家4人を殺害、1人にけがを負わせ現金などを強奪。一、二審死刑が最高裁で確定。

 【連続リンチ殺人】
 大阪、愛知、岐阜の3府県で94年、男性4人が18~19歳の少年3人にリンチを受け死亡。3人は強盗殺人罪などに問われ、一審では1人が死刑、2人が無期懲役だったが、二審では3人とも死刑とされ最高裁で確定。

 【大阪、大分3人殺傷】
 2001~02年、中国人の19歳の少年が大阪市で35歳の女性を殺害、大分県で会社社長夫妻を死傷させた。検察側の死刑求刑に対し一、二審の無期懲役が最高裁で確定。

 【石巻3人殺傷】
 宮城県石巻市で10年2月、18歳の少年が2人を殺害、1人に重傷を負わせた。同年11月の仙台地裁判決は裁判員裁判で初めて少年を死刑に。仙台高裁で控訴審公判中。


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09:14 from web
先日、北海道の人たちが約600人が北電に原子炉全3基の廃炉などを求めた訴訟の第1回口頭弁論で、電力会社側が「絶対的な安全性はない」と認めた。それと、しばらく前に、NHKがまとめた、原発立地自治体への交付金や寄付金のこと。そのところの記録⇒bit.ly/zsjZyx

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