●シリーズ 現代日本政治の動向 1990年代以降の政界再編と政党システムの流動化/山本 健太郎
多言語発信サイト「nippon.com」 [2013.11.21]
日本政治は、1993年の自民党分裂を機に「政界再編」の時代に突入した。それから現在に至るまでの政党システムの変化を山本健太郎・北海学園大学講師が振り返る。
政界再編過程の3つの時期
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政界再編の始まりと新進党の挑戦
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新たな最大野党・民主党
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民主党の政権奪取とその後
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おわりに
2009年以降の民主党の成功と失敗は、リーダーや党内のマネジメントといった民主党独自の要因によってのみ語られるべきものではなく、日本における政界再編の必然的帰結としても理解することができる。
現在の日本では、政権獲得を目指す政党は、より大規模な勢力としてまとまって選挙に臨むことが重要である。これは、衆議院の選挙制度が、小選挙区制を中心に、比例区もブロック制で、いずれも大政党に有利な制度になっているためである。
政界再編の時代に突入してもなお、自民党が第一党の座を占め続けた中で、それに対抗する勢力を作ろうとする動きは、いずれも大規模化のための合併の歴史であった。
最初に結成された新進党は、民主党という別の新党の存在もあり、非自民勢力の一本化に失敗した。しかし、新進党に代わって第二党になった民主党は、次第に議席を増やし、2003年には事実上の一本化に成功した。2007年の参院選、2009年の総選挙の勝利はいずれも、この成果としてとらえられる。
だが、政権獲得のために、何はともあれ大規模化を第一の目標にするということは、政策的な共通項を犠牲にするということとイコールである。政権獲得後の民主党政権が、党内対立に明け暮れ、十分な成果を上げられないまま退場を余儀なくされたのは、その帰結にほかならない。
その後、有権者に見放された民主党に代わり、地方からさっそうと現れた日本維新の会や、みんなの党が注目を集めた。だが、維新の会やみんなの党の前途には、解決しがたい大きなジレンマが横たわっている。規模を拡大しようとすればするほど、多様な政策志向の議員を抱え込むことになり、党の凝集性が弱まる。
しかし、凝集性を強めようとすれば、規模の拡大に慎重にならざるをえない。衆議院の選挙制度が現行のままである限り、自民党に対抗する大政党を作ろうとする試みは、同様のジレンマに直面してしまうだろう。日本における政界再編の歴史は、そのことをわれわれに教えているのである。
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