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てらまち・ねっと



 コロナ関連のニュースの中で、今日は「ワクチン」のことが目に付いた。
 まるで秋には「ワクチン」が出回りそうな雰囲気に仕立てられる。その理由は、一つは製薬会社の前のめりの見込み発表、もう一つは政治家の「期待発言」やトランプ流の「先行投資約束」。
★≪日経/コロナワクチン、9月にも実用化 英米が先行≫

 振り返るに、過去にも「開発がうまくいかなかった」類のことはいろいろとあった。製薬会社は株価が上がって喜び、失敗した時は下がるだけで済む。特に今回は、政府から資金援助が次々となだれ込むから失敗しても研究成果はストックできる。
 政治家は、失敗しても自分の責任ではなく、自分の役割りは人々の心配を和らげる(ごまかす)ことだと考えているからだろう。

 しかも、今回は安全性を中途にした見切り発車を当然のこととするらしい。
★≪日経/厚生労働省は新型コロナウイルスのワクチンの副作用で健康被害が生じた場合に被害者の医療費などを補償する制度をつくる≫

 ともかく否定的にものを考えるのでなく、客観的に考えると現状を批判的に見るしかない。報道もそのスタンスは持っている。

 ★≪産経/いずれも患者の死亡率を下げると報告されたが、レムデシビルは投与から14日目で7・6%、デキサメタゾンは28日後で21・6%の患者が死亡しており、特効薬とは言い難い。富士フイルム富山化学の「アビガン」は国産品として期待が高いが、明確な効果は証明されていない。武田薬品工業が開発中の抗体製剤は根治療法に近い効果が見込まれているものの、効果や安全性を検証する治験はこれからだ。≫

 ということで上記のほかに以下を記録しておく。
●新型コロナ、免疫持続は数カ月どまり 各国で研究報告/日経 2020/7/18
●アメリカ1日の感染者数 2日連続7万人超か 新型コロナウイルス/NHK 2020年7月19日 6時19分

●コロナ論文撤回、相次ぐ 緊急時に揺らいだ科学への信頼/朝日 2020年7月15日
●ビル・ゲイツが語る“コロナ後の世界”「ワクチンなしに日常は戻らない」/「文藝春秋」編集部 2020年07月14日
●焦点:新型コロナの免疫「消滅」、ワクチン開発ハードル上がる/ロイター 2020年7月16日 08:05

●「ワクチンしか望みはない」…感染によって免疫を獲得できるのはごくわずかであることを研究結果が示す/businessinsider 7. 16, 2020 
●ワクチン開発はここまで進んでいる 日本人の遺伝子に適合したワクチンや治療薬を開発/糖尿病ネットワーク ニュース 2020年07月10日

●新型コロナ「ワクチン」「治療薬」開発はなぜ進展しないのか/新潮社 フォーサイト 7/3
●コロナワクチン、年内の実用化は無理 WHO幹部が明言/ロイター 2020年7月23日
●WHO専門家「新型コロナワクチン接種は来年前半になる」/tbs 23日 7時50分
●新型コロナ ワクチン開発の苦境-ワクチン実用化に時間がかかる理由は何か?/基礎研REPORT7月号[vol.280] 

 なお、昨日7月23日の私のブログへのアクセスは「閲覧数3,954 訪問者数1,594」。

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●新型コロナ、免疫持続は数カ月どまり 各国で研究報告
    日経 2020/7/18
新型コロナウイルスに一度感染して増強された免疫の能力が、数カ月で落ちるという研究報告が相次ぐ。免疫を持つ人に証明書を発行するという考え方もあるが、実現は難しい。様々な検査を適時受けられるように体制を整え、感染を広めにくい人を示せるようにして、経済活動と感染症対策の両立を目指す必要がある。

英ロンドン大学などの研究チームは11日、65人の感染者を対象に、新型コロナウイルスを倒す体内物質「抗体」の持続期間の調査結果を公表した。体内では抗体だけでなく様々な細胞などがウイルスなどを倒す免疫として働く。抗体は感染防御で特に重要な物質だ。

調査結果はまだ他の研究者の査読を受けていないが、抗体の量は発症から約3週間でピークになり、その後減った。平均値は…

●アメリカ1日の感染者数 2日連続7万人超か 新型コロナウイルス
      NHK 2020年7月19日 6時19分
アメリカでは、1日に報告された新型コロナウイルスの新たな感染者の数が2日続けて7万人を超えたと主要なメディアが伝えていて、感染の再拡大に歯止めがかからない状況になっています。

アメリカでは、1日に報告された新たな感染者の数がジョンズ・ホプキンス大学のまとめで16日に7万7255人となり、初めて7万人を超えました。
アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズなどは、16日に続いて17日も7万人を超えたと伝えていて、感染の再拡大に歯止めがかからない状況になっています。
メディアによりますと、南部フロリダ州では感染者を受け入れるベッドの数が上限に達した病院もあるということで、今後重症患者や死者の数が大幅に増えれば、再び深刻な状況に陥りかねないと懸念されています。

アメリカでは感染が再び拡大している州でマスクの着用や経済活動の再開をめぐる州政府の対応にばらつきがあり、多くの専門家が連邦政府に対し実効性のある感染対策を講じるよう求めています。

●コロナ論文撤回、相次ぐ 緊急時に揺らいだ科学への信頼
   朝日 2020年7月15日 ワシントン=香取啓介
 新型コロナウイルスの感染拡大は、世界の社会・経済に大きな打撃を与えた。だが影響はそれだけではない。未知のウイルスと戦うために必要な科学への信頼を揺るがす不祥事も相次いだ。(ワシントン=香取啓介)

 英ランセット、米ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)という世界のトップ医学誌2誌が6月上旬、同時に論文を撤回した。

英医学誌ランセットに掲載された抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンに関する論文。新型コロナウイルス感染症の治療に使った場合の安全性に関するもので、「撤回」の印がついている

 いずれも新型コロナ治療薬の候補を探す研究で、共通点は、米シカゴ拠点の「サージスフィア」という無名の会社によるデータを使っていたことだった。

●ビル・ゲイツが語る“コロナ後の世界”「ワクチンなしに日常は戻らない」
    「文藝春秋」編集部 2020年07月14日
「文藝春秋」7月号の特選記事を公開します。(初公開:2020年6月13日)
 マイクロソフト社共同創業者のビル・ゲイツ氏は、約20年も前から、新型ウイルスのパンデミックに対して警鐘を鳴らしてきた。
「もし今後数十年で1000万人以上が死ぬことがあるとすれば、最も可能性が高いのは戦争ではなく感染力の非常に高いウイルスだろう」

「仮にスペイン風邪のような感染爆発が起こった場合、今は医療が進んでいるからそれほど深刻にならないと思うかもしれないが、世界が密接に結びついた現代だからこそ、世界中の大都市に瞬く間に感染が拡がる」
 などと述べ、まさに今日のような事態を“予言”していたのである。
・・・(以下、略)・・・

●焦点:新型コロナの免疫「消滅」、ワクチン開発ハードル上がる
     ロイター 2020年7月16日 08:05
[ロンドン 14日 ロイター] - 新型コロナウイルス感染者の免疫が、短期間で失われる可能性を示す証拠が出てきた。今後の感染拡大局面で人々をウイルスから完全に守ることができるワクチンの開発を進める製薬会社などにとって、ハードルが一段と上がってしまった形だ。複数の専門家は14日、こうした見方を示した。

中国やドイツ、英国など各地で行われた暫定的な研究結果からは、新型コロナに感染した人には抗体が作られるものの、わずか数カ月で消滅する様子が見受けられる。

ロンドンにあるインペリアル・カレッジのダニエル・アルトマン教授(免疫学)は「大半の感染者には(抗体が)できる。だがしばしばそれらは急速に消えてしまいかねない。つまり免疫力がほとんどつかないことが示唆されている」と述べた。

これはワクチン候補の開発者はもとより、将来のパンデミック(世界的な大流行)に備えた国民へのワクチン供給を目指している各国の公衆衛生当局にも重大な問題を投げ掛けている。

英リーズ大学のスティーブン・グリフィン准教授(医学)は「(パンデミック抑制で)1つのワクチンに依存し過ぎるのは賢明ではないという意味だ」と指摘。ワクチンに本当の効果を持たせるには「より強力化して免疫力を長引かせるか、定期的に接種する必要があるのではないか」と述べた上で、どちらも決して簡単ではないと警告した。
現在は世界中で100を超える研究チームや企業がワクチン開発を競っていて、少なくとも17件が臨床試験の段階に入っている。

アストラゼネカ(AZN.L)がワクチン候補「ADZ1222」を豚に投与した試験では、1回よりも2回使用した場合の方が抗体値は高まった。ただ今のところどの臨床試験でも、十分強力で持続的な免疫力を証明するデータは見つかっていない。

<大きな試練>
英オックスフォード大学の客員教授(微生物学)で、以前はサノフィのワクチン事業部門の研究者だったジェフリー・アーノルド氏は、データがないのは単純に時間が理由の1つだと説明する。ワクチン候補の開発・試験は6カ月足らずという非常に短い期間で進められてきたので、免疫の持続性を示すのには不十分だった。

一方で、アーノルド氏をはじめとする何人かの専門家は、新型コロナ感染で獲得される免疫の自然な減衰プロセスが、ワクチン接種による場合とは必ずしも同じにはならないとの見方も示している。

アーノルド氏は電話インタビューで「われわれはワクチンを使って、もちろんウイルスを直接感染させるのではなく、(遺伝子工学の)異なる核酸分子でもたらされる表面タンパク質を複製しようとしている。これを腕に接種する」と説明し、理想的な目標はワクチンの免疫機能を自然のウイルスよりさらに強くして、自然のウイルス感染よりも免疫獲得を高めることだとも述べた。

リーズ大学のグリフィン氏は有効性が期待できる1つのやり方として、有効なワクチンが開発された際には「ブースター効果」を狙う接種を当局が考えるべきだとも指摘した。何百万人もの人に一定の間隔を置いて複数回投与するか、最適な免疫機能を引き出すために1人ごとに2種類もしくはそれ以上の混合ワクチンを接種することだ。

ただ、いずれも相当大きな挑戦と言える。グリフィン氏は、世界全体に1回分ずつのワクチンを供給するだけでも大仕事だが、複数回分を接種するとなれば全く違う話になると強調した。

●「ワクチンしか望みはない」…感染によって免疫を獲得できるのはごくわずかであることを研究結果が示す
    businessinsider 7. 16, 2020 Hilary Brueck
抗体検査は、新型コロナウイルス感染症などの病気に対して、人の体内で防御反応が起きているかどうかを調べることができる。
世界中で行われている抗体の研究によると、別のコロナウイルスによる感染症では、ある程度防御できるようになる人が10人に1人以下だという。
「現在の抗体検査の問題は、それが何を意味するかが分からないことだ」と、ワクチンとウイルスの専門家はBusiness Insiderに語った。

・・・(略)・・・
スペインの最新の抗体検査で、感染からわずか数カ月後には、ウイルスに対する免疫が弱まっている人がいることが示唆された。中国の新型コロナウイルス感染症に関する査読前の論文によると、特に40歳以下の若い患者の中には、抗体をまったく作らない人もいるという。

「重要なことは、身を守るためにどのくらいの抗体が必要かということだ」と、クラマーは言う。

感染またはワクチンによって十分な数の人が病気に対する抗体を持つ、集団免疫の状態に至るのは予防接種抜きには不可能だと、多くの証拠が示している。

「ワクチンができるまで我々にできることはほとんどない。そしてワクチンがあれば、集団免疫をすばやく獲得することができるだろう」とクラマーは述べた。

アメリカの感染症の専門家は、彼の考えに同意しているようだ。アンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)博士は7月9日、「我々が今できる解決策は、明らかにワクチンでなくてはならないと思う」とThe Hillに語った。
「2020年末から2021年初めまでには、ワクチンの接種を開始できると期待している」

●【新型コロナ】ワクチン開発はここまで進んでいる 日本人の遺伝子に適合したワクチンや治療薬を開発
     糖尿病ネットワーク ニュース 2020年07月10日
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの開発が世界各国で進められており、日本でも「DNAワクチン」の開発が臨床試験の段階に入った。
 日本人のCOVID-19の重症化に関わる遺伝子を調べ、それに適合したワクチンや治療薬を開発する研究も進められている。

期待がかかるDNAワクチンの開発
 世界保健機関(WHO)によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発プロジェクトは、現在世界で120以上が進行中だ。しかし、新型コロナウイルスはウイルス量が少ないため体内で抗体ができにくいなどの背景があり、ワクチン開発は容易ではない。
 世界各国の研究機関・製薬企業がしのぎを削っている中で、いち早く実用化が期待されているのが「DNAワクチン」だ。

 DNAワクチンは、ウイルス本体ではなくウイルスの遺伝子情報のみを投与する方法。ウイルスの遺伝子情報を入れたプラスミドDNAと呼ばれるベクター(運び屋)を体内に入れると、ウイルスが細胞に侵入する際に用いるタンパク質が大量に発生し、それに対して抗体ができるというもの。
 細胞培養や有精卵で製造するワクチンと異なり、DNAワクチンは大量生産が容易で、製造コストも安い。ウイルスそのものではないので病原性はなく、安全であるという利点もある。
・・・(以下、略)・・・

●コロナワクチン、9月にも実用化 英米が先行
       日経 2020/7/20
世界各国で開発中の新型コロナウイルスのワクチンの実用化が近づいてきた。臨床試験(治験)の最終段階を控えたものが複数あり、早ければ今年9月に最初の製品が市場に投入される見通しだ。日本でも塩野義製薬など自前での開発が相次ぐ。
日本ではワクチンの安定供給に向けて海外調達の多様化と国内の生産体制の整備が課題となる。

●新型コロナ「ワクチン」「治療薬」開発はなぜ進展しないのか
  新潮社 フォーサイト 7/3
・・・(略)・・・ ワクチンが本当に有効か否かを検証するには、プラセボ(薬としての有効成分が入っていない「偽薬」)を用いた大規模な第3相臨床試験を行い、ワクチン投与群で実際に感染者が減るかを調べねばならない。これをクリアして初めて、ワクチンの開発が成功したと言うことができる。

 これは至難の業だ。過去、エイズ(後天性免疫不全症候群)病原体の「HIVワクチン」をはじめ、多くのワクチンが第3相試験で失敗してきた。私が知る限り、日本の製薬企業でワクチンの第3相臨床試験を成功させたのは、「武田薬品工業」だけだ。中南米諸国や東南アジアなどで「デングウイルスワクチン」の臨床試験を実施し、昨年、その成績を発表した。

 新型コロナウイルスは、突然変異が生じやすい「RNAウイルス」だ。ワクチン開発は苦戦すると予想されている。麻疹・風疹(MR)や水痘ワクチンのような「生ワクチン」、インフルエンザなどの「不活化ワクチン」(培養ウイルスを精製し、加熱やホルマリンなどを用いて感染力をなくしたもの)ならともかく、新型コロナウイルスのようにmRNAやDNAなどの一部を体内に導入し、このような塩基が作り出す蛋白が、有効かつ持続的な免疫を誘導するかは分からない。

 開発中の多くのワクチンが、新型コロナウイルスがヒト細胞に感染する際に足がかりとなる「スパイク蛋白質遺伝子」を導入した、「遺伝子組み換えワクチン」を利用している。

 ところが、スパイク蛋白質遺伝子は突然変異が生じやすい、ということが知られているのだ。前出の製薬企業社員は、
「世界中で実施されているすべてのワクチン開発が失敗しても不思議ではない」
 と言う。米「国立アレルギー感染症研究所」のアンソニー・ファウチ所長も、
「ワクチンの有効率は70~75%がいいところだろう」
 とコメントし、米国民の3分の2が接種しても、
「集団免疫を獲得することはあり得ない」
 との見解を示している。

■治療薬も前途多難
 では、治療薬はどうだろうか。こちらも前途は多難だ。

●新型コロナワクチン、健康被害なら補償 厚労省
        日経 2020/7/22
厚生労働省は新型コロナウイルスのワクチンの副作用で健康被害が生じた場合に被害者の医療費などを補償する制度をつくる。海外メーカーが訴訟で賠償金を支払う場合も国から補償を受けられるようにする方向だ。

新型インフルエンザでも時限的な特措法で同様の対応を取った経緯がある。新型コロナもワクチンの開発を後押しするため、同様の法整備を検討する。関係者によると、厚労省は弁護士らによる交渉チームをつくり、海外の製薬企業3~4社と協議しているという。

●コロナ特効薬・ワクチン 東京五輪に間に合うか不透明
      産経 2020.7.22
 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、東京五輪開催の鍵を握るのが高い効果を持つ治療薬とワクチンだ。各国で開発が急ピッチで進むが、効果の確認や安定供給などで課題を抱えており、開催に間に合うのか不透明な情勢だ。
 米ギリアド・サイエンシズ社の「レムデシビル」は5月、米国で世界で初めて認可され、日本でも承認。抗炎症薬「デキサメタゾン」は今月、日本で2つ目の薬として認められた。
 いずれも患者の死亡率を下げると報告されたが、レムデシビルは投与から14日目で7・6%、デキサメタゾンは28日後で21・6%の患者が死亡しており、特効薬とは言い難い。

 富士フイルム富山化学の「アビガン」は国産品として期待が高いが、明確な効果は証明されていない。武田薬品工業が開発中の抗体製剤は根治療法に近い効果が見込まれているものの、効果や安全性を検証する治験はこれからだ。


 一方、世界保健機関(WHO)によると、ワクチンは世界で24件の治験が進んでいる。英製薬大手アストラゼネカは治験の初期に良好な結果が得られたとして最終段階に進み、9月の実用化を目指すという。米中のバイオ企業も今月中に最終段階に入る計画だ。

 ただ、ワクチンは厳格な安全性の確認が不可欠で、WHOは開発に最短でも1年から1年半かかるとの見解を示す。
順調に進んでも来春以降になる計算で、五輪前の実用化に懐疑的な専門家も多い。日本はベンチャー企業のアンジェスが6月に初の治験を始めた。

 開発企業の自国内だけでなく、各国に安定供給されるのかも大きな課題だ。出遅れた日本などは公平な分配を求めて国際交渉を進めているが、米政府は「最優先は米国民」との姿勢で、先行きは楽観できない。

●コロナワクチン、年内の実用化は無理 WHO幹部が明言
      ロイター 2020年7月23日
[ジュネーブ 22日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を担当するライアン氏は22日、新型コロナウイルスワクチンについて、後期の臨床試験(治験)が始まるなど研究開発に進展が見られるものの、来年初頭までは実用化できないとの見方を示した。

ライアン氏は「人々がワクチンを受けられるようになるのは来年の初め以降になると考えるのが現実的だ」と指摘。WHOとしてワクチン候補へのアクセス拡大やワクチン生産への支援に取り組んでいるとし、「ワクチンは世界的な財であるため、貧富を問わず、誰にでも公正に提供される必要がある」と述べた。

●WHO専門家「新型コロナワクチン接種は来年前半になる」
      tbs 23日 7時50分
 WHO=世界保健機関の専門家は、新型コロナウイルスのワクチンについて、実際に接種が始まるのは来年の前半になるだろうとの認識を示しました。
 「人々が予防接種を受けるのは、現実的には来年の前半となるでしょう」(WHO マイク・ライアン エグゼクティブディレクター)

 WHOのマイク・ライアン エグゼクティブディレクターは22日、このように述べ、今年中にワクチン接種を実現することは難しいとの認識を明らかにしました。

新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては、イギリスのオックスフォード大学と製薬大手「アストラゼネカ」が共同開発中のものなど、複数の候補が開発の山場とされ数千人規模を対象とする「第3段階」の臨床試験へと進んでいます。

 ライアン氏は、4つから5つの候補が失敗せず「第2段階」までクリアしたことは歓迎すべきことだとしましたが、有効性や持続性の検証を待たねばならないとし、「2、3か月で開発できるというのは現実的ではない」と慎重な見方を示しています。

●新型コロナ ワクチン開発の苦境-ワクチン実用化に時間がかかる理由は何か?
      基礎研REPORT(冊子版)7月号[vol.280] 2020年07月07日 保険研究部 主席研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 篠原 拓也
 新型コロナの感染拡大を止めるには、ワクチンが欠かせない。しかし、実用化までには、まだ時間がかかる見通しだ。その理由はどこにあるのか、みていこう。
◆3つのフェーズで行われる臨床試験
医薬品には有効性と安全性が必要となるが、特に、ワクチンには高い安全性が求められる。ワクチンは、主に予防目的で投与される。もし投与により健康な人が病気になれば、大問題となりかねない。そこで、法令やガイドラインに従い、原則、3つのフェーズで臨床試験が行われる。

フェーズIは、通常、少人数の健康な成人を対象に、小規模な試験として行われる。ワクチンの有効性と安全性に関する、予備的な探索が主な目的となる。

フェーズIIは、健康な人を対象に行われることが多い。対象に、未成年者や高齢者を含むこともある。ワクチン接種の量、スケジュール、経路が明確化される。

フェーズIIIは、数千人の大規模な集団を対象に、有効性と安全性が確認され、多くの研究開発費が使われる。開発の成否が決まる、最大のヤマ場といえる。

◆ワクチンにはいくつかの種類がある
ウイルス感染症では、ワクチンが有効だ。はしか、水痘、おたふくかぜ、ジフテリア、ポリオ、破傷風などは、予防接種で9割以上の人が免疫をもっている。

ワクチンには、はしかのように免疫を獲得すれば二度とかからないものもあるが、インフルエンザのように予防接種をしても感染してしまうものもある。ただ、重症化を抑止できるため、有効性はある。

ワクチンには、微生物を発症しない程度に弱毒化して使う「生ワクチン」と、無毒化して用いる「不活化ワクチン」がある。生ワクチンは、わずかに発症のリスクが残るため、免疫不全者や妊婦には使用できない。一方、不活化ワクチンは、これらの人にも使用できるが、獲得する免疫が限られ、持続期間が生ワクチンより短い。

そしていま注目されるのが、遺伝情報(ウイルスの設計図)を使う「遺伝子ワクチン」。ウイルス本体ではなく、遺伝子を用いるため、理論上、安全性の問題は少ないとされる。開発されれば、ウイルス遺伝子を組み込んだプラスミドというDNA分子を、大腸菌などでタンク培養し、ワクチンが大量生産できる。鶏卵を用いる従来の方法に比べて、短期化や低コスト化も可能とされる。ただし、これまでに遺伝子ワクチンの人での実用化事例はない。

いずれのワクチンにしても、発症のリスクを減らす、もしくは無くす一方で、免疫を獲得できることが条件となる。

◆有効性は発症予防効果でみる
有効性は、ワクチンを打たなかった場合と比べて、発症する患者をどれだけ減らせたかという「発症予防効果」でみる。
たとえば、ワクチンとプラセボ(偽薬)を100人分ずつ被験者に投与する。ワクチンから20人、プラセボから50人が発症した場合、ワクチンにより30人(=50人-20人)の発症が予防でき、発症予防効果は、60%(=30人÷50人)となる。

感染症により、発症予防効果は異なる。たとえば、はしかでは90%以上との研究結果がある。一方、季節性インフルエンザでは65歳以上の健常者で約45%との報告もある。このように、ワクチンを打っても、感染しないとは言い切れない。

しかし、多くの人がワクチンを打てば、「集団免疫」が働いて、感染者の数が減り、感染拡大が抑えられる。このために、早期のワクチン開発が望まれるわけだ。
◆「副反応」が大きければ開発ストップ
安全性の評価は、投与された被験者の「有害事象」を収集する形で行われる。ワクチンの場合、体外の物質が作用するよりも、体内で免疫学的に起こる反応が問題となることが多い。そこで、「副作用」と区別して「副反応」という用語が使われる。副反応には、予防接種をした部位が腫れる、赤みを帯びる、ズキズキ痛むなどの局所反応と、発熱やリンパ節が腫れるなどの全身反応がある。多くは、投与後数日以内に発現する。特に、重篤な有害事象として、死亡・障害やその恐れのある症例、後世代における先天性の疾患・異常などがあげられる。これらに対しては、詳細な報告書作成と十分なモニタリングが必要とされている。

ワクチンは、発症予防効果が高くても、副反応のリスクが大きければ、開発はストップされる。開発のハードルは高い。
◆感染が収束すれば開発中止の事態も
現在、世界中で新型コロナのワクチンの開発競争が、激化している。一般に、医薬品開発は、成功・失敗の予測が難しくリスクが大きいとされる。特に、ワクチンの場合、開発途中で感染が収束したり、他社のワクチンが先に実用化されたりすれば、開発中止の事態も起こりうる。実際、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)では、そうした経緯からワクチンが完成していない。

ワクチン開発には、リスク軽減の支援も必要と思われるが、いかがだろうか。



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