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てらまち・ねっと



 先日の名古屋高裁の判決で「事務職に清掃業提示は違法 トヨタに賠償命令」との報道があって、興味をもって記録した。
 「世界のトヨタ」の内実は決してクリアではない・・・・と思いつつ、長らく同社のハイブリッド車に乗っている。

 今回の裁判案件は「事務職が定年退職後の再雇用の職種として清掃業務は不当」。
 トヨタの昨年の方針は「一定の条件を満たせば現役時代と同じ処遇で働き続けられる。社員の約6割が対象」
 オモテとウラのことか。

 今回の判決。日経では次。
 ★≪トヨタ自動車で事務職だった元従業員の男性(63)が、定年退職後の再雇用の職種として清掃業務を提示されたのは不当として、事務職としての地位確認と賃金支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(藤山雅行裁判長)は28日、訴えを棄却した一審判決を一部変更し、約120万円の賠償を命じた≫

 それとは別に、昨年の報道。j-cast 2015/9/9。
 ★≪定年退職後も65歳まで、現役時代と同じ賃金水準の処遇を維持する。シニアの人材を活性化することで、労働力不足による競争力の低下を防ぐのが狙い。人材確保に先手を打つ。 新たに、一定の条件を満たせば現役時代と同じ処遇で働き続けられるコースを設ける。トヨタ単体の社員の約6割が対象となる見通しという。 一般的には再雇用時に報酬が下がるケースが少なくないが、職位手当などを従来どおり払うことで処遇を維持する。約7割にとどまる、定年退職者に占める再雇用者の割合を高めていく≫
 ★≪日本の製造業を引っ張るトヨタが潤い、社員に還元するのは当然としても、グループ各社や取引先との格差の拡大は、トヨタ式経営にとって新たな難問になるかもしれない≫

 ということで、比較として次を記録しておく。

●事務職に清掃業提示は違法 トヨタに賠償命令、高裁/共同 2016/9/29
●再雇用で別業務は違法 名古屋高裁、トヨタに賠償命令/日経 9/28
●トヨタに127万円支払い命令 不当な業務提示/読売 9月29日

●定年後も65歳まで現役と同水準で処遇 トヨタが新「再雇用制度」/j-cast 2015/9/ 9
●さすがトヨタ、2016年から給与そのままで実質「定年延長」 グループ間の待遇格差はさらに拡大する/j-cast 2015/10/4

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●事務職に清掃業提示は違法 トヨタに賠償命令、高裁
          共同 2016/9/29 01:29
 トヨタ自動車で事務職だった元従業員の男性(63)が、定年退職後の再雇用の職種として清掃業務を提示されたのは不当として、事務職としての地位確認と賃金支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(藤山雅行裁判長)は28日、請求を棄却した一審判決を一部変更し、約120万円の賠償を命じた。地位確認は認めなかった。

 裁判長は判決理由で、全く別の職種の提示は「継続雇用の実質を欠き、通常解雇と新規採用に当たる」と判断。高齢者の継続雇用を巡る裁判で企業の賠償責任が認められるのは異例。

 トヨタ自動車は「主張が認められず残念。今後の対応は判決を精査して判断する」としている。

●再雇用で別業務は違法 名古屋高裁、トヨタに賠償命令
       日経 2016/9/28
 トヨタ自動車で事務職だった元従業員の男性(63)が、定年退職後の再雇用の職種として清掃業務を提示されたのは不当として、事務職としての地位確認と賃金支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(藤山雅行裁判長)は28日、訴えを棄却した一審判決を一部変更し、約120万円の賠償を命じた。地位確認は認めなかった。

 藤山裁判長は判決理由で、全く別の業務の提示は「継続雇用の実質を欠き、通常解雇と新規採用に当たる」と判断した。高齢者の継続雇用を巡る裁判で企業の賠償責任が認められるのは異例。

 男性は最長5年の雇用が認められる社内制度で事務職としての再雇用を求めたが、1年契約のパート労働で清掃業務を提示され、拒否していた。

 男性は取材に「会社の違法性を認めた画期的な判決だ」と話した。

 トヨタ自動車は「主張が認められず残念。今後の対応は判決を精査して判断する」としている。

 藤山裁判長は、定年後にどんな労働条件を提示するかは企業に一定の裁量があるとした上で「適格性を欠くなどの事情がない限り、別の業務の提示は高年齢者雇用安定法に反する」と指摘した。

 今年1月の一審名古屋地裁岡崎支部判決は「男性は事務職で再雇用されるための基準を満たしていなかった」とする会社側の主張を認め、男性の請求を退けていた。

 判決によると、男性は大学卒業後、トヨタ自動車に入社し、2013年7月に定年退職した。

 高年齢者雇用安定法は希望者を65歳まで雇用するよう企業に義務付けている。〔共同〕

●トヨタに127万円支払い命令 不当な業務提示
        読売 2016年09月29日
 定年後の再雇用を巡り、不当な業務内容を提示されたとして、元トヨタ自動車社員の男性(63)(愛知県豊田市)が同社に200万円の慰謝料などを求めた訴訟の控訴審で、名古屋高裁(藤山雅行裁判長)は28日、請求を棄却した1審・名古屋地裁岡崎支部の判決を変更し、同社に約127万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、事務職として働いていた男性は、2013年、60歳の定年を迎えるのを機に、雇用期間が最長5年の「スキルドパートナー」職としての再雇用を希望した。しかし、同社は、能力が同職種として再雇用される基準に達していないとして、原則1年雇用のパートタイム職を提示。その業務内容が社内の清掃だったため、男性は拒否し、再雇用されなかった。

 判決理由で藤山裁判長は、「再雇用の業務内容がそれまでと全く違い、社会通念上、労働者にとって到底受け入れがたいものだ」と指摘。継続雇用などの措置を講ずるよう義務づけた改正高年齢者雇用安定法の趣旨に明らかに反しており、違法だとした。

 トヨタ自動車は「当社の主張が認められず残念。今後の対応は、判決内容を精査して検討したい」とコメントした。

●定年後も65歳まで現役と同水準で処遇 トヨタが新「再雇用制度」
         .j-cast 2015/9/ 9
トヨタ自動車は工場で働く社員を対象に、新たな人事制度を2016年1月に導入することで労働組合と合意した。2015年9月9日、明らかにした。定年退職者の再雇用制度「スキルド・パートナー(SP)」を刷新。定年退職後も65歳まで、現役時代と同じ賃金水準の処遇を維持する。シニアの人材を活性化することで、労働力不足による競争力の低下を防ぐのが狙い。人材確保に先手を打つ。

新たに、一定の条件を満たせば現役時代と同じ処遇で働き続けられるコースを設ける。トヨタは「2つのラインを用意した」と説明。トヨタ単体の社員の約6割が対象となる見通しという。

一般的には再雇用時に報酬が下がるケースが少なくないが、職位手当などを従来どおり払うことで処遇を維持する。約7割にとどまる、定年退職者に占める再雇用者の割合を高めていく。

●さすがトヨタ、2016年から給与そのままで実質「定年延長」 グループ間の待遇格差はさらに拡大する
        j-cast 2015/10/ 4
トヨタ自動車が2016年1月、人事制度を大幅に刷新する。工場で働く従業員は定年退職後も65歳まで現役時代と変わらぬ待遇の維持が可能になる「家族手当」も見直して子育て世帯支援も強化する。国内で人手不足感が高まる中、従業員を手厚く遇することで優秀な人材の流失を防ぎ、競争力を高める狙いだ。ただ、トヨタ本体の従業員への温かい対応は、グループ企業や下請け企業との格差を広げるという危うさもはらんでいる。

トヨタが見直すのは「スキルド・パートナー(SP)」と呼ばれる再雇用制度。工場で働くトヨタ本体の従業員の約6割を占める約4万人が対象となる。現在は、60歳を迎えた定年退職者をSPとして再雇用しているが、現役時代に比べて収入が半分程度に下がる。そこで、新たに「上級SP」との職位を設けて再雇用、上級SPは一定の条件をクリアすることにより、技能などに応じたさまざまな手当が支給され、65歳まで現役時代とほぼ同じ待遇を維持することが可能になる。

配偶者手当はなくなるが、子供1人に2万円を支給こうなると、定年退職→再雇用というより、実質的な定年延長といえる。トヨタは制度の見直しで定年後も再雇用される工場従業員の割合を、現在の7割から引き上げようとしている。技能の高い高年齢者を積極的に活用し、国内工場の競争力を維持・強化しようというわけだ。人件費は当然増えるが、得意のカイゼンによる生産性向上で賄えると算盤を弾く。もっとも、現行制度を続けても、新たに人手を確保する費用がかかることを考慮すると、SPの処遇改善が利益を大きく押し下げる要因にはならない可能性もある。

また、工場従業員の仕事ぶりを評価して待遇を厚くする「技能発揮給」と呼ばれる制度も2016年1月に導入する見通しだ。技能発揮給は、責任感や規律、協調性などを評価のポイントとし、その仕事ぶりに応じて月給に最大1万5000円を上乗せする手当。減点主義ではなく、プラス評価によって従業員のやる気を引き出す。また、従業員を評価する管理職「チーフリーダー」「グループリーダー」は「工長」「組長」とそれぞれ呼称を改め、管理職としての手当を支給する。

一方、トヨタは新制度で、家族手当を見直す。現在、子供1人につき月5000円が支給されているが、これを4倍の1人約2万円に引き上げる。ただし、その一方で現在月1万9500円が支給されている「配偶者手当」は原則として打ち切る。この配偶者手当は専業主婦<主夫>もしくは妻か夫の年収が103万円以下の場合に支給されている。新制度では、妻が専業主婦で子供がいないか子供1人の世帯は収入が減るが、子供が2人以上いる世帯にとっては基本的に増収となる。子育て世帯に手厚くしながら女性の就労を後押しする狙いだ。

労働組合は格差是正で難しい対応
最高益を更新し続けるトヨタが従業員の待遇を厚くして工場の力をさらに高めるのは、企業としてごく自然なことだ。世界販売台数首位を争う独フォルクスワーゲンがディーゼルエンジン車の排ガス規制逃れ問題で失速を余儀なくされる中、トヨタの独走を象徴する動きともいえる。

ただ、トヨタグループ間の格差の問題は残る。9月11~12日に仙台市で開かれたトヨタグループの労働組合でつくる全トヨタ労連(315組合、組合員約33万5000人)の定期大会では、トヨタ本体が2015年春闘で過去最高のベアを実現した結果、加盟労組間で賃金格差が広がったことが問題となった。大会に先だって記者会見したトヨタ労連の佐々木龍也会長は、2015年春闘で格差が広がったことを認めたうえで、格差是正に取り組む考えを強調したが、今回のトヨタ本体の人事制度刷新で、労連内の処遇の差が広がる可能性があるだけに、労連も難しい対応を迫られるかもしれない。

さらに、トヨタは主要な部品仕入れ先を対象にした納入価格交渉を半年ごとに行っているが、利益還元策として2014年10月から1年間は値下げ要請をやめていた。しかし、2015年10月以降は値下げ要請を再開する方向で調整している。これも本体と仕入れ先との格差を広げることにつながりかねない。

日本の製造業を引っ張るトヨタが潤い、社員に還元するのは当然としても、グループ各社や取引先との格差の拡大は、トヨタ式経営にとって新たな難問になるかもしれない。


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