「沢口靖子(さわぐちやすこ)」と「川口ジャスコ」が似ていることを、人類史上はじめて発見したのは陣内孝則。
そして今日、ぼくは「ブラックベリー」と「ブラッドベリー」が似ていることを見つけた。
「ブラッドベリー」は、ソルトレーク五輪男子ショートトラック1000メートル決勝で最後尾についていたが、前の選手が全員転倒し、クッションに衝突。彼らをまたぎ、そのままゴールして金メダルの表彰台に登った選手のことではない。SF作家レイ・ブラッドベリのことだ。
ブラックベリーの白い花は、ノイバラの花に似ている。花びらが散った後のブラックベリーは、雄しべが線香花火のようになる。カナダバラ科キイチゴ属に分類される植物の一種。米国中部原産で、落葉半つるである。この実の結実期は7月から8月上旬だ。
ブラックベリー・ワインを書いたのはジョアン・ハリスJoanne Harris。フランス人の母とイギリス人の父との間に出生し、現在、夫・娘と共にイングランド北部の街に居住している女流作家だ。母から娘へのかけがえのない愛情、そして、見ず知らずの町で出会った住民への愛、恋した青年への愛。すべての愛を、いろんな味のチョコに変えて映し出した映画「ショコラ」の原作者といった方が通りが良いかもしれない。
ジョアン・ハリスは、「ブラックベリー・ワイン」でワインと少年時代の記憶がもたらす魔法を描いている。舞台はフランスの小さな村ランスクネ・スー・タンヌと、虚無の街ロンドンと炭鉱の町カービー・マンクトン。現代の描写と、少年時代の記憶が交互にでてくる。
ジェイ・マッキントッシュは、執筆に行き詰まりロンドンで荒んだ生活を送っている。少年時代に炭鉱の町カービー・マンクトンで出会った老人ジョーとの夏の思い出を描いた作品は、ベストセラーとなったが、それは14年前のことだ。世界中の珍しい野菜や果実を育て、ワインやジャムを作り、かつての冒険を熱っぽく語るジョーにジェイは夢中になった。心強い助言者でもあるジョー。しかし、ジョーはある日忽然と姿を消す。カービー・マンクトンを再び訪れたジェイは、その昔ジョーの作った6本のワインを見つけ持ち帰る。そして、そのワインの不思議な力に導かれるように、南仏の田舎村ランスクネに移り住むことを決心する。謎と愛と友情が絶妙に溶け合ったワインがもたらす小さな奇跡。ランスクネには懐かしいジョーの亡霊が待っていた。
ブラックベリーは格別 の思い入れがある。 イギリスのホテルは朝食つきだ。パンとミルクを添えたコーヒーのコンチネンタル・ブレックファストってやつ。パンに添えられたホームメイドのブラックベリージャムが忘れられず、日本でフォションのジャムを買ってみたりも したが全然違ってた。サマセット・モームが「イングランドでおいしいものを食べようと思えば朝食を三回食べよ」と書いたが、そのために世界中に植民地を求めなければならなかったとされるほど評判の良くないイギリス料理のなかで朝食は楽しみのひとつだ。