"I promise to get rid of all the evidence.....or not."
「証拠は消してあげる・・・・・・かも♪」
そう来たか!
忘れられない1枚の絵がある。20数年前に旅先のパリの街角で見かけた絵だ。はでな帽子をかぶった道化師の肖像が描かれていた。道化師のメイクした顔が力強いタッチで描かれていて、微笑ともつかない表情の奥に深い悲しみをたたえた目がこちらを見ていた。その絵が気になって次の日もその街角にたたずみ、飽きることなくその絵を見続けた。英語で”Very Impressive"というやつだ。絵は饒舌だった。人生に起こったであろう様ざまな起伏を語りかけていた。学生の貧乏旅行でお金に余裕がなかったぼくは、絵を買えるはずもなく心にきざみつけていた。いつか再び出あうことがあったら買おうと。その後訪れたパリであれこれ探したが、あの絵ほど心に残る絵とであうことはなかった。
後日、子供の頃に観た映画「卒業」で、ミセス・ロビンソンの家の部屋に道化師の絵が飾られていたことを知った。心の奥に潜んだ記憶が、その道化師の絵を見た時に思い出されたのかもしれない。それ以来、華やかな舞台の上の道化師を見ると、いつも決まって悲しい気持ちを思い出してしまう。
派手な衣装に身を包み、大きな鼻にユニークなメイクをして大げさな身振りで人々を楽しませる道化。しかし、人によっては愉快な存在であるはずの道化師に心の底から恐怖を覚える人もいる。いわゆる道化恐怖症だ。ハンバーガーショップに行くのさえ、怖くて行くことができない人もいるらしい。人は道化に対して2種類のイメージを抱く。パーティに現れて皆を楽しませる典型的な道化のイメージと、そして悪夢の中に現れ狂気を秘めた笑顔のまま人を苦しめる道化のイメージである。道化恐怖症は、幼い子供がはじめて見るピエロやクラウンに対して本能的に恐怖を覚えるのに似ているのかもしれない。
この映画、あどけない顔をした14歳の少女と30なにがしの男が出てくる。2人は3週間前にパソコンのチャットで知り合い、会話がはずむ中で会うことになる。お互いに警戒しながら顔を会わせるのだ。会った2人は、相手を"impressive"とほめあう。海外では、人真似でない独創的な人間が尊敬を集める。だから、日本と違ってユニークとか印象的という言葉はほめ言葉だ。だが、会った2人はそれぞれに、別の目的を潜ませていた。
14歳と言う年齢は微妙な年齢だ。14歳よりも若ければ、単なるガキだ。ガキが何を言おうとウザイだけ。ガキがナイフをかざして襲ってくると、それはチャッキー(チャイルド・プレイ)の世界。怖いには怖いが、怖さの質が違う。また、14歳よりも年齢が上であれば、もうほとんど大人。ストーカーであれ、パラノイアであれ、人生経験のある大人であればそいつの恐さは想像の範囲にある。
しかし、14歳のあどけない笑顔の向こうにある狂気を推し量ることは困難だ。こどもと思ってタカをくくっていると、そのたびに予想が見事にはずされて、思いかけない恐怖を味わうことになる。ちょうど、前が見えない暗闇の中を、ジェットコースターで滑走するような感じだ。だから怖い。笑顔がかわいければかわいいほど、押し寄せる怖さはどんどん深まる。
表情をほとんど変えずに精神的に男を追いつめていく少女。一方、男は怒ったり、叫んだり、恐怖の感情をあらわにする。感情の揺れは、ピークを過ぎればおさまる。人はいつまでも、怒りや悲しみのピークを保ち続けることはできない。相手の感情がおさまるのを待つことで、様々なトラブルをかわせることも少なくない。しかし、少女には怒りや悲しみなどの感情の起伏がほとんどない。むしろ、楽しみながら男を追い詰めていく。だから一層、少女が不気味に思える。14歳という少女の年齢設定は、まさにポイントをついた年齢と言える。映画を観ている観客は、笑顔のまま恐怖のどん底に突き落とされ、息をつく暇もなく、なんども、さらなる深い恐怖へ突き落とされていくのだ。
この映画、実はもっと怖いものがある。あどけない顔でミステリーのネタバレをするブローガー。これは正直にコ ワ イ。信じられないのなら、ぼくと3週間、チャットしてみません?
さて、そろそろ恐怖のドン底に・・・・・・
「こ の 映 画 の 結 末 は
パーンチ!(o゜Д゜)=======O三★)゜◇゜)三★))゜□゜)三★))゜○゜) イ テ ッ・・・・・・」
<ブログの作者を天に代わってオシオキしました。月光仙子>