tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

抜釘(ばってい)手術(7)

2009-01-27 22:26:19 | 日記

 
 
 
 

【撮影地】千葉県佐原市伝建地区(2008.11月撮影)
Copyrights© 2006-2009 TETUJIN
all rights reserved.

今回の入院は、担当ドクターの配置換えにより、以前、2回入院した整形外科病棟ではなく、別の病棟だった。ひとつのフロアーに整形外科と泌尿器科が併設されていた。
病棟が違えば、ナースたち、スタッフが異なる。そのせいか、まるで違う病院のように、前回入院した病棟とは雰囲気がまったく異なる病棟だった。聞くと、何人もの危篤患者が入院しているらしい。
だから、ナース達も陽気に患者と話をするような状況ではなく、したがって、病棟全体が重苦しい雰囲気に包まれていた。
なじめなかった。。
悲痛な顔で入室してくるナース達。だからぼくは、暇を見つけては、なつかしいナース達の顔を見に、以前入院していた病棟に散歩に出かけ、病棟内をひたすらウロウロしていた。

「あれ!?」
日が落ちて、お見舞い客や勤務の終わった1勤のナースたちが帰宅のために通り過ぎていく売店のわきの廊下で、ぼくは会いたくてなかなか会えなかったナースに偶然に出会った。退院の前日のことだ。今回の入院では、もう会えないものと諦めていた時だった。
きりっと結んだ髪の毛。大きなマスクの影で、目が笑っている。その目が、なぜココにいるのと問いかけている。まぶしい笑顔。あいかわらず、周りを照らすような輝きだ。

「ヒゲ、生やしたんですか?」
「いや、無精ヒゲ。剃るのが面倒で・・・」
「そうですね。なかなか剃れないですもんね」
「それよか、だいぶやせてね?」
「ええ?体重は変わってないですよ」
「でも、なんかやつれた感じ。仕事、大変そう」
「ウン。でもなんとか」

蛍光灯の灯りで照らされた病院の廊下。彼女の周りだけ光っているように見えていた。
たった2~3分の立ち話だった。医療器具だろうか、かごに入れた器物を持って、彼女は自分の病棟へ帰って行った。勤務時間はとっくに終わったはずなのに。
彼女と別れ、ぼくは振り返ることなくその場を後にした。・・・明日、また会いに来よう。病院を出る最後の最後に。。