その日の3本目だった。めっちゃ厳しいイントラの糸井さんとアシスタントと、ぼくの3人のチームで潜ったのは。
古くなってパーツの入手が困難になったBCD(浮力コントロールデバイス)の買い替えを考えていたぼくは、ヘッドインストラクターのみほさんに、他社のBCDの試用を勧められた。彼女曰く、耐久性に優れていて、何年でも使える逸品らしい。
でも、これまでなじんできたBCDを替えるには、相当勇気がいる。というのも、BCDの操作を間違えて急浮上や急降下してしまえば、命にかかわる事故になる。操作に慣れていないBCDだと、とっさの場合の対応が難しくなるのだ。
「大丈夫、イントラとアシスタントが付くから」
ぼくのことを「幸せなゲストよね~」とみほさんはつぶやいた。そうして、その3人のチームの水中ツアーははじまった。
インストラクターとアシスタント(イントラ見習い)とぼくの3人チーム。普通に考えれば、アシスタントとぼくがバディ。したがって、イントラを先頭にアシスタントと並ぶ雁の編隊飛行のフォーメーションと考えるのが普通だ。
ところがアシスタントは、ぼくのバックアップのため、ぼくの背後上層に回りこみがちで、ぼくも負けずに彼と並ぼうとするから、いつの間にかイントラが、はるか前方のずっと下に。
なので、アシスタントと並ぶフォーメーションをあきらめて、今度は、イントラの糸井さんと並んで潜行。イントラがときどき振り返るタイミングで、ぼくも振り返ってアシスタント(バディ)が、ちゃんとついてきているかどうかを確かめていた。イントラの斜め後方は、一目でチーム全体を把握できるので、ぼくの一番好きなポジションなのだが、本来はそこはアシスタントが着くべき位置。
イントラと一緒に振り返って気がついたのだが、後ろのメンバーを探す場合に、まずは真後ろを見る。そこにいない場合は、左右45度に首を振って探す。さらに見つからない場合は、上下に視線を振ることになるのだが、ようやくそこで見つけることになる。つまり、ぼくがいつもツアー中に取っていた位置は、イントラからすれば、一番探しにくいポジションだったのだ。
たまには、こうしてイントラの目線で後ろをチェックするのも、ダイビング中の自分の安全を考える上で必要かもしれない。明日に続く。
気に入った写真や記事がありましたら応援のクリックよろしくお願いします。
にほんブログ村