インストラクターとアシスタント(イントラ見習い)とぼくの3人チーム。
かなり狭い水路に入り込んで、壁伝いに進んでいたときだ。目の前に、衣をまとった天女のように美しく泳ぐミノカサゴがいた。
真正面からのアングルを狙って、ミノカサゴの前方に回りこむ。普通の魚は人間が近づいたら慌てて逃げるものなのだが、ミノカサゴには全くその様子がない。むしろ“触れるものなら、触ってみろ!”とでも言うように、ズンズンとこちらに向かって迫ってくる。
ふんわりと羽を広げたような優雅な姿なのだが、ミノカサゴのヒレには毒がある。その毒はかなり強力で、“痛い”では済まされないような事態に陥ることもある。狭い水路の中央に浮かぶぼくのマスクに向かって、そいつはズンズン迫ってくる。シャッターを切りながらのぼくの体勢は、次第に上半身が後ろにドンドン引けていく。そして、ついにはバランスを崩してタンクから落ちて尻餅寸前に。
BCDのボタンを操作して浮力を稼ぎ、上体を起こそうとした。水路の下は砂地だったことと、ミノカサゴが目の前に居たから、フィンキックで体勢を整えるのは無理だったからだ。が、慣れていないBCD。ボタン操作が間に合わない。んで、ひっくり返ってジタバタ。ぼくのバックアップに備えていたアシスタントがすぐさま飛んできて、ぼくを抱え起こしてくれて、それで体勢をたて直すはめになった。ぼくがバランスを崩した瞬間の早業だった。
ただし、これが前後からの厳しい監視の目にさらされていなければ、自分で身をひねってリカバリーしていたところなのだ。
「幸せなゲスト」ツアーにも欠点がある。それは、前からも、後ろからも厳しく監視されていること。イントラの目を盗んで自由にしてきたことができなくなってしまう。別に見られて困るようなことはしていないのだが。
・・・・・・ダイビング中に自由をくれ!ついでに、同情するなら金をくれ!新しいBCDの購入資金のために。。
・・・って、ちょっと強引なオチっすね。反省。
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