今朝の静岡地震。東海地震とはメカニズムが違うようだ。安心していいものやら、過熱ぎみの報道を見ると、地震の怖さが思い知らされるやら・・・。
被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。
さて、ダイビングタンク。ナイトロックスの話をまとめるつもりで、つい長々と脱線しまくってしまった。
いかん。いかん。
潜水中におけるダイバーの体内組織に溶け込む窒素量は、周囲の水圧、すなわち、水深に比例して多くなる。このため、潜水後のダイバーの体内には潜水により溶け込んだ窒素が残っている。潜水前の大気圧(1気圧)下での窒素量(飽和状態)と比較して過剰に溶け込んでいるので、この状態を「過飽和」と呼ぶ。「過飽和」した窒素は減圧に伴い、まるで、コーラの缶のプルタブを引いたときのように、体内組織から泡となって排出してきて体内組織に障害をもたらす。
特に脊髄は、血流がよいため、窒素が溶けやすく排出されやすい組織であり、半飽和時間(最大溶解量の半分の量が溶ける時間)は非常に短く12.5分といわれている(溶解と排出が同じ時間と仮定した場合)。脊髄にできた気泡は、知覚障害、運動障害、自律神経症状(膀胱直腸障害など)など重大な障害を起こす。
したがって、レジャーダイバーには、大気圧(1気圧)下での飽和窒素量を超えない範囲内での潜水が求められる。いわゆる「無減圧潜水」である。
酸素の濃度を高めた圧縮空気を用いるナイトロックス潜水では、呼吸気に含まれる窒素の割合が空気より少ないため、同じ潜水プロフィールにおける無減圧潜水と減圧潜水との境界線をセーフ側にシフトさせることができる。
ただし、許容できる「過飽和」の窒素量 、すなわち無減圧潜水と減圧潜水との境界の窒素量は、個人差、体調差、環境差等の要因で大きく上下する。また、高濃度の酸素を吸入した場合の人体に対する影響も、すべてが理解されているわけではない。
すなわち、ナイトロックスは減圧症のリスクを低減することができるものの、減圧症を100%防止する手段ではないということだ。
減圧過程での組織に溶け込んだ気体の気泡化については、各気体の飽和濃度に関係し、酸素の方が窒素よりも溶解量が多く(飽和濃度が高く)、この点から、減圧症に対しては有利であると言える。それでも、溶解濃度の高い酸素とはいえ、速過ぎる浮上速度は、かならず溶け込んだ気体によるバブルの発生を引き起こす。だから、窒素量の多少にかかわらず、速すぎる浮上速度は非常に危険だ。
また、ダイビング直後は体が冷えているのだが、風呂に直行すれば体が温められ、体内組織に溶け込んだ窒素が急排出されることになる。とにかく風呂へという気持ちはわかるが、減圧症の危険を伴っていることをダイバーは十分に理解すべきだ。
せめて、12.5分待てれば、リスクは半分に減らせる。
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