人は旅をして、初めて見る新しい風景を実際に距離と時間で感じるには、人の介在が必要なのだろう。
いくら飛行機に乗り、どれぐらいマイルを稼ごうと、どれくらい機内食を食べようと、それだけでは世界の広さを感じえない。
しかし、誰かと会い、話をして、そして人を好きになって初めて、異国の風景は実際の広がりと、その土地の歴史の重みをもってくる。
ここに友人からもらった一枚の写真がある。華氏-49°F を記録したフェアバンクス。ネットにあふれてる写真だそうから、肖像権とか著作権はクリアされていると思う。
80年代の水着?と、つっこみどころはそこじゃなくて。。
めっちゃ寒そうに見えるのだが、・・・気のせいだろうか。
摂氏に直すと‐45℃。人類が普段使う温度スケールで、実用上、最下限近傍の温度域の数字は摂氏であれ、華氏であれ、そう変わらない。
アラスカの雪の踏み音は、サクサクではない。キュッキュッと乾燥した粉雪の音だ。あたりが明るくなる午前11時頃、光の中をスローモーションのように雪の結晶が舞い落ちてくる。その結晶の形はさまざまだ。
アラスカ滞在中はいつもの冬よりも妙に暖かいという‐20℃。北海道あたりで例年にない寒さと言われる気温だ。この寒さでは、空気中の水蒸気が氷や石などの表面に付着して凍りつき、フロストフラワーと言われる花びらのような形に成長する。
SUZUKI SX4 アラスカ仕様 5ドアタイプ。ロッジの女主人Colleenが乗っている車。
アラスカの車は、すさまじい寒さの中でも車のエンジンがかかるように、獄寒冷地仕様にカスタマイズされている。フロントグリルからは、プラグインと呼ばれるプラグが飛び出し、これを屋内から引いたコードと接続し、寒さに弱いバッテリーなどに備えられたヒーターを温める。
エンジンオイル、ラジエター、バッテリー、ウインドウォッシャー液(使わないそうだ)は、すべて極寒仕様。
しかし、それ以外のところは、目につくかぎりノーケアだ。ワイパーはノーマルのまま。ロッジまで送迎のダッジバンのドライバーは、降りだした雪に凍り付いたワイパーをフロントガラスにたたきつけ、ワイパーに付着した氷を落としていたりしていた。
さて、極寒のロッジの夜。暖房はリビングにある薪ストーブのみ。一辺がせいぜい60センチ四方の鉄製のまきストーブは、その成長の過程で太陽の熱を吸収し育った灌木の火を閉じ込めることができる魔法の箱だ。ストーブから発する熱は、意味は違えどエネルギー保存の法則と言い換えても違和感ないほどにロッジ全体をまるで太陽のように暖める。
薪ストーブの傍で眠りについたメンバーが、夜通し薪をくべてくれたのだろう。ぼくが寝た吹き抜けの2階は、ストーブの熱だけで南国のような暖かさ。
おそらく分厚い断熱材がログキャビンの壁に入っているに違いない。保温ポットのようなロッジ内は、半そででも平気なぐらい暖かい。外から帰ってきた防寒着のメンバーを出迎えるぼくは半そでのTシャツで、はた目にはきっと違和感たっぷりだ。
だが、けっして寒さのあまりテンションがおかしくなったわけではない。フェアバンクスの巨大スーパーの従業員は、半そでのTシャツでレジを打っているし。
冬のアラスカは暑い。。
ご訪問&最後まで読んでくださりありがとうございます。
お帰りの際、ひとつクリックお願いします。
お手数かけてすいません。
↓↓↓↓↓↓
にほんブログ村