大林宣彦監督作品「この空の花 長岡花火物語」を観た、長岡の花火を観たい
大林宣彦監督作品の映画との出会いは、尾道三部作だ。なかでも1983年の「時をかける少女」の原田知世の透明感には、魅了された。富田靖子の「さびしんぼう」(1985年)もよかった。
そんな大林宣彦監督に魅了されて、私が関係する「会」で、記念講演をお願いした。1993年のことだ。その際は、講演と合わせて、その前年に製作された「青春デンデケデケデケ」も上映した。その時に書いていただいた色紙には、「ついか岡山で映画」と書いていただいた。監督のお父様は岡山大学病院のお医者さんだった。
そんな大林宣彦監督の映画「この空の花 長岡花火物語」(2011年作品)を観た。9月15日のことだ。私はこの映画の存在を不覚にも知らなかった。しかし、素晴らしい映画だった。3時間を超える超大作、まさにワンダーランドを旅した。
監督ご自身が上映終了後の舞台挨拶で、「驚かれたでしょう。映画なのか、アニメなのか、芝居なのか・・・」と語られたように、新潟県長岡市の花火を題材にして、戊辰戦争から真珠湾攻撃、長岡空襲、中越地震、そして東北大震災、ヒロシマ・ナガサキ、第5福竜丸事件にまで及びます。テーマとなるのは、「まだ戦争には間に合う」だ。
映画のセミドキュメンタリー部分の核心の長岡空襲と長岡花火の関わり、私の心を揺さぶった。まさに「どっこう人間は生きている」という感じで、感動した。長岡空襲があったその日のその時間、山下清が描いた長岡の花火は打ち上げられている。観光用の花火大会とは、全く違う。この映画を観て多くの人が、長岡の花火を見に行きたいと思ったことだろう。当然だが、私もその一人だ。
さて、ご挨拶を終えた大林宣彦監督ご夫妻を、楽屋にお訪ねした。まさに20年ぶりに直接お話しさせていただいた。「『まだ戦争には間に合う』は、製作当時よりも、より現実味を帯びてきましたね」と、そんなお話しもさせていただいた。厚かましくもお願いした色紙には、「映画は穏やかな一日を創る」と書いていただいた。
この映画の主題歌は、「なごり雪」などの名曲を生んだ伊勢正三の、この映画のために作った新曲「それは遠い夏」。ステキなメロディで、その歌詞も心を打った。
「・・・今は遠い夏の日 思い出こする消しゴム でもそれは忘れない 胸が千切れても 戦争は痛みさえ 切り裂くんだ それは遠い夏の日 願い高く空に そして夏を呼ぶ 花を咲かせよう 戦争は嘘じゃない 本当のこと・・・」(伊勢正三の新曲「それは遠い夏」)
このエンディングにはこの曲が流れ、画面には美しい長岡の花火の映像が映し出された。素晴らしかった。素晴らしかったと言えば、「一輪車」の素晴らしさに魅了された。ファンタジックなこの映画に、ピッタリだった。素晴らしい映画を観た感動は今も続いている。
ところで、大林宣彦監督作品の中で、私の好きな作品の一つに鷲尾いさ子が主演した「.野ゆき山ゆき海べゆき」(1986年作品)がある。鷲尾いさ子扮する美しい少女に魅了されたことは、記録として書いておきたい。
さて、最近は劇映画よりもドキュメンタリー映画を愛好する私であるが、この映画「この空の花 長岡花火物語」を観て、劇映画もいいなと思った。大林監督にはこれからもステキな映画を作り続けて、私たちに感動を与えて欲しいと願う。