会社法における「監査役設置会社」(会社法第2条第9号)と同様に、一般社団・財団法人法においては、「監事設置一般社団法人」(第15条第2項第1号)という用語が登場する。
一般社団・財団法人法において、社団法人の監事は、定款の定めによって置くことができる任意の機関であり(第60条第2項)、理事会設置一般社団法人及び会計監査人設置一般社団法人は、監事を置かなければならない(第61条)とされている。 そして、監事を置く一般社団法人又は一般社団・財団法人法の規定により監事を置かなければならない一般社団法人は、「監事設置一般社団法人」と称され(第15条第2項第1号)、その旨を登記しなければならない(第301条第2項第8号)。
監事は、法定の機関(民法第58条)であるが、定款の定め又は社員総会の決議によって置くこととされる任意の機関であった。そして、整備法では、この法律の施行の際現に旧社団法人(第40条第1項に規定する社団法人又は民法施行法社団法人をいう。)に置かれている監事は、それぞれ一般社団・財団法人法第63条第1項の規定によって選任された監事とみなされており、又「旧社団法人の定款における監事を置く旨の定めは、一般社団・財団法人法に規定する監事を置く旨の定めとみなす。 」(整備法第80条第4項)、「社員総会の決議によって監事を置く旧社団法人の定款には、監事を置く旨の定めがあるものとみなす。(同条第5項) という二つのみなし定款規定が置かれている。したがって、施行日において、監事を置くこととしていた旧社団法人は、「監事設置特例社団法人」ということになる。
ただし、施行日後、「監事設置一般社団法人」である旨は、必ずしも登記されない(整備法第77条第4項)。一般社団・一般財団法に規定する理事会を置く旨の定めを設ける定款の変更をした場合には、理事会設置一般社団法人である旨の登記を申請する必要があり(一般社団・一般財団法301条2項7号)、その際に監事を置くこととしていた場合には監事設置一般社団法人である旨の登記も併せて申請する必要がある(同項8号、整備法77条4項)ものとされている。
なお、中間法人法に基づく有限責任中間法人は、一般社団法人として存続する(整備法第2条第1項)こととなるが、監事が必須の機関(中間法人法第51条)であり、登記事項(中間法人法第7条第2項第5号)であることから、一般社団・一般財団法の施行日において、職権で、「監事設置一般社団法人」である旨の登記がなされる(整備法第23条第7項)。
ところで、「監事設置特例社団法人」という用語が登場する条文は、整備法第62条第1項第1号のみであり、いわゆる定義規定がないのであるが・・・。