司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

株式買取請求権を行使することができる株主を確定するための基準日公告

2008-09-04 22:11:16 | 会社法(改正商法等)
 三井不動産株式会社が、簡易吸収分割を実施するにあたり、株式買取請求権を行使することができる株主を確定するための基準日を定め、その旨の公告(会社法第124条第3項)を行っている。
http://www.mitsuifudosan.co.jp/kokoku/download/080731.pdf

 簡易組織再編を実施するにあたり、いつの時点の株主が株式買取請求権を行使することができるかにつき、これまでのところ確立した解釈は存していない。信託銀行の中には、反対株主の買取請求のための公告(会社法第797条第3項・第4項)の日時点の株主に限定されるとする見解で指導しているところもあるようであるが、明文の根拠はなく、私見では、同公告の日時点の株主に限定されず、効力発生日の前日までに株式を取得すれば、株式買取請求権を行使することができると考えていたところである。

 このような疑義を避けるためか、三井不動産株式会社は、基準日を定めて、同日の最終の株主名簿及び実質株主名簿に記載又は記録された株主をもって、株式買取請求権を行使することができる株主とし(会社法第124条第1項)、その旨の公告(会社法第124条第3項)を行ったものである。基準日は、株主の権利に関してであれば、どのような権利についても定めることができるから、けだし賢明な策というべきである。

 現在のところ、他に例はないようであるが、今後は、簡易組織再編を実施する際には、この「株式買取請求権を行使することができる株主を確定するための基準日公告」は、スタンダードとなるものと思われる。なお、同公告を電子公告で行う場合には、もちろん電子公告調査機関の調査を受ける必要がある。念のため。

会社法
 (基準日)
第124四条 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
3 株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。
4・5【略】
コメント

法務省電子公告システム

2008-09-04 15:02:17 | 会社法(改正商法等)
法務省電子公告システム
http://e-koukoku.moj.go.jp/

 「法務省電子公告システム」は、法務省の行政サービスとして、電子公告に関する情報提供を行うものである。電子公告調査機関には法務大臣に対する報告義務が課されており(会社法第946条第3項、電子公告規則第6条)、法務省は、同報告に基づいて、リンク集のホームページを開設している。

 電子公告を閲覧しようとする者は、「法務省電子公告システム」にアクセスすれば、現在どのような電子公告がなされているのかを確認することができるので、利害関係を有するすべての会社のHPに個別にアクセスして確認する労から開放される。したがって、定期的に「法務省電子公告システム」をチェックすればよいのである。

 なお、「法務省電子公告システム」は、平成17年2月1日施行の商法改正により電子公告制度が導入された後、同年3月9日頃オープンしている。
http://blog.goo.ne.jp/tks-naito/d/20050309

cf. 電子公告制度の導入に関する要綱
http://www.moj.go.jp/SHINGI/030910-2-2.html
※ 第1の7(5)

電子公告制度について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji81.html

登録された電子公告調査機関一覧
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji81-05.html
コメント (1)

オンラインによる登記申請件数

2008-09-04 14:13:11 | 司法書士(改正不動産登記法等)
オンラインによる登記申請件数 by 法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/shinsei.html

 好調といえなくもないが、8月はちょっと夏枯れであろうか。
コメント

円滑化法と任意後見

2008-09-04 12:12:02 | 会社法(改正商法等)
 いわゆる円滑化法の民法の特例を利用する場合には、特例による合意手続と、「後継者」につき任意後見契約を利用することをセットとして検討しておく必要があるように思われる。同法第10条第2号の規定により、「後継者」につき法定後見を利用することは困難となるからである。「後継者」の後継予定者が任意後見受任者となり、代理権目録に「株主権の行使」と明記しておくべきこととなろう。

cf. 平成20年8月19日付「会社法と成年後見」

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律
 (合意の効力の消滅)
第十条 第八条第一項に規定する合意は、次に掲げる事由が生じたときは、その効力を失う。
 一 第七条第一項の確認が取り消されたこと。
 二 旧代表者の生存中に後継者が死亡し、又は後見開始若しくは保佐開始の審判を受けたこと。
 三 当該合意の当事者以外の者が新たに旧代表者の推定相続人となったこと。
 四 当該合意の当事者の代襲者が旧代表者の養子となったこと。
コメント

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律

2008-09-04 10:39:26 | いろいろ
 昨日は、京都司法書士会家族法研究会に参加。題目は、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」。なかな興味深いテーマ。いわゆる本人確認の観点からも一度は考えておくべきかも。なお、先般の通常国会で改正法が成立している。

cf. 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E5%90%8C%E4%B8%80%E6%80%A7%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E7%89%B9%E4%BE%8B%E6%B3%95
コメント (1)