設立時取締役等は,発起設立の場合には,定款に定めるか,又は発起人の議決権の過半数により定めるべき事項である(会社法第38条,第40条第1項)。
このように,会社法は,設立時取締役等の選任については,他の設立に関する事項の決定と異なり,資本多数決の原則を採用している。
発起人のうち,その引き受けた設立時発行株式について一部出資の履行をしないものがあると,議決権の数が変動することもあることから,この選任行為は,出資の履行を完了した後に行うべきものとされている(会社法第38条第1項)。
問題は,出資の履行を完了する前に,発起人全員の同意により,設立時取締役等を選任することが,会社法第38条第1項の規定により禁止されるのか,である。
原始定款に定める方法により設立時取締役を定めることもできる(会社法第38条第3項)が,これは,当該定めが定款の内容を構成するというよりも,設立時取締役等の選任が,定款作成の機会に,発起人全員の同意をもってなされたことを示すにすぎない(江頭憲治郎「株式会社法(第4版)」(有斐閣)83頁)。
この場合に,出資の履行が完了した時に,選任されたものとみなす(会社法第38条第3項)のであれば,同様に,出資の履行を完了する前に,発起人全員の同意により,設立時取締役等を選任することも許容されて然るべきであろう。
明文の規定がないとはいえ,会社法がこれを禁止する趣旨とは考えられないからである。
会社法では,「設立時発行株式の引受け」が「出資の履行」よりも前である限り,「定款の作成」及び「出資の履行」の先後に関する明文の規定は存しない。
原始定款に定める方法により設立時取締役等を定めている場合に,「出資の履行」→「定款の作成」の順で行われたときは,どうなるのか? 会社法第38条第3項の規定により,遡及して,「出資の履行が完了した時に」選任されたものとみなすことはできないからである。
この場合は,上述のとおり,「設立時取締役等の選任が,定款作成の機会に,発起人全員の同意をもってなされた」と解することとなろう。
このように,会社法第38条第3項は,「設立時取締役等の選任が,定款作成の機会に,発起人全員の同意をもってなされた」ことを理由として,「定款の作成」→「出資の履行」の順で行われた場合であっても,有効な選任行為として認めている。この場合と同様に,「設立時取締役等の選任が,定款で定める以外の方法で,発起人全員の同意をもってなされた」場合についても,有効な選任行為があったものと認めても支障はないはずである。
繰り返すが,明文の規定がないとはいえ,会社法がこれを禁止する趣旨とは考えられないからである。
このように,会社法は,設立時取締役等の選任については,他の設立に関する事項の決定と異なり,資本多数決の原則を採用している。
発起人のうち,その引き受けた設立時発行株式について一部出資の履行をしないものがあると,議決権の数が変動することもあることから,この選任行為は,出資の履行を完了した後に行うべきものとされている(会社法第38条第1項)。
問題は,出資の履行を完了する前に,発起人全員の同意により,設立時取締役等を選任することが,会社法第38条第1項の規定により禁止されるのか,である。
原始定款に定める方法により設立時取締役を定めることもできる(会社法第38条第3項)が,これは,当該定めが定款の内容を構成するというよりも,設立時取締役等の選任が,定款作成の機会に,発起人全員の同意をもってなされたことを示すにすぎない(江頭憲治郎「株式会社法(第4版)」(有斐閣)83頁)。
この場合に,出資の履行が完了した時に,選任されたものとみなす(会社法第38条第3項)のであれば,同様に,出資の履行を完了する前に,発起人全員の同意により,設立時取締役等を選任することも許容されて然るべきであろう。
明文の規定がないとはいえ,会社法がこれを禁止する趣旨とは考えられないからである。
会社法では,「設立時発行株式の引受け」が「出資の履行」よりも前である限り,「定款の作成」及び「出資の履行」の先後に関する明文の規定は存しない。
原始定款に定める方法により設立時取締役等を定めている場合に,「出資の履行」→「定款の作成」の順で行われたときは,どうなるのか? 会社法第38条第3項の規定により,遡及して,「出資の履行が完了した時に」選任されたものとみなすことはできないからである。
この場合は,上述のとおり,「設立時取締役等の選任が,定款作成の機会に,発起人全員の同意をもってなされた」と解することとなろう。
このように,会社法第38条第3項は,「設立時取締役等の選任が,定款作成の機会に,発起人全員の同意をもってなされた」ことを理由として,「定款の作成」→「出資の履行」の順で行われた場合であっても,有効な選任行為として認めている。この場合と同様に,「設立時取締役等の選任が,定款で定める以外の方法で,発起人全員の同意をもってなされた」場合についても,有効な選任行為があったものと認めても支障はないはずである。
繰り返すが,明文の規定がないとはいえ,会社法がこれを禁止する趣旨とは考えられないからである。