医療法人の理事長の変更の登記に関して,相変わらず混乱があるようなので,再掲しておく。
医療法人の理事長の任期について,定款の定めがあることは皆無であり,理事長は,その就任の時点にかかわらず,理事としての任期満了の時に「資格喪失退任」となるのが通例である。
cf.
平成24年2月28日付け「医療法人の理事長の任期(?)」
(以下再掲)
月刊登記情報2012年3月号に,「登記官の目 商業・法人登記雑感」が掲載されている。論稿中,「3 医療法人の役員の任期について」があるのだが・・・。
医療法人の役員の任期は,2年を越えることはできない(医療法第46条の2第3項本文)。これを受けて,医療法人の定款では,「理事の任期は,2年とする」と定められているのが通例である。理事長の任期が定められることは,皆無であり,理事長は,理事の任期満了により当然資格喪失退任となる。
ところが,上記論稿では,あたかも理事長の任期が2年であるかのごとく,論じられている。理事長の予選ができないケースで,理事の任期開始に後れて理事長の選定がされた場合に,なぜその後任期が1日ずつずれていく解釈をするのか,不可解である
理事の任期が平成20年1月31日から平成22年1月30日までである場合に,理事が平成22年1月30日以前に選任され,理事長が同年1月31日に選定されたというケースで,なぜ任期が平成24年1月31日までとなるのであろうか?
定款の規定(任期2年)によれば,上記理事の任期は,平成22年1月31日から平成24年1月30日までの2年である。理事長の選定が,平成22年1月31日に行われようが,同年2月1日に行われようが,理事の任期がずれるわけがなく,平成24年1月30日に任期満了となり,理事長も資格喪失退任となる。理事の任期満了を無視して,理事長の任期がずれ込むわけもない。
この理は,法律上の理事長ではなく,定款上の理事長を選定するに過ぎない社会福祉法人やNPO法人であっても,同様である。
(再掲おわり)