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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

金融法学会

2017-10-09 17:17:49 | 会社法(改正商法等)
 本日(9日)は,金融法学会第34回大会を聴講。「〈シンポジウムⅠ〉濫用的会社分割・事業譲渡の実務と法理」及び「〈シンポジウムⅡ〉預金をめぐる法的諸課題」のいずれも非常に勉強になりました。
http://www.kinyuhogakkai.jp/meeting/448.html

 午後の部がスタートする前の総会で,理事改選の件(15名が重任,6名が新任)が承認可決されたが,それが承認されることを条件として,総会前の理事会で新理事長を選定していた旨が報告された。一般社団法人であれば,ダメですけど,任意団体ですからね(^^)。
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剰余金の大部分(例えば80%)を寄附に充てる旨の定款変更は無効か

2017-10-09 12:13:18 | 会社法(改正商法等)
 昨日の日本私法学会「非営利法人に関する法の現状と課題」における松元暢子学習院大学教授・法務省民事局参事官室調査員の報告によると,松元教授は,「日本の株式会社において剰余金の大部分(例えば80%)を寄附に充てる旨の定款変更は無効」説らしい。神作教授は有効説とのこと。


 株式会社は,「営利社団法人」である。

 したがって,会社法第105条第2項は,株主から「剰余金の配当を受ける権利」及び「残余財産の分配を受ける権利」の全部を与えない旨の定款の定めは,その効力を有しない旨を定めている。

 それでは,株式会社が,その事業に係る収益を株主に還元することを欲せず,次のような定款の定めを設けて,運営することは可能であろうか?

 (剰余金)
第○条 代表取締役は,配当可能な剰余金の全額を社会貢献積立金として内部留保し, 適宜な時期にその積立金を社会貢献活動に携わる人や団体に対して寄附するものとする。

 (残余財産)
第○条 当会社が解散した場合(ただし,合併又は破産によって解散した場合を除く。)に おける残余財産は,解散に関する株主総会における決議を経た上で,その一定額を社会貢献活動に携わる人や団体に対して寄附することができる。

 これらの定款の規定は,会社法第454条第1項の剰余金の配当に関する株主総会の決議や,第504条第1項の残余財産の分配に関する清算人の決定を排除するものではないから,上記会社法第105条第2項の「全部を与えない旨」には該当しないと考えられる。

 したがって,これらの定款の規定は,有効であり,「日本の株式会社において剰余金の大部分(例えば80%)を寄附に充てる旨の定款変更」についても有効であると言えるであろう。

 実務は,有効説で動いているようである。

cf. 平成25年4月1日付け「非営利株式会社」
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