昨日(4月16日),京都司法書士会の研修会で,本山敦立命館大学教授に最近の相続関係の判例等についてお話いただいたので,取り上げられたものを紹介しておく。
1.最高裁令和6年3月19日第3小法廷判決
【判示事項】
相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができる
cf.
令和6年3月19日付け「真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても,所有権を時効により取得することができる」
2.那覇家審令和5年2月28日判タ1514号250頁
平成13年2月に開始した相続において,嫡出子及び非嫡出子の「法定相続分は等しい割合とすべき」としたもの。
cf. 非嫡出子の相続分差別規定を憲法違反とした最決H25.9.4の射程範囲
https://www.o-basic-souzoku.net/knowledge1/knowledge1-11/
3.最高裁令和5年5月19日第2小法廷判決
【判示事項】
1 共同相続人の相続分を指定する旨の遺言がされた場合における、遺言執行者と不動産の所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えの原告適格(消極)
2 相続財産の全部又は一部を包括遺贈する旨の遺言がされた場合における、遺言執行者と不動産の所有権移転登記の抹消登記手続又は一部抹消(更正)登記手続を求める訴えの原告適格(積極)
3 複数の包括遺贈のうちの一つがその効力を生ぜず、又は放棄によってその効力を失った場合、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き、包括受遺者が受けるべきであったものは、他の包括受遺者には帰属せず、相続人に帰属する
cf.
令和5年5月23日付け「遺言執行者と不動産の所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えの原告適格」
4.静岡家審令和3年7月26日家判37号81頁
cf.
令和4年4月21日付け「改正相続法による「特別の寄与」に関する審判例」
5.最高裁令和5年10月26日第1小法廷決定
【判示事項】
遺言により相続分がないものと指定された相続人は,遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しない
cf.
令和5年10月31日付け「遺言により相続分がないものと指定された相続人は,遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しない」