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人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

5月月例経済報告、消費の判断に甘さ

2018年05月24日 12時34分29秒 | 経済
5月月例経済報告、消費の判断に甘さ
 昨日、内閣府から「月例経済報告」が発表になりました。
 月例経済報告は毎月出ていて、日本経済の概況を主要項目別に淡々と記述する形のものです。

 根拠になる統計などは、だいたい2か月前ぐらいまでしか出ていませんので、5月の報告は3月辺りまでの統計をベースにしたものになっています。
 個々の主要統計については、注目すべき点や変化があれば、このブログでも発表の都度取り上げていますので、ご理解を頂いている向きもあるのではと思いますが、どんな表現になっているか概略を見てみましょう。

 <日本経済全体については>
1-3月は外需がプラスだったが、民間在庫や民間住宅建設がマイナスだったため、実質値は9四半期ぶり、名目値は6四半期ぶりのマイナスになった。

 中身に入りますと、
「個人消費は持ち直している」
 個人総合所得は緩やかに増加、消費マインドは持ち直している。家計消費の3月はマイナス、小売販売額も減少、先行きについては、雇用、所得環境の改善で持ち直すことが期待される。
「設備投資は緩やかに増加」
 法人企業統計の設備投資の昨年10-12月は増加、資本財供給サイドは持ち直し、ソフトウェア投資は横ばい、「日銀短観」「機械受注統計」も持ち直し、企業収益増で増加が期待される。
「住宅建設は弱含み」
 持ち家の着工は横ばい、分譲住宅は弱含み、首都圏マンションは横ばいで、今後は弱含みと予想される。
「公共投資は底堅く推移」
 地方単独事業の増加で底堅い推移が予想される。
「貿易収支は黒字横ばい」
といったものです。

まとめとして報告の冒頭に書いてあるのは
「景気は緩やかに回復している」
「先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」
という言葉ですが、どう見ても、この報告では、GDPの最大の部分である個人消費については、見方が些か甘いように思います。
    
 雇用環境や所得環境が改善するといっていますが、それが春闘賃上げ率の多少の増加を勘案しているとしても、「消費性向の低下には全く触れていない」という点、現政権の経済政策上の最大の問題である点を全く見過ごしているという分析には問題を感じます。
 
 私自身も見通し通りに行ってくれれば良いと思いますが、内容をつぶさに見れば、もっと「やれる事、やるべき事」があったはずですよという所でしょうか。