<賃金、物価、生産性、為替レートの関係の基本から>
前々回、前回で、政府・日銀が、「賃金、物価、生産性」の三者の関係について、どんなバランスが日本経済の安定成長路線と考えているかという事と、それに対して今の日本経済の実情としての「賃金、物価、生産性」の動きはどうなっているかを見てきました。
政府・日銀は、望ましいバランスと現状との違いを識別する方法として、「2パーセントインフレ目標」と「現実」とのギャップを最も解り易い指標として考えているのでしょう。
これは確かにその通りで、目標と現実のギャップは象徴的に、物価の動きに出て来るので、先ずそれを見て、そのギャップの原因を考えてみるとことにします。
先ず、消費者物価ですが、この所の年率の上昇率は3.2%(5月)です。しかしこれは輸入物価の値下がりや、政府の政策が反映するエネルギー価格なども入っていて、日本経済の賃金、物価、生産性の動きそのものの反映ではありません。
そこで、日本経済自体の賃金、物価、生産性の関係を示す「生鮮食品とエネルギーを除く総合」、いわゆるコアコア指数を見ますと、4.3%(5月)という事で政府の2パーセント目標の2倍以上になっています。
日銀の全相殺の黒田さんも、現総裁の植田さんも「そのうち下がるからその時期を待って金融政策の正常化をする」という事ですが、コアコア指数は一本調子で上っていてなかなか下がる気配がありません。
加工食品などを中心に10%前後の上昇を続けているものもあり、最近上げ過ぎではないかといった声も聞かれます。上げ過ぎというのは、値上げムードに乗って便乗値上げの部分が入って来ているのではないかといった見方です。
この場合は値上で利益を挙げようという意識が混ざることになり、行き過ぎると消費者の反発、消費抑制、消費不振などの可能性も生まれ経済が混乱します。
政府も6月からの電気料金の大幅値上げを認めたところですから、少し気にし始めたようです。
ところで、コアコア指数が落ちついて2%程度になれば、ゼロ金利の見直しということになリ、日本経済全体の正常化という段階になるのでしょうが、その際の賃金と生産性は、どうあるべきかという事になります。
大事なのは生産性の行方です。生産性の向上は、日本中のあらゆる産業・企業がそれぞれに、より効率的な生産活動を追求するところから生まれるわけですが、それを示す数字は実質GDPの成長率です。
この場合、生産性は、賃金との関係ですから勿論「労働生産性」ですが、労働力人口や就業者数はほとんど変わらないでしょうから、実質GDPの年率伸び率が生産性の上昇率としてもいいと思います。
日本経済はゼロ成長時代から脱出の気配が見られますが、前々回も触れましったように、生産性が賃金上昇の基準にもなり、賃金、物価、生産性のバランスのベースにもなるものです。勿論経済成長率は、国民全体としても最も望むところでしょう。
次回は、「生産性と賃金」の現状、その関係と物価についてみていきたいと思います。
前々回、前回で、政府・日銀が、「賃金、物価、生産性」の三者の関係について、どんなバランスが日本経済の安定成長路線と考えているかという事と、それに対して今の日本経済の実情としての「賃金、物価、生産性」の動きはどうなっているかを見てきました。
政府・日銀は、望ましいバランスと現状との違いを識別する方法として、「2パーセントインフレ目標」と「現実」とのギャップを最も解り易い指標として考えているのでしょう。
これは確かにその通りで、目標と現実のギャップは象徴的に、物価の動きに出て来るので、先ずそれを見て、そのギャップの原因を考えてみるとことにします。
先ず、消費者物価ですが、この所の年率の上昇率は3.2%(5月)です。しかしこれは輸入物価の値下がりや、政府の政策が反映するエネルギー価格なども入っていて、日本経済の賃金、物価、生産性の動きそのものの反映ではありません。
そこで、日本経済自体の賃金、物価、生産性の関係を示す「生鮮食品とエネルギーを除く総合」、いわゆるコアコア指数を見ますと、4.3%(5月)という事で政府の2パーセント目標の2倍以上になっています。
日銀の全相殺の黒田さんも、現総裁の植田さんも「そのうち下がるからその時期を待って金融政策の正常化をする」という事ですが、コアコア指数は一本調子で上っていてなかなか下がる気配がありません。
加工食品などを中心に10%前後の上昇を続けているものもあり、最近上げ過ぎではないかといった声も聞かれます。上げ過ぎというのは、値上げムードに乗って便乗値上げの部分が入って来ているのではないかといった見方です。
この場合は値上で利益を挙げようという意識が混ざることになり、行き過ぎると消費者の反発、消費抑制、消費不振などの可能性も生まれ経済が混乱します。
政府も6月からの電気料金の大幅値上げを認めたところですから、少し気にし始めたようです。
ところで、コアコア指数が落ちついて2%程度になれば、ゼロ金利の見直しということになリ、日本経済全体の正常化という段階になるのでしょうが、その際の賃金と生産性は、どうあるべきかという事になります。
大事なのは生産性の行方です。生産性の向上は、日本中のあらゆる産業・企業がそれぞれに、より効率的な生産活動を追求するところから生まれるわけですが、それを示す数字は実質GDPの成長率です。
この場合、生産性は、賃金との関係ですから勿論「労働生産性」ですが、労働力人口や就業者数はほとんど変わらないでしょうから、実質GDPの年率伸び率が生産性の上昇率としてもいいと思います。
日本経済はゼロ成長時代から脱出の気配が見られますが、前々回も触れましったように、生産性が賃金上昇の基準にもなり、賃金、物価、生産性のバランスのベースにもなるものです。勿論経済成長率は、国民全体としても最も望むところでしょう。
次回は、「生産性と賃金」の現状、その関係と物価についてみていきたいと思います。