主として マンション管理士試験を目標としている方のための 練習・オリジナル等問題(過去問では
ないもの)です
法文系国家試験に有意義 と 思われます
今回は 民法 の問題
難問もありますが 最近の傾向からすると 何が登場するかワカラナイ と より いえそうですので
特に民法は いわゆる難問系に少しでも多く 挑戦しておくべき と 思われるのです
(次年度は ゼヒ 結果を残したいという受験生さんにおいては・・・ことさらに)
以下の記述について、条文・判例・いわゆる通説に基づく正誤を 〇✕ で答えなさい。
(1)
事務管理の管理者は、本人が現に管理に着手するまで、事務管理を継続しなければ ならない。
※ 管理者は、本人等が管理をすることができるに至るまで事務管理を続ければ足りるのであって、
本人等が現に管理に着手するまで継続することまでは必要ない。
✕
(管理者による事務管理の継続)
第七百条
管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至る
まで、事務管理を継続しなければならない。
ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかで
あるときは、この限りでない。
(2)
子が父親から何らの代理権も与えられていないにもかかわらず、父の代理人として相手方に対し
父所有の不動産を売却した場合、相手方において、子に売買契約を締結する代理権があると信じ、
そのように信じたことに正当な理由があるときには、表見代理が成立することになる。
※ 法定代理権が、110条の表見代理の成立に必要となる基本代理権となり得るとの判例
はある(大連判昭 17・5・20)が、子には親を代理する法定代理権はないので
110条の表見代理の成立はない。
本問の場合、109条・112条の表見代理が成立するような事情もないので、表見代理は
成立しない。 ✕
(代理権授与の表示による表見代理等)
第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内において
その他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代
理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他
人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その
他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他
人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代
理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
(代理権消滅後の表見代理等)
第百十二条 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が
第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負
う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者
との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者
との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があ
ると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
(3)
債務者の権利を代位行使する債権者は、債務者の代理人としてではなく、自己の名で当該権利を行使する
ものであり、自己の財産におけるのと同一の注意をもって権利を行使すれば足りる。
※ 代位債権者は、自己の名で、債務者の権利を行使する(大判昭9・5・22等)。
代位債権者と債務者との間には、一種の法定委任関係が生じ、債権者は善管注意義務を負う(644)。
✕
(受任者の注意義務)
第六百四十四条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
(4)
Aは、Bから動産甲を買受け、占有改定の方法で引渡しを受けたが、その後、Bは 動産甲をCにも売却し、
現実に引き渡した。
この場合、Cは、BのAに対する動産甲の売却について善意無過失でなくても、動産甲の所有権取得をAに
対抗することができる。
※ Aは占有改定によってCよりも先に対抗要件(178)を具備しているので、その後にCが現実
の引渡しを受けたとしても、Aに対抗することはできない。
Aが所有権を取得して対抗要件を具備したのでBは無権利者となるので、動産甲についてのCによ
る即時取得(192)が問題となるけれど、Cが善意無過失ではないので即時取得はできず、動産
甲の所有権取得をAに対抗することはできない。 ✕
(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
第百七十八条
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
(即時取得)
第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、
かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
(5)
AからB、BからCに建設機械が順次売却され、BがAに対して代金を払っていない 場合に、Cが提起した所有権
に基づく建設機械の引渡し請求訴訟においてAの留置 権が認められるときは、Cの請求は棄却される。
※ 留置権は物権であるので、留置権成立後に本件の建設機械を取得した第三者であるCに対しても、
その留置権を主張できる(最判47・11・16)、裁判所は、全面的に棄却するのではなく債権
の弁済と引き換えに物の引渡しを命ずるべき、としている(最判昭33・3・13)ので、Cの請求
が棄却されるとする点は誤り。 ✕
(6)
建物が存する土地について抵当権が設定された場合において、その抵当賢者と抵当 権設定者との特約で、その
土地上の建物にも抵当権の効力を及ぼすことができる 旨の合意がされたときは、その土地の抵当権は、土地の
上に存するその建物にも及ぶ。
※ 土地が目的物の場合、抵当権の範囲から建物は除外されている(370)。
370条ただし書きでの<別段の定め>が認められている対象は付合物や従物のことで、土地上の
建物ではない。
土地について設定された抵当権の効力をその土地上の建物にも及ぼすとする特約は認められない。
✕
(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条
抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」
という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある
場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をする
ことができる場合は、この限りでない。
(7)
抵当権の被担保債権について不履行があった場合であっても、抵当権の効力は、そ の後に生じた抵当不動産の
果実には及ばない。
※ 抵当権の被担保債権について不履行があった場合、抵当権の効力は、そ の後に生じた
抵当不動産の果実に及ぶ(371) ✕
(抵当権の内容)
第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産に
ついて、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を
準用する。
(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」
という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者
の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限り
でない。
第三百七十一条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動
産の果実に及ぶ。
(8)
留置権、先取特権、質権及び抵当権には、いずれも物上代位性が認められる。
※ 留置権は、優先弁済的効力を有さず、物の交換価値を把握するものではないので、物上代位性は認め
られない(304Ⅰ・350・372) ✕
(物上代位)
第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき
金銭その他の物に対しても、行使することができる。
ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。
(留置権及び先取特権の規定の準用)
第三百五十条 第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。
(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条
第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
(9)
無権代理人が本人所有の土地に抵当権を設定したため、本人が抵当権設定登記の抹消登記請求訴訟を提起し
た後死亡した。無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為は有効とならない。
※ 本人が抵当権設定登記の抹消登記請求訴訟を提起したことで、追認拒絶をしたといえる。
本人の追認拒絶後に無権代理人が本人を相続したとしても有効になるものではなく、無権
代理人が本人の追認拒絶の効果を主張することそれ自体が信義則(1Ⅱ)に反するとはい
えない(最判平10・7・17) 〇
(10)
共同相続人間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権の対象とならない。
※ 財産権を目的としない行為は、詐害行為取消権の対象とはならない(424Ⅱ)が
判例(最判平11・6・11)は『遺産分割協議は、共有となった相続財産について、
相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為
であることができる』と判示しているので、対象とならないとの点は誤り。
✕
(11)
弁済の時期について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に
履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時か
ら遅滞の責任を負う。
※ 412条2項どおり 〇
(履行期と履行遅滞)
第四百十二条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から
遅滞の責任を負う。
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受
けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任
を負う。
(12)
Aは、Bに対する債権をC及びDに二重に譲渡し、それぞれの譲渡につきBに対して
確定日付のある証書で通知をしたが、その到達はCへの譲渡についてのものが先で
あった場合において、BがDに対してした弁済が効力を生ずるためには、Dを真の
債権者であると信ずるにつき相当な理由があることを要する。
※ 債権が二重譲渡された場合、優劣は、467条2項に基づき、確定日付ある通知が債務者に
到達した日時の先後によって決まる(最判昭49・3・7)。
対抗要件を後れて具備した譲受人は受領権者としての外観を有する者に当たる(478)が、
劣後譲受人を真の債権者と信ずるにつき過失がないというためには、優先する譲受人の債権
譲受行為又は対抗要件に瑕疵があるためその効力を生じないと誤信してもやむを得ない事情
があるなど、劣後する譲受人を真の債権者であると信じるについて相当な理由が必要となる
(最判昭61・4・11)。
〇
(13)
債権者は、債務者の承諾がなければ、その債務を免除することができない。
※ 債務の免除は、債権者の一方的な意思表示のみによって、その効力が発生する。
✕
第四款 免除
第五百十九条
債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。
(14)
売主が目的物を引き渡し、買主が代金の一部を支払った場合において、債務不履行を理由に
売買契約が解除されたときは、売主の目的物返還請求権と買主の代金返還請求権とは、同時
履行の関係にない。
※ 契約の当事者は、契約の解除によって原状回復義務を負い、その義務は同時履行の関係
に立つ(546・545)。 ✕
(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状
に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも
返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
(契約の解除と同時履行)
第五百四十六条 第五百三十三条の規定は、前条の場合について準用する。
(15)
解除権が行使された場合の原状回復において、金銭以外の物を返還するときは、その物を受領した時
以後に生じた果実をも返還する義務がある。
※ 545条 条文どうり 〇
(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状
に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも
返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
(16)
賃借人が適法に賃借物を転貸し、その後、賃貸人が賃借人との間の賃貸借を合意により解除した
場合、賃貸人は、その解除の当時、賃借人の債務不履行による解除権を有していたときであっても、
その合意解除をもって転借人に対抗することはできない。
※ 613条 どうり ✕
(転貸の効果)
第六百十三条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の
賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接
履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができ
ない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。
3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除
したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人
の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
(17)
建物所有を目的とする土地賃貸借の賃借人が、当該土地上に建物を建築し、土地の賃貸人の承諾なく
して当該建物を第三者に賃貸し、使用収益させることは、土地の無断転貸に該当する。
※ 土地の賃借人が借地上に築造した建物を第三者に賃貸することは建物の使用収益であって、
賃借地を第三者に転貸したとはいえない(大判昭8・12・11)。
✕
(18)
Aは、その所有する甲土地につきBと仮装の売買契約を締結し、その所有権移転登記をした。
その後、Bが事情を知らないCに甲土地を売却した場合、BからCへの所有権移転登記がされて
いないときであっても、Aは、Cに対し、AB間の売買契約の無効を主張することができない。
※ AとBは、仮装の売買契約をしており、通謀虚偽表示で原則無効(94Ⅰ)。
Cは94条2項の〈善意の第三者〉にあたる。
仮装行為者自身が一般の取引の当事者に比して不利益を被るのは当然の結果であり、
登記がないことを主張して物権変動の効果を否定することはできないので、Cは移転
登記を具備していなくても「第三者」として保護され、Aは、Cに対して、AB間の売
買契約の無効を主張できない(94Ⅱ)。 〇
:不動産物権変動の対抗要件は 登記 なのだが その登記をそなえて
いない場合でも保護される場面があり得る
(19)
婚姻が離婚により終了した場合には、配偶者の財産分与請求権が認められるが、判例によれば
内縁関係にある者についても類推して認められる。
※ 判例は、離別による内縁関係解消の場合における財産分与請求権(768)の適用を
認めている(最決平12・3・10)。
〇
(20)
特別養子縁組に係る養子は、未成年である間は養親の親権に服するが、実方の父母の相続人として
の地位を失わない。
※ 普通養子縁組か特別養子縁組かを問わず、養子は養親の親権に服する。
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組により終了する(817条の9)
ので、実方の父母の相続人としての地位を失う。
✕
(親権者)
第八百十八条
成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができない ときは、他の一方が行う。
(実方との親族関係の終了)
第八百十七条の九
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。
ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、
この限りでない。
:いわゆる連れ子養子の場合を除いて、特別養子縁組が成立したならば養子と実方
の父母およびその血族との親族関係が終了する(審判確定以前に具体的に発生し
ている養子と実方の父母およびその血族との権利義務関係には影響を及ぼさない
が)ということです。
ただし書の意味は、例えば、夫婦の一方Aが他方Bの嫡出子Cを特別養子とする
場合(817の3Ⅱただし書)には、Bおよびその血族 と Cの親族関係 は
終了しない、ということです。
はたけやまとくお事務所