おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

基幹事務の正体

2018-07-30 | マンション〔法 令・判 例〕

 

 

                    

                   ※ 掲載日における法令に基づいての記事です

基幹事務 とは ?

マンションに住んでいる方達が 管理業務を委託する場合に

管理会社が為すべき業務の中心にある事務のことで

この中心の事務を内容としていないと 国に登録している管理業者

としての契約とはならない仕組みになっています

 

 

管理事務 

マンションの管理に関する事務であって、
基幹事務管理組合の会計の収入及び支出の調定
及び 出納並びに マンション(専有部分を除く。)の
維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。
以下同じ。)
を含むものをいう。

「マンション管理適正化法第2条」

 

要するに 管理会社にしてもらう業務の中心は 会計 ・ 出納 ・ 維持修繕 

なのですが

管理業者さんと契約しようとしても この文章だけでは

なかなか理解できそうもない

「調定」 などという あまり聞かない言葉が登場していたり・・

内容というか 正体が 見えにくい

 

お客さんに 管理会社に任せる事務内容を説明するための

資料としては

たしかに 法律条文では アッサリしすぎています ?

 

あらためて 政令とか省令などを追ってみたのでしたが

なかなか 正体が 見えませんでした(以前にも 同様な思いをしましたが・・)

それで なんとかたどり着いたのが 管理業務主任者試験の実施など

国から指名されて活動している (一社)マンション管理業協会が示している 

様式にある文言

 

管理事務の内容
基幹事務
① 管理組合の会計の収入及び支出の調定


一 貴管理組合の収支予算案の素案の作成
二 貴管理組合の収支決算案の素案の作成
三 貴管理組合の収支状況の報告

② 出納(保証契約を締結して貴管理組合の収納口座と貴管理組合の保管口
座を設ける場合)


一 貴管理組合の組合員が貴管理組合に納入する管理費等の収納
二 管理費等滞納者に対する督促
三 通帳等の保管等
四 貴管理組合の経費の支払い
五 貴管理組合の会計に係る帳簿等の管理

③ マンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する
  企画又は実施の調整

一  貴マンションの長期修繕計画の見直しのため、管理事務を実施する上
  で把握した貴マンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の
  内容、実施予定時期、工事の概算費用等に、改善の必要があると判断した
  場合には、書面をもって貴管理組合に助言する。


二  長期修繕計画案の作成業務及び建物・設備の劣化状況等を把握するた
  めの調査・診断を実施し、その結果に基づき行う当該計画の見直し業務を
  実施する場合は、本契約とは別個の契約とする。


三  貴管理組合が貴マンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又
  は保守点検等。)を外注により当社以外の業者に行わせる場合の見積書の
  受理、発注補助、実施の確認を行う。

 

これだと 少しは わかりやすいかも と思いました (平成30年4月1日付けの内容)

ので 説明の参考にさせてもらおうと 考えています

もっとも そこまで関心をもって訊いてくるマンション住人さんは 意外と少ないのですが

お金を払って 管理事務を任せようとしているとき 契約の内容は 当然ですが

とても 大事なことです

“管理会社さんは どんな範囲まで このマンションのために働いてくれるのだろう?”

疑問をもったら 管理委託契約書を眺めさせていただくのも

一考です

 

 

さて 次のお仕事 スタート

当地では やっとのこと アブラゼミの鳴き声を最近聴くことができました

こんなに暑い日が続くのに 不思議なことです

数年前までの記憶では うるさいほどの音量で トップバッターで登場して

夏中聞こえていたのに・・・

今日も まだ 聞こえません

 

真夏に セミの声がしないなんて なんとなく 寂しい 

当地の自然環境は 緑が多いほうで 

さほど 変わってきているとは思えないんだけれど・・・

 

                              


          はたけやまとくお事 務 所

 

              

 

 

          


頭数

2018-07-23 | マンション管理関連試験等サポート   

 

マンションでの生活関係(区分所有関係での代表的な例)は

単なる利益集団生活 とは表現し難く ある程度の共同生活を営む

あるいは営まざるを得ない性質をもっている 団体生活の面を抱えています

 

共同利益 というものを考えなければ 良好な住人同士にはなれないでしょう

 

 

運営上 物の所有者の集まりなのだから議決権の大きさを通して

共有持分の大きさを反映する意味も必要でしょうが 他方で持分の大きさとは無関係に 

全員で討議を尽くして合理的な結論を出すために

頭数

ということを基準とした多数決にも 配慮する必要があります

 

代表的な場面として 区分所有法の第17と第31に頭数要件が規定されています

(詳細はさけますが 双方 強行規定で これに反するルールは許されません)

 

実は 区分所有法では 39条で 

「集会の議事は この法律又は規約に別段の定めが無い限り

区分所有者 

及び 

議決権

の各過半数で決する」

となっています

最重要事項の議決場面か否かにかかわらず いわゆる普通決議場面でも 区分所有者の数 

つまり頭数要件が 登場しているのです

 

 

圧倒的議決権保持者の存在があって そもそも 集会の意味が無い

(その多数議決権保持者の意向で すべて決まってしまうから)

という相談事例があったりします

 

権利濫用論

区分所有法にいう管理者の解任

(仮に解任しても 人物の変更があるだけで議決権の数の価値には太刀打ちできない・・)

少数者の保護

(規約改正時の不利益者の保護のような・・)

共同利益を害する違反者への対応策条文

仮処分(議決権差し止め?)などということも 一考?可能か?

 

などなど そういう質問場面で 脳内をかけめぐっている事柄さんたち ですが

つまるところ

どのような場面でも 議決権圧倒的保持者にはかなわない という

いわゆる 数の原理の

明白 かつ 動かし難い現実があったり

むなしさを覚えたりするのが ほんとうのところかな・・・

悔しささえ覚えてしまう時もありますが

(そうは言っても 規約を更に徹底的に精査することなど

必須ですが あきらめてはいられません 努めなければ

説得も必要でしょう 

圧倒的保持者も 1人の専有部分所有者 なのですから

資産育英の点からしても あまりの勝手は 自らにも得策ではないはずです )

 

 

国交省の標準管理規約では 次のようになってしまっています

(もちろん強要ではありませんが)

 

(総会の会議及び議事)

第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が

出席しなければならない。

2 総会の議事は、出席組合員の 議決権の 過半数で決する。

標準管理規約(単棟型)

(総会の会議及び議事)

第51条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が

出席しなければならない。

2 総会の議事は、出席組合員の 議決権の 過半数で決する。

(複合型) 標準管理規約)

※  お店も一緒に加わっているようなマンションを 複合型 としています

 

 

繰り返しますが

区分所有法そのものでは 

頭数が考慮されている仕組みです

(マンションの管理運営は 所有権だけでなく互いに協力し合う前提での組織であることが

重要なファクターであると 法では示している

と 理解されます)

 

議決権は 規約に別段の定めがない限り 14条に定める共用部分の共用持分割合による

(区分所有法38)

 

持分は 専有部分の床面積の割合よることが一般的

 

 

おおよそ どこの 管理組合でも大きな威力を持つ委任状の枚数(議決権数そのものたる 

たとえがいかがなものかとも思うが 

白地?手形 か 株券 みたいな・・・) 

これに対して というか 同時に考慮しなければならない 

区分所有者数(頭数)

 

イメージの差異があると思うのです

片方だけ か 両方 登場しているか とでは

 

管理運営上 大事なのは どちらなのか?

という 変な? 問題提起になってしまっていようとも

おおいに 考察を必要とするところだと思います

 

マンション価値は 物的な資産だけでは 判断できません

管理運営の仕組みの在り様も とても大事な判定材料です

 

規約に 

「区分所有者数」

という文字が登場する管理組合であるか否か

ここらあたりの影響は マンション管理運営上 とても インパクトのあることだと思うのですが

(すくなくとも 住民 という 人

を想起できますでしょう 単に 「議決権数」が基準であるよりは)

 

 

顧問として 規約改正のことなど訊かれた場面では 特に留意していこうと考えています

というか これからの高経年・居住者高齢化のマンションの増加においては 今まで以上に 

慎重に扱わなければならないことなのではと

思われるのです

 

それにしても

暑いー

クーラーは あまり好まないのですが いざとなったら

そんなことも 言っていられない

なにせ 連日のように「この夏一番の気温上昇に注意」などという

この夏一番 おおはやり

まだ 7月が1週間も残っているのに・・・

 

皆さま くれぐれも お気をつけられますよう

 

                                はたけやまとくお事 務 所