いくつかの管理組合の役員さんたちの 管理運営学習のために ということで
標準管理規約のコメントを参照しつつ 持参していただいた各々の管理組合の規約の
気になる条項についてサマザマな意見の交換をしてみる との企画をしたことがありました
( ソモソモ 標準管理規約にコメント というものもある ということをご存じない方が
ほとんど〔というか ホボ 全員〕だったのですが・・・)
そのときに 注目された文言・質問が多かったもの など太字にして並べてみます
受験生のかたも よろしければ 標準管理規約〔単棟型〕のコメントの学習の参考になさって
みてください(モチロン 他の型のコメント学習も必要とはなりますが)
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(管理組合)
第6条
区分所有者は、区分所有法第3条に定める建物並びにその敷地及び
附属施設の管理を行うための団体として、第1条に定める目的を達
成するため、区分所有者全員をもって○○マンション管理組合(以
下「管理組合」という。)を構成する。
6条関係コメント
区分所有法によれば、区分所有者の数が2名以上の管理組合は法人と
なることができるが、この規約では管理組合を法人とはしていない。
したがって、ここにいう管理組合は権利能力なき社団である。
管理組合は、区分所有者全員の強制加入の団体であって、脱退の自由が
ないことに伴い、任意加入の団体と異なり、区分所有者は全て管理組合の
意思決定に服する義務を負うこととなることから、管理組合の業務は、区
分所有法第3条の目的の範囲内に限定される。ただし、建物等の物理的な
管理自体ではなくても、それに附随し又は附帯する事項は管理組合の目的
の範囲内である。各専有部分の使用に関する事項でも、区分所有者の共同
利益に関する事項は目的に含まれる。
(専有部分の範囲)
第7条
対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以
外のものは、専有部分とする
7条関係コメント
④ 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。
(第3項関係)
⑤ 「専有部分の専用に供される」か否かは、設備機能に着目して決定する。
(共有持分)
第10条
各区分所有者の共有持分は、別表第3に掲げるとおりとする。
第10条関係コメント
① 共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。
ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、
それに合わせる必要がある。
② 敷地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約
等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。な
お、共用部分の共有持分は規約で定まるものである。
③ なお、第46条関係③で述べている価値割合による議決権割合を設定す
る場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価
値割合に連動させることが考えられる。
(分割請求及び単独処分の禁止)
第11条
区分所有者は、敷地又は共用部分等の分割を請求することはできない。
2 区分所有者は、専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定
等の処分をしてはならない。
第11条関係コメント
① 住戸を他の区分所有者又は第三者に貸与することは本条の禁止に当たら
ない。
② 倉庫又は車庫も専有部分となっているときは、倉庫(車庫)のみを他の
区分所有者に譲渡する場合を除き、住戸と倉庫(車庫)とを分離し、又は
専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設
定等の処分をしてはならない旨を規定する。
(修繕積立金)
第28条
管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の
各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
第28条関係コメント
① 対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う
計画的な維持修繕工事が重要であるので、修繕積立金を必ず積み立てるこ
ととしたものである。
(使用料)
第29条
駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要
する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる
第29条関係コメント
機械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要するこ
とから、管理費及び修繕積立金とは区分して経理することもできる。
(業務)
第32条
管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。
第32条関係コメント
⑨ 建替え等により消滅する管理組合は、管理費や修繕積立金等の残余財産
を清算する必要がある。なお、清算の方法については、各マンションの
実態に応じて規定を整備しておくことが望ましい。
(理事長)
第38条
理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
第38条関係コメント
① 例えば植栽による日照障害などの日常生活のトラブルの対応において、
日照障害における植栽の伐採などの重要な問題に関しては総会の決議に
より決定することが望ましい。
(監事)
第41条
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は
業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集
することができる。
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規
約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると
認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理
事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日
から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられな
い場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。
第41条関係コメント
① 第1項では、監事の基本的な職務内容について定める。これには、理事
が総会に提出しようとする議案を調査し、その調査の結果、法令又は規約
に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときの総会への報告が含
まれる。また、第2項は、第1項の規定を受けて、具体的な報告請求権と
調査権について定めるものである。
② 第4項は、従来「できる規定」として定めていたものであるが、監事に
よる監査機能の強化のため、理事会への出席義務を課すとともに、必要が
あるときは、意見を述べなければならないとしたものである。ただし、理
事会は第52条に規定する招集手続を経た上で、第53条第1項の要件を
満たせば開くことが可能であり、監事が出席しなかったことは、理事会に
おける決議等の有効性には影響しない。
③ 第5項により監事から理事会への報告が行われた場合には、理事会は、
当該事実について検討することが必要である。第5項に定める報告義務を
履行するために必要な場合には、監事は、理事長に対し、理事会の招集を
請求することができる旨を定めたのが、第6項である。さらに、第7項で、
理事会の確実な開催を確保することとしている。
(総会の会議及び議事)
第47条
第47条関係コメント
⑥ このような規定の下で、各工事に必要な総会の決議に関しては、例えば
次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく
個別の判断によることとなる。
ア)
バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工
を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議に
より、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、
エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考え
られる。
イ)
耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修
する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本
的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。
ウ)
防犯化工事に関し、オートロック設備を設置する際、配線を、空き管路内
に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程度が小
さい場合の工事や、防犯カメラ、防犯灯の設置工事は普通決議により、実
施可能と考えられる。
エ)
IT化工事に関し、光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、
その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を
加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブルを通す
ために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合で
も、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦
しくない状態に復元するのであれば、普通決議により実施可能と考えられ
る。
オ)
計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、給
水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設
備の更新工事は普通決議で実施可能と考えられる。
カ)
その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著
しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の
一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事
は普通決議により、実施可能と考えられる。
⑦ 建替え決議及びマンション敷地売却決議の賛否は、売渡し請求の相手方
になるかならないかに関係することから、賛成者、反対者が明確にわかる
よう決議することが必要である。なお、第4項及び第5項の決議要件につ
いては、法定の要件を確認的に規定したものである。
(議事録の作成、保管等)
第49条
総会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
3 前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の
総会に出席した組合員がこれに署名しなければならない。
4 第2項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録
された情報については、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員が電子署名(電子
署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第2条第1項の「電子署名」をいう。
以下同じ。)をしなければならない。
5 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があった
ときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録さ
れた情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当該議事録の
保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相
当の日時、場所等を指定することができる。
6 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。
第49条関係コメント
① 第3項の「利害関係人」とは、敷地、専有部分に対する担保権者、差押
え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等
法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりす
る者、親族関係にあるだけの者等は対象とはならない。
② 電磁的記録の具体例には、磁気ディスク、磁気テープ等のような磁気的
方式によるもの、ICカード、ICメモリー等のような電子的方式によるもの、
CD-Rのような光学的方式によるものなどによって調製するファイルに情報
を記録したものがある。
③ 電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項の電子署名とは、電磁
的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識すること
ができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用
に供されるもの)に記録することができる情報について行われる措置であ
って、次のア)及びイ)のいずれにも該当するものである。
ア)当該情報が当該措置を行ったものの作成に係るものであることを示す
ためのものであること。
イ)当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することがで
きるものであること。
(理事会)
第51条
理事会は、理事をもって構成する。
2 理事会は、次に掲げる職務を行う。
一 規約若しくは使用細則等又は総会の決議により理事会の権限として定
められた管理組合の業務執行の決定
二 理事の職務の執行の監督
三 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任
3 理事会の議長は、理事長が務める。
第51条関係コメント
(第2項関係)
① 管理組合の業務執行の決定だけでなく、業務執行の監視・監督機関とし
ての機能を理事会が有することを明確化するとともに、第35条第3項の
規定に基づく理事長等の選任及び解任を含め、理事会の職務について明示
した。
② 理事の互選により選任された理事長、副理事長及び会計担当理事につい
ては、本項に基づき、理事の過半数の一致によりその職を解くことができ
る。ただし、その理事としての地位については、第35条第2項及び第4
8条第二号に基づき、総会の決議を経なければその職を解くことができな
い。
(理事会の会議及び議事)
第53条
第53条関係コメント
① 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するも
のとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、
議決権を行使することが求められる。
② したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。以下同じ。)
を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当で
ない。
③ 「理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一
親等の親族(理事が、組合員である法人の職務命令により理事となった者
である場合は、法人が推挙する者)に限り、代理出席を認める」旨を定め
る規約の規定は有効であると解されるが、あくまで、やむを得ない場合の
代理出席を認めるものであることに留意が必要である。この場合において
も、あらかじめ、総会において、それぞれの理事ごとに、理事の職務を代
理するにふさわしい資質・能力を有するか否かを審議の上、その職務を代
理する者を定めておくことが望ましい。
なお、外部専門家など当人の個人的資質や能力等に着目して選任されて
いる理事については、代理出席を認めることは適当でない。
④ 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前
に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えら
れる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ
通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約
の明文の規定で定めることが必要である。
⑤ 理事会に出席できない理事に対しては、理事会の議事についての質問機
会の確保、書面等による意見の提出や議決権行使を認めるなどの配慮をす
る必要がある。
また、WEB会議システム等を用いて開催する理事会を開催する場合は、
当該理事会における議決権行使の方法等を、規約や第70条に基づく細則
において定めることも考えられ、この場合においても、規約や使用細則等
に則り理事会議事録を作成することが必要となる点などについて留意する
必要がある。
なお、第1項の定足数について、理事がWEB会議システム等を用いて出
席した場合については、定足数の算出において出席理事に含まれると考え
られる。
⑥ 第2項は、本来、①のとおり、理事会には理事本人が出席して相互に議
論することが望ましいところ、例外的に、第54条第1項第五号に掲げる
事項については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要す
るものであることから、書面又は電磁的方法による決議を可能とするもの
である。
⑦ 第3項については、第37条の2関係を参照のこと。
(消滅時の財産の清算)
第65条
管理組合が消滅する場合、その残余財産については、第10条に定める各区分所有者の共用部分
の共有持分割合に応じて各区分所有者に帰属するものとする。
第65条関係コメント
共有持分割合と修繕積立金等の負担割合が大きく異なる場合は負担割合に
応じた清算とするなど、マンションの実態に応じて衡平な清算の規定を定め
ることが望ましい。
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