顧問としての経験上 管理費の増減が問題になったときに おおよそ登場する意見・主張は
[一階に住んでいてエレベーターの利用など まず ないのに なぜ 管理費負担が
同じ専有部分面積同士で差がないのだ ? ]
という 設備の利用頻度を理由とする不満 です
「屋上保全の工事のために 業者さんが利用するなど つまるところ 建物利用管理の
ための 資産管理のための全員のためのエレベーター でもあるので・・・」という
ような説明ではナカナカ納得していただけなくて
そのような場合には 現実論として 利用頻度を基準にしての管理費設定ということが
一般論として 可能であるか ? というようなことも 延々と 論議になったり
する[どのような精度の基準を設け 対象となる日々の査定は 誰が担当し得るのか ??]
そのような議論まで 登場するのが常 でした が・・・
同様なことは 共同で設置するインターネット環境設備等においても [ パソコンな
ど不必要な者にまで その関連の管理費用を負担させるのか ? ] という主張が
あったりします
さて 本日の マンション管理士試験過去問学習 です
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2012年度 ※ 問い方を変え 利用させていただいております
【問 4】
管理費等の負担に関する規約の設定についての次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに
判例による正誤を答えよ。
ただし、各区分所有者の専有部分の床面積は同じものとする。
1 住居と店舗が混在するマンションにおいて、住居部分と店舗部分の区分所有者について、異なる
管理費等の負担を内容とする。
2 エレベーターのあるマンションにおいて、1階部分の区分所有者とそれ以外の区分所有者につい
て、異なる管理費等の負担を内容とする規約を設定することができる。
3 住居専用のマンションにおいて、居住者が日本国籍を有するか否かによって、異なる管理費等の
負担を内容とする規約を設定することはできない。
4 住居専用のマンションにおいて、現に居住する区分所有者と現に居住していない区分所有者につ
いて、管理組合の運営のための業務負担に応じ異なる管理費等の負担を内容とする規約を設定す
ることはできない。
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区分所有法
(規約事項)第三十条
建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に
定めるもののほか、規約で定めることができる。
3 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の
敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利
用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡
平が図られるように定めなければならない。
1 について 正しい
使用目的に応じて 共用部分等の使用状況の差異があるなどの事情があるならば それらを考慮して
管理費等の負担を定めても 合理的な範囲内にあるなら 区分所有者間の利害の衡平が図られる
ので 肢のような規約を設定することができる
2 について 正しい
エレベーターの利用状況に差異がある場合 それを勘案して異なる負担を定めても 合理的な範囲内の
差であるなら 区分所有者間の利害の衡平が図られる ので 肢のような規約を設定することができる
参考として 載せておきます
<1階の区分所有者であっても エレベーターの保守管理費を負担しなければならない
札幌地判平成14・6・25>
<管理経費の負担割合をどのように定めるかは 区分所有者の内部自治に委ねられる
性質の事項であり 持分割合以外の要素を加味することも可能である
大阪高判平成18・5・18>
3 について 正しい
居住者が日本国籍を有するか否かによって管理費等の負担に差異を設けることは 公序
良俗に反し合理的な理由がなく 区分所有者間の利害の衡平を害するので 設定できない
民法
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
4 について 誤 り
現に居住する区分所有者と現に居住していない区分所有者について 管理組合の運営の
ための業務負担に応じ 異なる管理費等の負担を内容としても その違いが合理的な
範囲にあるならば区分所有者間の利害の衡平は図られるといえるので 肢のような規約
の設定も許される
参考
< 非居住区分所有者に協力金の賦課をする規約の変更が有効とされた
最高裁平成22・1・26第三小法廷判決 >
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一切利用したことがないのに それなりに利用している者と
同様の負担を
ナニユエ
しなければならないのだ ???
その思い わからなくもない のですが・・・
しかし・・・
この悩ましい課題 マンションに限らず 巷に 多少 ? ありますよ ね
皆さんの周辺では いかがなものですか・・・
おおよそ イタシカタナイ こと多し ということ ? なのでしょう ネ
共生 という言葉を 思ってみたりします