おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

実務にも直結の改正の連続

2024-09-26 | 〔法規 ・ 法制〕

 

『早速 改正部分が出題された』

というような感想をお持ちの受験者さんも 多いことでしょう。

『まさかこれほど早く新条文が国家試験に登場するとは ゼンゼン 思っていなかった』

以前より そうした思いをすることが 多くの試験において 感じられることでは ?

と考えられます。

めまぐるしく変わる という表現が相応しい法律範囲も たしかに ありますね。

日常に密着する範囲のことでは 実務においても特にメマグルシサを実感します。

 

 

受験者の方たち向けのことだけではなく 実生活に直接影響する知識であることも

そのメマグルシサに含まれていること 多し・・・

 

 

 

民法 にしても

長期間経過後の遺産分割に関するルールの見直しがされています
特別受益 や 寄与分 を 反映した具体的相続分による遺産分割について
原則として相続発生後10年という期限が設けられています

 相続開始から10年経過後は具体的相続分による遺産分割が原則不可

相続開始の時から10年を経過すると、特別受益と寄与分に関する民法の規定が原則として適用されなく
なりました
(民法904条の3)。

相続開始から10年を経過した場合、具体的相続分ではなく、法定相続分(900・901)または
指定相続分(902)によって遺産分割が行われることになります。

 (期間経過後の遺産の分割における相続分)
第九百四条の三 
前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない
ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
二 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができ
ないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前
に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。


※ 共同相続人の1人は、他の相続人が取得した特別受益(例えば、婚姻の時に多額の贈与を受けたなど)
または自身の寄与分を主張することで、法定相続分を基準とした分割割合よりも多い分割割合である
具体的相続分に基づいて遺産分割をすることができる、が、相続開始から10年を経過してしまうと
具体的相続分の算定の基礎となる特別受益や寄与分の主張が制限されてしまう。
この制限を避けるため、長い期間が経過することなどなく早期の遺産分割が行われることが期待される。

※ 特別受益(特に生前贈与)や寄与分に関しての証拠が散逸などすると、具体的相続分の算定それを基
準とした遺産分割を実施することに支障が生じたりしてしまう。なので、10年を経過した場合は、
法定相続分または指定相続分の割合とすることで、遺産分割協議や遺産分割調停・審判などを円滑に
進めることが増えることになるだろう。

 

 

「具体的相続分」とは、特別受益および寄与分を反映した相続分のこと。

相続人が被相続人から特別に受けた贈与または遺贈です。
概して言うと、特別受益のある相続人の相続分は減り、その他の相続人の相続分は増えるはず、
というルール。

(特別受益者の相続分)
第九百三条 
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の
資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に
その贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算
定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈
者は、その相続分を受けることができない。
3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供
する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与
について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。

第九百四条 前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失
し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままである
ものとみなしてこれを定める。

寄与分(民法904条の2)
寄与分とは、事業の手伝いや介護などによって、相続財産の維持または増加に貢献した相続人に認められ
るものです。

(寄与分)
第九百四条の二 
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の
方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続
開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相
続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもっ
てその者の相続分とする
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定す
る寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、
寄与分を定める。
3 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超
えることができない。
4 第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合
にすることができる。

 

 

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これらの改正は、なぜされたのかというと、所有者不明土地等の発生予防と利用の円滑化の両面から
総合的に民事基本法制を見直さなければならない、ということが主な理由です。
できるだけ早期の遺産の分割を進めるという目的(遺産分割の促進)、書証などの散逸により具体的相続
分の算定が困難となってしまうなどの懸念があることについての対策(長期間経過後の遺産分割処理の
簡便化)が必要だからです。
多くの相続人の数次の相続が積み重なったりしたままだと、所有者不明土地等が増加してしまいます。

 

  上記の改正は、改正相続法の施行日より前に生じた相続についても適用されますが、施行日
  から5年間の経過措置が設けられています。

相続開始の時から10年経過時、または改正法施行日から5年経過時のいずれか遅い時までに、
家庭裁判所へ遺産分割を請求すれば、具体的相続分による遺産分割ができる、というような
ことです。

 

 

本日のブログ は

001401146.pdf (moj.go.jp)

46・47・48ページ あたりのことです

『自分は 親から生計の資本などの援助など受けたことがない
 だけど・・・ 他の兄弟は 結婚するから とか 学業をやりなおしたい とか 事業をしたい
 とか   どうにも納得できなかったなー』
『自分だけはオヤジの事業にあれほど力を貸したのに なんの恩恵もないのかな
 他の兄弟は ナンニモしないで財産を減らしただけなのに・・・』 
 などとの思いを抱きそうな方は 特に密接な重要な事柄のことです
(遺産分割などを放っておいても いつまででも 安心さ いざとなれば
 と ノホホンとしているのにも今までの制度とはチガッテ限度がありますよ ということです 
 言いたいことを主張できなくなることさえありますよ ということなどのこと です

 

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                    よろしくお願いいたします   
                   


賃主になること借主になること

2024-09-24 | マンション管理関連試験等サポート   

 

人生において 不動産の貸し借りの経験などすることはないだろう と 

思っていたけれど

予期せぬことからそのような事態が 現実になりそうだ

ということについての相談が ナントナク 以前より増えた気がします

 

「 5人で住んでいた家を 一人ではもてあます

 コジンマリの部屋を借り 持ち家は貸し出す というパターンを考えている 」

高齢化・少子化・空き家対策・いつしか一人住まい・節約の徹底 

というような
言葉が

日常の相談に

多く登場します


 

本日の マンション管理士試験過去問学習です

 



Aがその所有する甲マンションの101号室をBに賃貸した場合に関する次の記述について、
民法及び借地借家法(平成3年法律第90号)の規定並びに判例による正誤を答えなさい。


1 
AとBとの間で、期間を3年として賃貸借契約を締結する場合に、契約の更新が
ないこととする旨を定めようとするときには、公正証書によって契約をしなけ
れば、その旨の定めは無効となる。


2 
Aが、Cに対し、101号室を書面によらずに贈与することとして、その所有権を
Cに移転し、登記したときは、AはCに対する贈与を解除できない。


3 
Bは、Aの書面による承諾を得ていなくても、口頭による承諾を得ている場合は、
Dに対し、101号室を転貸することができる。


4 
Eが、Aに対し、Bの賃料債務を保証する場合には、書面又はその内容を記録し
た電磁的記録によってしなければ保証契約は効力を生じない。




1 について                    誤 り


 肢の場合に 契約は公正証書によらなけらばならないとはされていない

 下記 借地借家法38条 を 参照ください

 

 

2 について                    正しい

 肢の場合 履行が終わっていると解されるので Aは贈与を解除できない

 下記 民法550条 を 参照ください

   〈判 例〉
   不動産の贈与契約において、不動産の所有権移転登記が経由されたときは、
   不動産の引渡しの有無を問わず、贈与の履行を終わったものと解すべきで
   ある。                  〔最判昭40・3・26〕

 

3 について                    正しい

 BはAの承諾を得ている(書面による承諾などとする限定は規定されていない)

下記 612条 を 参照ください

 

 

4 について                    正しい

 保証契約については 書面または内容を記録した電磁的記録によってしなければ
 無効となる

下記 446条 を 参照ください

 

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            ※ 条文に省略部があることもあります

 

借地借家法
定期建物賃貸借)

第三十八条
期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による書面によって
契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨
を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。

   (建物賃貸借の期間)
    第二十九条
    期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
   2民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百四条の規定は、建物の賃貸借につい
    ては、適用しない。

   (強行規定)
    第三十条
    この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。 

2前項の規定による建物の賃貸借の契約がその内容を記録した電磁的記録によってされ
たときは、その契約は、書面によってされたものとみなして、同項の規定を適用する。
3第一項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじ
め、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の
満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付し
説明しなければならない。
4建物の賃貸人は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、
建物の賃借人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組
織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるも
のをいう。)により提供することができる。この場合において、当該建物の賃貸人は、
当該書面を交付したものとみなす。
5建物の賃貸人が第三項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこと
とする旨の定めは、無効とする。
6第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の
賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」
という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知を
しなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸
人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通
知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
7第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借
の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に
係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情によ
り、建物のが建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、
建物のは、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合において
は、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
8前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
9第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る
特約がある場合には、適用しない。

 

  (借賃増減請求権)
    第三十二条
     建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、
     土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動によ
     り、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の
     条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請
     求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特
     約がある場合には、その定めに従う。
    2建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を
     受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の
     建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場
     合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の
     割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
    3建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を
     受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の
     建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した
     場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超え
     るときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付して
     これを返還しなければならない。

 

民 法

(保証人の責任等)
第四百四十六条 
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、
書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

 

(書面によらない贈与の解除)
第五百五十条 
書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。
ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

 

(賃貸借の存続期間)
第六百四条 
賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めた
ときであっても、その期間は、五十年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。
ただし、その期間は、更新の時から五十年を超えることができない。

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第六百十二条 
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸する
ことができない。

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 本日の過去問学習は 
 2019年度 問12 を 基底とさせていただいております

 

                   
                はたけやまとくお の 守備範囲          


親と子のこと

2024-09-20 | 〔法規 ・ 法制〕

 

 

親と子のこと についての とても大切な新しい規準 が 

施行されています

 

 

民法(親子法制)等の改正に関する法律

001395211.pdf (moj.go.jp)

 

 

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                          はたけやまとくお の 守備範囲 

                    


主たる改正は債権 ということでもなく 家族法も重要部多し

2024-09-16 | ◆ 国家試験受験サポート 〔 全 般 〕


暦には 3連休も多いですが 受験者の方の学習には お休みは ホボ関係ないこと
でしょうね
休日こそ学習タイムそのもの ですものね

 

特に 「マンション管理士」受験生の方にとっては 〈身分法・相続法のような知識が
マンション管理運営に関して必要となる知識なのだろうか?たしかに民法の範囲のこと
であるが このようなことまでマンション管理士の資格取得のための試験問題とする意
義があるのだろうか?〉という疑問を持ったことがあるのでは・・・と思ったりします
ですが 広くとらえると 組合員に関するの身分法のことも管理運営上の知識として必
要になることが実務上あるし 実際 出題が広範囲であることは確かなので 過去には
なかったようなことが登場したとしても さらに 内容もレベルアップされようとも
べストを尽くすしかないでしょう

国家試験一般において 親族・相続法関係の出題率と範囲が増えている感があり・・・
以前は 一定の国家試験には特に 親族法はホトンド出題無しという時期がそうとう長
期にわたってあったようなことでしたが・・・

改正ラッシュということでは 特に相続法においても そうとうな分量です
実務においては 自身などは マダマダ未整理もいいところが 多くあって
未だ というか 先々力不足を痛感すること多しの日常だろうなー という
思いを拭えないままいます(プロとして恥ずかしいですが・・・)

 

 

自身の実務において 「遺言書作成」 に関しての業務が トキドキ あります

遺言で 〈遺言執行者〉に就任することの依頼も ときに あります

〔遺言執行者というのは どんなことを担当するのですか ?〕という質問が多

いのですが 遺言の内容を実現する職務を遂行します

実務においては 〈遺言執行者〉 に関しての相談は さほど珍しいことではな

いレベルの事項です

〈遺言執行者〉についての改正も サマザマ ありますね

 

 

遺言執行者の権限が規定されています

(遺言執行者の権利義務)
  第千十二条 
  遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な
  一切の
行為をする権利義務を有する

 

 

さて

本日の 各種国家試験受験用オリジナル学習問題 



 下記のような状況における各肢の問に答えなさい。

          記
被相続人  
相続人   子  ・子 
Xの遺言 ① 「 土地をに相続させる 」
     ② 「 土地をに遺贈する 」
     ③ 「 を遺言執行者と指定する 」

1 ①に従った所有権移転登記がなされる前に、が自己の法定相続分である
   土地持分2分の1をに譲渡して登記を経由した場合、に所有
   権取得を対抗できるか(遺言執行者がいることを、は知っていた)。

2 ②に従った所有権移転登記がなされる前に、が自己の法定相続分である
   土地持分2分の1をに譲渡して登記を経由した場合、に所有
   権持分取得を対抗できるか(遺言執行者がいることをは知らなかった)。

3 肢2の場合、仮にへの当該登記が経由されていなかった場合は、対抗関
  係はどうなるか。



 

1 について

 は遺言執行者のいることを知っていたので、善意の第三者ではなくの行為が有効なものと
 して取り扱われないので無効でありその相手方は譲渡を受けていない無権利者なので対抗関
 係にたたないのであり、に対し、仮に登記がないとしても、所有権取得を対抗できる。

 〔第三者とは(相続人がした処分行為の相手方)本肢では

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 (遺言の執行の妨害行為の禁止)
  第千十三条 
  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為
  をする
ことができない。

2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。
  ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
     ※ ただし書が適用されると、当該第三者(相続人がした処分行為の相手方)との
       関係では、当該行為は無効ではなく有効なものとして取り扱われることになる
      (対抗することができなくなるのは
                         利益を保護されるはずだったところの受益相続人(特定財産承継遺言等がされ
       た場合)や受遺者であり、保護される者の反面で不利益をうけることになる)。

3 前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行
  使することを妨げない
     ※ 相続債権者(被相続人の債権者)や相続人の債権者が相続財産に対して権利行使
      (例えば差押等)をすると、遺言執行者によって行われる遺言の円滑な執行が妨げ
       られないかどうか、
       ということだが、遺言がない場合は債権者の権利行使により遺産分割協議等の円
       滑な進行に支障が起きたとしてもやむを得ないとされていることからして、遺言
       がある場合について同様の取扱いがされるとしてもやむを得ないと考えられる、
       というようなことの条項です。
       遺言執行者の存在の有無に関しての認識を問うことなく、相続債権者等の権利行
       使が妨げられないことを示しています。

   
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 

2 について

 に対し所有権持分取得を対抗できる

 は、遺言執行者がいて財産の管理処分権が遺言執行者にあり相続人であるにはなかったの
 だということを知らなかった(善意だった)ので、との関係においての行為は有効なもの
 として取り扱われる(1013条2項ただし書き)ので保護され、に対し所有権持分取
 得を対抗することができる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 (遺言の執行の妨害行為の禁止)
  第千十三条 
  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為を
  する
ことができない。

2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。
  ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

3 について

 に対し所有権持分取得を対抗できない

 が〈善意の第三者〉にあたるとしての無権限が治癒されて処分権限を有していたもの
 と法律上取り扱われることになるのだけれど、X → A    Z〔Xの相続人〕→  
 という二重譲渡と類似の状態が作られているに過ぎないので、に対してその譲渡を
 受けた共有持分の取得を対抗するためには、その旨の登記をよりも先に備えることを要
 する無効ではなく有効なものとして取り扱われることになる、ということと、登記とい
 う対
抗要件
手段を備えているか否かとは、別のこと)

 

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今回の問題は

相続に関しての問題ですが 不動産権利対抗関係という物権理論や登記のことなどの知識

も登場しますし 事例問題というもの 総則・物権・債権・親族・相続のうちの一範囲だけで

解けるというものは まず 無いのでは ? という感があります

                                                           

                                                                      

                    はたけやまとくお の 守備範囲 

 


ドッシリとかまえたままの規準

2024-09-12 | マンション管理関連試験等サポート   

 

当地は 厳しい暑さが続いています

皆さまのところも同様であるのでしょうね

どうぞ 体調に気を配りながらお過ごしを・・・

 

 

 

基本的な重要判例は シンプルさを保ちつつ色あせることなく 規準となり続けます

 

〈96条に登場の判例〉

詐欺による取消しの効果は、その登記をしなければ、取消後不動産を取得して登記を経た第三者に
対抗しえない。                          (大判昭17・9・30)

 

〈177条に登場の判例〉

取消しは、登記をしなければ取消後の第三者に対抗できない。     (大判昭17・9・30)

契約の解除は、登記をしなければ解除後の第三者に対抗できない。   (最判昭35・11・29)

何らの権限なく不動産を占有する不法占有者は、本条にいう「第三者」に該当しない。
                                 (最判昭25・12・19)

 

〈545条に登場の判例〉
不動産売買契約が解除されると、買主に移転していた所有権は遡及的に売主に復帰する。
                                 (最判昭34・9・22)
不動産売買契約の解除は、登記をしなければ解除後の第三者に対抗できない。

                                 (最判昭35・11・29)


本条1項ただし書により第三者が保護をうけるためには、その権利につき対抗要件を備
えていることを必要とする。

甲乙間になされた甲所有不動産の売買が契約の時に遡って合意解除された場合、すでに
乙からこれを買い受けていたがいまだ所有権移転登記を得ていなかった丙は、右合意解
除が信義則に反する等特段の事由がない限り、乙に代位して、甲に対し所有権移転登記
を請求することはできない。                     (最判昭33・6・14)

 

(解除の効果)
第五百四十五条 
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる
義務を負う。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
・・・・・

 

さて 本日の マンション管理士試験過去問学習です



                     ※    〔問い方(肢の順番を変える等も含み)を変えて
                         利用させていただいている場合があります
                         法令等改正があった場合に内容を現行のものと
                         整合させるため出題当時の問題を改めているこ
                         と等もあります〕 

Aは、Bとの間で、甲マンションの1室である 501 号室をBに売却する旨の売買契約を締結した。

この場合に関する次の記述について、民法の規定及び判例による正誤を答えなさい。

 
Aが 501 号室を退去した後に、居住するための権利を有しないCが同室に居
住している場合、AからBへの 501 号室の区分所有権の移転登記が経由されて
いないときは、Bは、Cに対して、同室の明渡しを請求することができない。


 
AからBへの 501 号室の区分所有権の移転登記が経由されない間に、AがC
に同室を売却する旨の売買契約を締結し、Cに同室が引き渡された場合におい
て、AからB及びCのいずれに対しても同室の区分所有権の移転登記を経由し
ていないときは、Bは、Cに対して同室を明け渡すように請求することができ
ない。


 
AからBに 501 号室の区分所有権の移転登記を経由した後に、AがBの詐欺
を理由にAB間の売買契約を取り消したが、その後にBがCに同室を売却する
旨の売買契約を締結して、区分所有権の移転登記をBからCに経由し、Cが居
住しているときは、Aは、Cに対して、同室の明渡しを求めることができない。


 
AからBに 501 号室の区分所有権の移転登記が経由された後に、AがBの代
金未払いを理由にAB間の契約を解除したが、その解除の前にBがCに同室を
売却する旨の売買契約を締結してCが居住している場合、区分所有権の移転登
記がBからCに経由されていないときは、Aは、Cに対して、同室の明渡しを
求めることができる。



 

1について                           誤 り

 Cは不法占有者であり「第三者」に該当しないので AからBに対して同室の区分所有権
 の移転登記を経由していなくてもCに対抗でき 明渡を求め得る


〈177条に登場の判例〉

何らの権限なく不動産を占有する不法占有者は、本条にいう「第三者」に該当しない。
                                 (最判昭25・12・19)

 

 

2について                           正しい

 AからB及びCのいずれに対しても同室の区分所有権の移転登記を経由していない
 ので 対抗に必要な登記を得ていないということで互いに対抗手段を持っていない
 のであり BはCに対して同室を明け渡すように請求することができない 

 下記 177条 を 参照ください

 

 

3について                           正しい

 AB間の売買契約を取り消しても Aはその旨の登記をしていなかったので
 取消後不動産を取得して登記を経たCに対抗できない

〈96条に登場の判例〉

詐欺による取消しの効果は、その登記をしなければ、取消後不動産を取得して登記を経た第三者に
対抗しえない。                          (大判昭17・9・30)

〈177条に登場の判例〉

取消しは、登記をしなければ取消後の第三者に対抗できない。     (大判昭17・9・30)

 

 

4について                           正しい

 Cは 501号室の区分所有権の移転登記を得ていないので 保護を受け得る「第三者」に該当
 しないので AはCに対し同室の明渡しを求め得る

〈545条に登場の判例〉
不動産売買契約が解除されると、買主に移転していた所有権は遡及的に売主に復帰する。
                                 (最判昭34・9・22)
不動産売買契約の解除は、登記をしなければ解除後の第三者に対抗できない。

                                 (最判昭35・11・29)

本条1項ただし書により第三者が保護をうけるためには、その権利につき対抗要件を備
えていることを必要とする。                    (最判昭33・6・14)


 

                   記

参考条文

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の
登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない

 

(解除の効果)
第五百四十五条 
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも
返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本日の過去問学習は

2022年度 問13 を基底にさせていただいています

 

                                 

                              
                            よろしくお願いいたします 

              


整理のレベルアップ

2024-09-01 | マンション管理関連試験等サポート   

 

条文を覚えなければ、とはいっても、丸暗記しても、どのような趣旨が

あってそのような文言になっているのかを知らなければ、学びの意義を

見出せませんし、アッサリと忘れてしまうでしょう。

改正後それほど経ていない今のうちに、理解が済んでいない条文につい

ては優先して、なんのため新しい条文が必要になったのか背景を少しで

も知り、わずかでも〔こういうことのためにあつらえられた条文なのか〕

と意識できるまで向き合うことが、いかにも重要難解条文と付き合うた

めの決め手になる、と思われます。

 

 

さて

本日の マンション関連国家試験オリジナル問題です

 



民法の、以下の条文の空欄〈  〉を充たす文言を、下記群から選び、埋めてください。

 

(不動産〈  〉の対抗力)
第六百五条 
不動産の〈  〉は、これを登記したときは、その不動産について〈  〉を取得した者その他
の第三者に対抗することができる。


(不動産の〈  〉の移転)
第六百五条の二 
前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸
借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の〈  〉
は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、〈  〉を譲渡人に〈  〉する旨
及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の〈 5 〉をしたときは、〈  〉は、譲受人に移
転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲
渡人に〈  〉されていた〈  〉は、譲受人又はその承継人に移転する。
3 第一項又は前項後段の規定による〈  〉の移転は、賃貸物である不動産について所有権
の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4 第一項又は第二項後段の規定により〈  〉が譲受人又はその承継人に移転したときは、
第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規
定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。


(〈  〉による不動産の〈  〉の移転)
第六百五条の三 
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その〈  〉は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人
と譲受人との〈  〉により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第三
項及び第四項の規定を準用する。

(賃借権の譲渡及び〈  〉の制限)
第六百十二条 
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を〈  〉することが
できない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の
解除をすることができる。

(〈  〉の効果)
第六百十三条 
賃借人が〈  〉に賃借物を〈  〉したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基
づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を〈  〉履行する義務
を負う。この場合においては、賃料の〈  〉をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。
3 賃借人が〈  〉に賃借物を〈  〉した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を〈  〉
により解除したことをもって〈 10 〉に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が
賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。

 

第四款 敷金
第六百二十二条の二 
賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の
賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。
以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その
受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務
の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の〈 11 〉を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷
金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその
債務の弁済に充てることを請求することが〈 12 〉。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

                

・ 適 法  ・ 返 還  ・ 転 貸  ・ 直 接

・ 転借人 ・ 前 払  ・ 賃貸人たる地位  ・ 合 意

・ 留 保  ・ 賃貸借  ・ できる  ・ できない ・物 権

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

1  賃貸借

2  物権

3  賃貸人たる地位

4  留保

5  合意

6  転貸

7  適法

8  直接

9  前払

10 転借人

11 返還

12 できない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

メ モ

605条の2 が新設された趣旨は、
〔賃貸物件を不動産小口化商品〕として販売するなど不動産の共同投資事業の実務事例
に対処するためです。

例えば、が、所有する賃貸ビルであるX建物をに貸し出す。
その後、は、数人の投資家にX建物を売却する(実務でみられる例です)。
この数人の投資家が、新貸主になりBからの賃料を共有割合に応じて受け取る(つまり、
賃借人に対して修繕義務を負ったり敷金返還義務を負ったりしなければならないことな
ので商品化はなかなかタイヘン)。
そこで、の賃貸人の地位を留保〔実際の賃貸事務はが継続してすることとする〕す
る、数人の投資家に賃貸する、との合意をし、当事者〔投資家〕間に一種
の転貸借の関係が成立するようにしたりする。
この場合、仮に投資家らがAの債務不履行を理由として投資家らとの賃貸借を解除
すると間の賃貸借(転貸借)も終了してしまいは地位を不安定に変更されること
になってしまう。
そこで、投資家との間の賃貸借が終了した場合は、賃貸人の地位は当然に投資家
移転するという制度にし、賃借人の地位の不安定化を避ける等の方策のための条文とな
っているのです。

条文の文言だけでは、ナカナカ覚えられないのでは?と考えられます(実務を感じられ

ないと、すぐには解釈できないと思われますが・・・)

とにもかくにも、出題は、どんなレベルのものがいつ登場するか ??
605条の2 などは強敵ですが・・・
まったくのゼロ知識状態は避けるべきであること、当然のことです  が・・・



                                 
                    
                              よろしくお願いいたします