権利関係が判然としていない程度 というものは およそ 管理不全の度合いに
比例している とでもいうように 周辺の環境に不都合の兆しがある あるいは現に
危険さえ感じる というような空き家 というか そうとうに年数が経った放置ビル?
らしきものが 散見されたりしているところもあります
長い間 なすべき登記をせずに 二重三重の相続人の重なりのままで 処理がタイ
ヘンなことになっているようなものも含め 不動産の所有状況把握対策にも行政も
力を注いでいます
行政運営のことなどでも イロイロと 不都合が起きかねない ともいえますから
登録免許税の優遇などで なんとか行動を起すように というようなことで揺さぶり?
をかけたりはしているようです が・・・
そうしたこともあってのことか ? 主に 相続がらみの不動産相談も続いていたりし
ている連休前です
が
国家試験受験生さんからの サマザマな相談も チラホラ 続いています
自身も 連休前からも 連休中もおそらく 改正された相続法 と 債権法の学習に
費やすことが 主な行動となりそうな そうしたアタフタ の情況ゴールデンウィーク前後
です
さて
本日は 平成30年度(2018年度) 過去問
〔問 12〕
甲マンション203 号室を所有しているAは、高齢になり判断能力に不安を抱えていたところ、
Bとの間で、Bに高額の報酬を支払って同室の内装をリフォームしてもらう旨の請負契約(以
下「本件請負契約」という。)を締結した。
この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っている肢は何個あるか。
※ 個数を問う形式に変えさせていただいています
ア
本件請負契約を締結した時にAに意思能力がなかった場合には、Aは、意思能力を欠いていた
ことを理由として、本件請負契約の無効を主張することができる。
イ
本件請負契約を締結した時に、Aについて後見開始の審判はなされていなかったが、Aが精神
上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあった場合には、Aは、行為能力の制限を理
由として、本件請負契約を取り消すことができる。
ウ
B が、実際にはリフォームをする必要がないにもかかわらず、リフォームをしないと健康を害する
とAをだまし、これによりAがリフォームをする必要があると誤信して本件請負契約を締結してい
た場合には、Aは、B の詐欺を理由として、本件請負契約を取り消すことができる。
エ
本件請負契約を締結する際に、Bが、Aの窮迫・軽率・無経験を利用して、相場よりも著しく高額
な報酬の支払をAに約束させていた場合には、Aは、公序良俗に違反することを理由として、本
件請負契約の無効を主張することができる。
① 一個 ② 二個 ③ 三個 ④ 四個
正誤を問い一肢を選ぶ出題 正・誤の肢の組み合わせ などの回答方式がありますが それら
と正誤の肢の個数を問う出題 とでは 一般的ですが 正解率がそれなりに変わりますね
個数問題が多目の年度は 合格に要する正解数にも 影響していると思われます
『今年度試験は 難解だった』 ということには 出題形式のことと 出題内容のことと双方への感
想が含まれていると思いますが 個数問題出題の増加があると 合格点は まずホボ比例して下
がる
と言えそうです
個数問題というのは なにしろ4個の肢全部を検討しなければならないし 解答(回答)エネルギー
も増えることになるだろうし 持ち時間の減りも多くなるし 比較考量でナントカカントカ ひとつの肢
に絞る という手法をもとり得ないので 手強く 疲れますでしょう
でも 学習する上では 知識を増す手法として 推奨できます
学習時点では苦しくても 力を増すという点では 個数問題として挑戦するほうが 総合判断すると
断然 学習効率は良い と 考えられるのです
過去問を試しての正答・誤答に一喜一憂することに意義は無い とまでは言いませんが 試験本番
で通用する知識を増すことが学習の目的であるべきなのですから それならば より有効な個数問題
だと捉えて問題にあたることを奨めたいです
それと 以前から申しあげていますが
おおよその法文系国家試験の要となるのは 民法の基礎力 だと考えられます
そこのところが育たないことには 将来の実務力の養成エネルギーにも苦労するのでは? とも 思わ
れます
余計なお世話ですみません ( 自身のことの力量は棚に上げたままで 心苦しいことですが・・)
さて
正解 誤っている肢は イ 一個なので 1 です
ア について
契約を締結した時にAに意思能力がなかった と問題文にあります
第二節 意思能力
第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その
法律行為は、無効とする。
イ について
情況は成年被後見人そのもの だとしても 審判を受けていなければ被後見人では
あり得ないので 制限行為能力者としてのその制度の恩恵(保護)を受け得る状況にない
制限行為能力者は 未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人ですが それぞれ
民法の成年年齢満18歳(来年の4月1日から施行・・ 喫煙・飲酒が許される年齢は20歳
のまま・・遺言は15歳以上<961条>)に達していない者 とか それぞれの審判を受け
た者 というような要件が必要で それを充たしていない者は 制限能力者ではありません
(後見開始の審判)
第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その
他日常生活に関する行為については、この限りでない。
ウ について
(詐欺又は強迫) の 条文そのまま という肢
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方が
その事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者
に対抗することができない。
エ について
窮迫・軽率・無経験を利用して著しく過当な利益の獲得を目的とする法律行為は 公序良俗
に反する事項を目的としているので無効 という古い判例があります(大判昭和9年5月1日)
←大判 とは 最高裁判所以前の大審院時代の判決 (貸金が払えない場合は貸金の2倍
にもなる保険の解約返戻金を得る という特約が無効とされた ← 暴利行為 ということに
関する判例)
マンション関係でも 暴利行為に関して
<土地付分譲マンションで 土地の一区画に駐車場専用使用権をマンション分譲とは別個に
設定する約定は 同一の土地から二重に利益を得るというようなものだから 分譲業者の公序
良俗違反行為ではないか と 裁判があったりしました(最判昭和56年1月30日 公序良俗違
反のものとはいえない とされたのでした)
最近では ほとんどの場合 賃貸方式で駐車場を利用しているといえるでしょう
第五章 法律行為
第一節 総則
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
ということで 「無効」 と 「取消」のことを問う 過去問題でした
個数問題 とはいっても イ に注意(能力を欠く常況にあるだけであって審判を受けていないのなら
成年被後見人ではない)できたのなら 正解できたのでは ?
マスマス混沌としすぎている情況の巷ですが くれぐれも
お元気で日々を過ごされますよう・・・