東京新聞の夕刊に各界の人が自身の生きざまを書いている連載記事があります。今回は、作家の早乙女勝元さんです。自身が体験した東京大空輸のこと、その史実を残す仕事、町工場に働いたことを題材に書いた作品のことなどを書いており、私は興味深く読んでいます。その連載記事に昨日は、軍隊を持たない南米のコスタリカのことが書かれていました。
1999年に「軍隊のない国 南米コスタリカ」に行ったそうです。その時、ノーベル平和賞を受賞したアリアス元大統領と会見した時の様子を書いています。
アリアス元大統領との対話です。
「軍隊なしで不安はないの?」
「ありません」
「え!本当にですか?」
「ないものは出せません。こちらから、どこかの国を攻撃することは絶対にありえないんだから、やられる心配もない」
「日本では、備えあれば憂いなし、と言うけれど」
「そりゃ逆でないですか。備えがあれば相手もムキになり、共に憂いが生じてエスカレートするんですよ」
「つまり、武力が仮想敵国をつくる、と」
「ええ、他国に何の脅威もあたえないバナナとカカオくらいの小国に、殴り込みをかけに来る国はないし、そんなこと国際社会が認めませんからね」
そして今日の記事です。
「武器が使われなくても、持つだけで人間が人間でなくなって行くのです。軍事費の増強は最悪の選択です」
と明言しました。
翻って、我が国の現状です。
安倍自公政権は、2018年度の防衛費予算案を5兆1911億円と決めました。6年連続の増額で過去最大だそうです。アメリカの言い値で最新武器を購入するのですからいくら予算があっても足りないのでしょう。その一方で福祉、医療などの予算は削られ、やがて消費税も10%に上げると言っています。
コスタリカのアリアス元大統領のことば、憲法9条を持つ日本で軍事費が過去最高、この現実にどう向き合うか、誰もがもっと関心を持って考えるべきだと思います。
年が明ければ、2018年度予算の国会審議が始まります。審議の成り行きを見守り、戦争につながるような予算の使い方に私は反対してゆきたいです。