今日、テレビを見ていたら「千の風になって」の訳詞と作曲をした 新井満さんが75歳で亡くなられたと報じられました。私たちのうたごえ喫茶でも何回も歌われた曲です。
この曲が生まれた経緯を新井さん自身が書いています。おけら歌集からの引用ですが、曲を聴きながら読んでください。新井さんのご冥福を祈りながら・・・。
千の風になって 歌:秋川雅史
私のふるさとは新潟市です。この町で弁護士をしている川上耕君は、私のおさななじみです。彼の家には奥さんの桂子さんと三人の子供たちがいて、とても明るく幸せな家族生活を営んでいました。
ところがある日、桂子さんはガンにかかり、あっというまになくなってしまいました。
後に残された川上君と子供たち三人のおどろきと悲しみは尋常ではありません。絶望のどん底に蹴落とされたのも同然です。なぐさめの言葉を言う以外、私にできることはありませんでした。
しかし、そんなものが何の役に立つはずもありません。桂子さんは、地域に足をつけた地道な社会貢献活動を行う人でもありました。たくさんの仲間たち が協力して追悼文集を出すことになりました。「千の風になって-川上桂子さんに寄せて-」という文集です。
文集の中で、ある人が「千の風」の翻訳詩を紹介していました。私は一読して心底から感動しました。<よし、これを歌にしてみよう。そうすれば、川上君や子供たちや、あとに残された多くの仲間たちの心をほんの少しくらいはいやすことができるのではなかろうか……>そう思ったのです。
何ヶ月もかけて原詩となる英語詩をさがし出しました。それを翻訳して私流の日本語訳詩を作りました。それに曲をつけて歌唱したのが、この度の「千の風になって」という歌です。
私家版のCDを数枚だけプレスし、そのうちの一枚を川上君のところに送りました。
CDは桂子さんを偲ぶ会で披露されました。集まった人々は一様に涙を禁じ得なかったそうです。そして泣きながらこの歌を歌ってくれたのだそうです。