マネジャーの実像 管理職はなぜ仕事に追われているのか?
ヘンリー・ミンツバーク著
日経BP社 2,940円
現場で管理職として活動されている方にとって、本当に癒しとなる一冊です。
現場至上主義のミンツバーグ博士が名著「マネジャーの仕事」から36年ぶりに執筆した一冊。
29名のマネジャーに調査をかけ、さらなるバージョンアップをしています。
情報、人間、行動ほベースとしたマネジャーモデルは、管理職を経験した方なら、思わず納得する汎用モデル。
仕事の中で、このモデルを見ながら内省すれば、プレッシャーやストレスからも解消されそうです。
マネジメントと言えば、すぐにPDSやPDCAというマネジメントサイクルを持ち出す人、マネジメントを管理と訳する人、マネジメントをリーダーシップや意思決定ととらえる人・・・さまざまです。
マネジャーをやっていると、現場の中でマネジメント理論どおりに進めることは、ごく稀。
実際、トラブル処理や窮地を乗り切るといった泥臭い生々しい話がほとんどだと思います。
カールソン博士の指摘した「マネジメントは応用科学というよりは、実践の職人芸」という切り口には思わず膝を叩きます。
前著の「MBAが会社を滅ぼす」で指摘した頭でっかちの理屈屋さんには、人間の機微、喜怒哀楽に鈍感で、人や集団は動かすことができないと思います。
ビジネスの現場でキッタハッタをしていない学者や理論家には、マネジメントを語れない!
まさにヴィットゲンシュタインの「語れない」世界なのです。
ビジネス現場のバタバタを乗り切る技、気力、気合い、根性・・・。
今、マネジャーに求められているのは、ミンツバーグ博士の言う「自然なマネジメント」だと思った一冊でした。