「能率を追及すると、忙しい人生になりますね。もっとのんびりしたいものてすね。」
クライアントから指摘されました。
「能率とは、目的と手段のバランスがとれていることですが、実は、能率を追及すると逆にスローで余裕のある人生を送ることができるのです。」と私。
能率への大きな誤解の一つが、労働強化、ムリ・ムダ・ムラの徹底排除などのノルマ強制による人間への圧迫。
これは、20世紀初頭、科学的管理法を主張したF.W.テイラーに対して労働者や労働組合などから非難を受けたことと同根です。
能率で産み出された成果である時間、モノ、カネは、別のことに再投資されるべきなのです。
「能率の父」上野陽一は、日本で最初の経営コンサルティングの現場である小林商店(現ライオン株式会社)の能率の指導を行いました。
ここで産み出された改善成果により、上野は経営者と協議の上、工場労働者に対し午前午後の2回15分間の休憩時間を設定し、従業員より大変喜ばれたということです。
また、上野の指導した中山太陽堂では改善により産み出された成果をベースにして化粧品の増量を行いました。
これにより販売促進につながるという結果を残しました。
上野陽一は、能率の成果が、経営・従業員・消費者に還元されるべきことを一貫して主張し続けたのです。
つまり、能率を増進し、産み出された成果は、趣味や仕事や家族サービス等に再投資し、より充実した人生にすることができるのです。
2時間でやっていたことを1時間でやるよう創意工夫努力する、1万円かかっていた経費を半分にし、その差額を世のため人のために使う・・・。
まさに、能率とワークライフバランスは繋がっているのです。
しかしながら、最近のワークライフバランス論は、休むこと、労働時間短縮だけにスポットライトが当たっています。
能率追及による生産性の向上がなければ、WLBは怠惰やサボリになりかねないのです。