能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

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老後の不安・・・金融庁の2000万円老後資金必要説や公的年金、雇用保険の未来・・・みんなみんな老後への不安を抱えています

2022年01月22日 | 社会・経済

最近、友人や経営者から年金や定年退職後、引退後の相談を受ける機会が増えてきました。

「人事部の人に相談してみてよ」などと無責任なことも言えないので、時間があれば、出来るだけ分かりやすく説明するようにしています。

この主因は、年金の受給が、原則65歳になったということ。

高齢者雇用安定法の施行により、多くの会社が、60歳定年、65歳まで契約社員や再雇用、嘱託として働くというパターンが多いので、60歳到達後の5年間をどう暮らしていくか?という不安を抱えている人が、とても多いように思います。

みんなみんな老後への不安を抱えているわけです。

その際に、お話するので「身体とアタマが動く限り、出来るだけ長く働くようにすること」と助言します。

が、「もうサラリーマンには疲れた」「脱・社畜」「長年働いたから、のんびりと好きなことをしたい」「あと懲役5年かあ~」など・・・かなりネガティブな答が帰ってきます(笑)。

老後の生活に頼りにしているのは公的年金・・・という人が8割いるそうです。

公的年金が潰れたりなくなったりするということはないものの、給付額は確実に減少していくと思います。

マクロ経済スライドが実施されると賃上げや物価の上昇を上回らないようにするわけですから、年金の実質的な給付額は低くなります。

年金が賦課方式・・・働く人が支払う保険料を高齢者に再配分するという仕組みをとる以上、少子高齢化が進む限り、いずれ限界を迎えます。

「胴上げ型」から「騎馬戦型」、そして「肩車型」へと移行しつつある今、若者への負担は確実に増えていきます。

現在の年金法の原型が出来た頃の日本人の平均寿命は、55歳ちょっと。

長生きすれば、お祝いとして60歳以降、年金をあげましょうという図式でした。

サザエさんの波平さんは54歳だそうです。

当時は、55歳定年、もうすぐ定年で隠居という設定なのでしょう。

現在の日本人の平均寿命は、ほとんど90歳に届こうとしているので、立法の理屈として、年金支給が80歳や85歳でも良いとも言えます。

 

旧法でもらえるはずだった60歳から65歳の部分年金(在職老齢年金)の給付額合計は、600万円~700万円といったところだと思います。

昭和36年4月2日以降に生まれた人(女性は5年遅れ)は、これが直撃。

前回の年金法改正で、「なし」ということになったのですが、従順な日本国民は何事もなかったように政府を信頼し、従います。

これが、スペインやギリシャだったら、大暴動が起こったことでしょう。

車をひっくり返して火をつけたり、警官隊が出動して催涙弾を打ったり・・・。

たいへんな事態になっていたと思います。

さすがは日本人・・・民度が高いです。

ちょっと横道にそれてしまいました。

 

60歳以降に悩むのが、老齢年金だけではなく、雇用保険の給付や健康保険なども複雑に絡み合ってくるということ。

そして、大原則は、

1.在職老齢年金(特別支給の老齢年金)と雇用保険の基本手当(失業保険)は同時にもらえないということと、

2.一定以上の賃金をもらっていると年金が制限されるということ。

 

雇用保険では、60歳以降の賃金が75%未満に低下した場合、その低下した額の一部を補てんする給付があります。

高年齢雇用継続基本給付金です。

最大15%が雇用保険から給付されますが、月給(ボーナス含む)が約35万円を超えると1円も出ないことになります。

賃金をもらいながら、高年齢雇用継続基本給付金も受給しようとすると、月給27万円位がギリギリのラインとなります。

月給27万円で高年齢雇用継続基本給付金4万5000円が給付され、計31万5000円の収入となります。

この月給27万円には、年間のボーナス・賞与を各月にならしたものですので注意が必要です。

60歳以降も夫婦で余裕のある生活を送ろうと思うと、月35万円~38万円必要だと言われています。

であれば、正社員でも契約社員でも嘱託社員といった雇用形態を問わず、1円でも高い給与をゲットすること。

これが一番です。

ただ、健康問題や働くモチベーションの低下や個人的な事情がある人には、仕事バリバリ派は難しいので、雇用保険や年金をフルに活用してはどうかと助言しています。

出来るだけ頑張って、在職老齢年金(部分年金)がもらえる年齢まで働くこと。

その場合、高年齢雇用継続基本給付金が給付される月給27万円ゾーンを考慮すること。

また、年金との絡みで言えば、在職老齢年金と月給(賞与含む)が28万円を超えると年金の支給制限がかかるので、賃金額に注意すること(28万円という金額は2022年4月から47万円まで引き上げられます)。

 

さらには、失業するのを、65歳の誕生日の2日前のタイミングにすれば、失業給付が50日分が150日分になるといった裏技なども考慮すべきでしょう。

ただ、労働契約は、会社(人事部)の決めが大きく影響するので、交渉して賃金額や雇用期間を細かく詰めていくのは難しいように思います。

 

コロナによる雇調金の出動で雇用保険の財源も火の車・・・雇用保険料の引き上げは避けられないと思います。

公的年金も人口減少、少子高齢化で次第に給付額が減少していくことになるでしょう。

この国難を、国民みんなでシェアしていかなければなりません。

個人的には、身体とアタマが動く限り、雇用保険や年金には頼らず、出来るだけ長く働くことが出来ればいいなあ・・・と考えています。


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