能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

山口周さんの新刊本「思考のキャンパス ノーマルなき世界を生きるヒント」withコロナの時代必須のリベラルアーツ

2021年11月01日 | 本と雑誌

大好きな山口周さんの新刊新書が出版されました。

新刊本といっても、7人の日本の知識人との対談本です。

Business Insider Japanの連載を新書化したもので、内容は少し難解ですが気軽に読むことができます。

思考のキャンパス ノーマルなき世界を生きるヒント

山口周著  PHPビジネス新書 890円+税

 

面白かったのが、「はじめに」で山口さんの現状認識を3つのキーワードにまとめていること。

ここだけでも読む価値があります。

1.仮想空間へのシフト

2.反都市化への反転

3.ライフスタイルの多様化、複層化

新型コロナウィルスの出現により大きく変化した人々の生活、仕事。

今まで無理と言われていたテレワーク、リモートワークが普及し、人々は東京を脱出し始める・・・。

デジタルの進展で、サラリーパースン、毎日満員電車に揺られて長時間通勤する社畜も、どこに住むのも自由な時代になったと言えます。

 

著者は、「ニューノーマル=新しい普通」ではなく「ノーマル=普通が溶解してしまった世界」と喝破します。

「フツー」が大好きな日本人とって、自分の軸を持つことの大切さが問われる時代になったと言えそうです。

サルトルが言った「人間は自由の刑に処せられている」時代に再び戻ったのではないか?と思います。

キルケゴール、ハイデガーといった実存主義がスポットライトを再び浴びるのではないでしょうか。

 

目次

第1章 北野唯我「夢中になれる仕事を見つけられない日本の社会システムとは?」

・自分の感性をどうやって資本市場の中で武器に変えるか?

・都市とは、しょせんバーチャルな存在でしかない

・ワビサビはカッコいい

 

第2章 近内悠太「資本主義はもうだめだ、では社会は変わらない。すき間を埋める言葉を」

・世界は「贈与」でできている

・資本主義のすき間を埋める

 

第3章 養老孟司「五感から情報化するために人間はノイズを求める」

 

第4章 小川さやか「タンザニア商人に学ぶ制度や組織に頼らない生き方」

 

第5章 高橋祥子「生物的な仕組の理解なしに資本主義は成り立たない」

・利己的な欲求に突き進むと神の手は働かない

・進化の過程で不要な機能は排除されていく

・ランダムに起こるエラーが進化をもたらす

・やりたいことが分からない人は、想像できない環境に身を置けばいい

 

第6章 井上智洋「毎月7万円のベーシックインカムが日本の閉塞感を打ち破る」

 

第7章 広井良典「ゆるやかに今を楽しむライフスタイルが徐々に広がっていく」

北野唯我さん、近内悠太さん、広井良典さんとの対談が興味深い内容です。

生命科学者の高橋祥子さんの生命科学的思考もビジネスに役立ちそうです。

著者は語りかけます。

旅行者(トラベラー)が頼る地図ではなく、探検者(エクスプローラー)が頼るコンパスだが必要だ!

そのとおりだと思います。

現代のコンパスとは、リベラルアーツと読み替えてもよいと思います。

読書の秋・・・新たな気づき、切り口をもらえる一冊でした。

お薦めの一冊です。


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