先月、ユーチューブでお元気なお姿を拝見したばかりでした。
お弟子さんの米倉誠一郎名誉教授との対談でした。
突然の訃報に驚きました。
一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生・・・享年89歳。
ご冥福をお祈りいたします。
野中先生は、「知識創造企業」「SECIモデル」というコンセプトを創造した世界的な経営学者。
「暗黙知」という言葉も広まりました。
先の大戦の日本軍の戦いを分析した名著「失敗の本質」はロングセラーになっています。
日本のドラッカー博士のような存在。
実務家であり、学者。
知行合一。
大学を出たあと富士電機でのサラリーマン経験というものが、現場視点を形作っていったのではないかと思っています。
富士電機から米国の経営大学院に留学。
カリフォルニア大学バークレー校MBA・・・元祖・米国MBA(経営学修士)。
(野中先生の若き日・・・大好きな写真です)
野中博士が、日本で初めてイノベーションの研究を始めた経営学者、それはまさに日本の経営学の歴史でした。
・当初は、情報処理モデル、コンティンジェンシー論から入る。
・そこで、情報の意味づけや価値づけの問題が出でくる。
・情報自体は、ある意味無味乾燥なもの。人間の温かみはない。
・革新の元は、人間の「思い」である。
・万事、人に何かをやりたいという思いがあってやり続けているうちに、概念や理論が徐々にできていく。
・そうした対象を理論化するには、「知」の問題を掘り下げなければいけない。
・知の本質を取り上げてきた学問は、哲学だ。30歳になって哲学を学び直した。
そして、晩年期には、「フロネシス(賢慮)」のコンセプトを提唱されていました。
まさに哲学の世界です。
そして、野中先生は言います。
人間は、未来に意味をつくる存在
人は、思いを実現していく存在
見事なコンセプトだと思います。
野中先生のご冥福をお祈りいたします。合掌