一倉定(いちくら・さだむ/1918年生~1999年没)・・・伝説の経営コンサルタントです。
中小企業一万社の会社を経営指導、社長を怒鳴りつけたり、無視したりと、その厳しい指導から、「鬼倉」と呼ばれていたそうです。
若き日に勤めていた会社が4社潰れるという経験から、会社をつぶさないための研究を続け、45歳で経営コンサルタントとして独立。
「きれい事のマネシメント論」を嫌い、「現実に役立たない理論遊戯」と喝破します。
マネジメントへの挑戦 復刻版
一倉定著 日経BP社刊 1800円+税
昭和40年に出されたこの本。
意外にも泥臭くないマネジメント本です。
ドラッカーの著作「現代の経営」やデール・カーネギーからの引用があったり、田辺昇一さんを尊敬しているフレーズが出てきたり、様々な発見がありました。
目次
1章 計画は本来机上論である
2章 実施は決意に基づく行動
3章 統制とは目標を達成しようとする執念
4章 組織は目標達成のためのチームワーク
5章 有能な経営担当者への道
6章 お金(財務)に強くなる法
7章 時代遅れの教育訓練
8章 破産しかかっている人間関係論
9章 労務管理の基礎は賃金
特に、ひっかかったのが7章の「時代遅れの教育訓練」。
辛口です。
・知識に偏り過ぎた教育
・理想像のみ教えるのは危険
・最上の教育は経営者の方針
・行動させることが最上の教育
確かに、そのとおりです。
原理原則は、半世紀以上たった今でも変わらないと思います。
最後には、一倉定さんの次男が登場、オヤジを語ります。
これも、なかなか素敵な文章です。
一倉定の基本は、次の言葉でまとめられるのではないかと思いました。
経営は、甘っちょろいものではない!行動!行動!行動!
個人的には、MBAとパワポとコンプライアンスが日本の会社を弱くしたと思っています。
失われた30年・・・アングロサクソンの陰謀でニッポンの会社は、すっかり元気がなくなりました。
検証されていない横文字コンセプトやフレームワーク、きれい綺麗なスライド、文書至上主義で誰も読まない書類を作るコンプラ・・・。
生産性、能率がどんどん低下、国際的な競争力が低下していきました。
理屈と文書で、PDCAのうち、PLANを立てるが、その次のDOの「D」をやったところで・・・フェードアウトしていく。
CHECKとACTIONがないまま、うまく行かないので、また(NEXT)PLANを立てる・・・。
そして、同じことを繰り返す・・・。
これが、「失われた30年間」の元凶だと思います。
一倉先生だったら、激怒ものでしょう。
「執行力」「現場力」「行動力」・・・。
ナイキのコピーではありませんが、今必要なのは、「JUST DO IT!(ゴチャゴチャ言わずに、いいから、やれ!)」です。
「鬼」倉先生の渾身の一冊・・・読めば読むほど、身が引き締まる一冊でした。