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生物に学ぶ敗者の進化論 追いやられ逃げ続けたから生き残れた 静岡大学農学部教授が解説する38億年の生物の大逆転の歴史

2023年01月12日 | 本と雑誌

学生時代、ダーウィンの進化論の授業を受けた時に教わりました。

「強い者が生き残るのではない。賢いものが生き残るのではない。環境に適応できた者が生き残るのだ。」

ダーウィンの進化論は、経営学やマネジメント論に通じるところもあり、気になるキーワードの一つです。

自然科学の本で久々に面白い本に出会いました。

生物に学ぶ敗者の進化論 「性」の発明が「死」を生んだ

稲垣栄洋著  PHP文庫  780円+税

 

著者は、静岡大学農学部教授。植物学、生物学を専門としている農学博士です。

著者は言います。

「追いやられ逃げ続けたから生き残れた」

「結局、敗者が生き残る」

38億年の生命の進化のベースは、端っこに追いやられた弱者から起こったと喝破します。

目次

22億年前 競争から共生へ

10~6億年前 単細胞のチームビルディング

10億年前 死の発明

7億年前 逆境の後の飛躍

5億年前 乾いた大地への挑戦

1億年前 そして、恐竜き滅んだ

2600万年前 サルのはじまり

400万年前 ホモサピエンスは弱かった

 

「死」というシステムは「性」という発明によって導き出されたものなのだ。

 

生命の歴史を振り返ってみれば、進化を作り出してきたものは、追いやられ、迫害された弱者たちであった。

新しい時代は、常に敗者によって作られるのである。

 

著者の切り口には、ハッとさせられる点が多々あります。

地球が誕生して46億年、その12年億年後に地球上に「生命」が誕生します。

その生命の進化という壮大なストーリーを俯瞰できる同書は、視野を広げ、新たな視座を与えてくれます。

 

同書のクライマックスき、最終章の「進化が導き出した答え」。

 

すべての生物がナンバー1である ナンバー2は滅びる・・・自然界の鉄則

ニッチ(生態的地位)は小さいほうが良い

「争う」より「ずらす」・・・棲み分けの理屈

多様性が大切

危機の後には、必ず好機が訪れる

 

自然科学のジャンルながら、哲学的な問い。

新たな気づきが生まれます。

ぜひ一読いただきたい一冊です。

そして、著者は最後にこう締めくくります。

「もう38億年も、私たちは生き続けてきたのだ」。


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