仕事をしていて、ちょっと違和感あるなあと思いながら、大勢に流されて、ついつい使ってしまう言葉があります。
「自己啓発」「リーダーシップ」「人財」「リスキリング」「心理的安全性」・・・。
組織や会社にはもう余裕がない・・・だからこれからは、あなたの自己責任で能力開発してくださいね。
成果を出せば、ちゃんと処遇しますから・・・という経営の理屈が透けて見えます。
上から目線、労働力を搾取する側の言葉というニュアンスがあるからなのでしょうか?
書店で見つけた一冊の本。
タイトルがとても気になり購入しました。
うさんくさい「啓発」の言葉 人「財」って誰のことですか?
神戸郁人著 朝日選書 870円+税
著者は、共同通信社の記者。
同書では、自分自身の学生時代やアルバイト時代の困ったコミュニケーション体験などを交えた事例を織り交ぜながら進んでいきます。
「人材」ではなくて「人財」
「頑張る」が「顔晴る」に
「仕事」が「志事」に
「企業」から「輝業」に
「最高」から「最幸」に・・・
新語や造語は、なぜ生まれてくるのか?を著者は解き明かしていきます。
雇用者や資本家により体よく労働力を搾取する言葉ではないのか?という命題の答えを探索していきます。
一見、魅力的な造語も、その背景をよく考えるべし、と指摘します。
そのとおりだと思います。
堤美果さんや三木那由他さんなど7人の専門家、学者へのインタビューが取り上げられています。
新たな気づきを与えてくれる一冊です。
哲学者ヴィトゲンシュタインの言語ゲームの現代版と言った感じでしょうか?
今一度、立ち止まって考える際に、役立つ一冊だと思います。
同書の帯、著者の「啓発ことば」についてのメッセージが出ています。
「やってる感の演出」
「言葉遊びの先にある罠」
「意識高めの語句に惑わされてはいけない!」