ココ・シャネル・・・パリのファッション・リーダーとして普遍的な美を創造したデザイナーであり、ビジネスウーマン。
今でも、伝記や映画としてたくさんの作品を見ることが出来ます。
ココ・シャネルという生き方
山口路子著 新人物文庫刊 667円+税
書棚の奥から出てきた一冊・・・改めて読み直してみました。
奥付は2009年。
シャネル研究家である山口路子さんが書かれた一冊です。
著者は世界史講師やアートサロン経営などを経て2001年に軽井沢に移住。
シャネル的な生き方をされている女性だと思います。
同書では、序章「なぜ、彼女はウェディングドレスを拒んだのか?」というテーゼを投げかけ、終章でその答えを示しています。
ココ・シャネルは、1883年8月19日、フランスの田舎ソーミュールに誕生。
父親が働かないといった複雑な家庭環境のため、12歳で孤児院にあずけられます。
自由、自立を求めて、シャネルは立ち上がります。
華やかな成功、恋多き女・・・。
そして、1971年1月10日、パリのホテルリッツの一室で亡くなります。
享年87歳・・・仕事と恋愛に生きた恋多き女性でした。
シャネルが求めたのは「エレガンス」。
自分が着たい服がない・・・だから自分が創るというのが基本スタンス。
シャネルスーツ、マリンルック、ツィード、アクセサリー、リップスティック、ショルダーバッグ・・・彼女が初めて世の送り出し、女性たちの支持を集めたものです。
モードではなく、スタイルを創ることがシャネルの信条でした。
彼女は生涯結婚することはありませんでしたが、いつも一流の男たちに取り囲まれていました。
イギリス貴族、詩人、作家、音楽家・・・。
愛する男たちの着ている服を羽織ってみて、そこから新たなファッションスタイルを作り出すことが多々ありました。
同書では、シャネルの遺した言葉が散りばめられています。
強い女、傲慢・・・晩年は批判的な言葉にさらされたシャネルでした。
本名はガブリエル。
若き日にカフェでサブの歌手として歌っていた時の持ち歌「トロカデロでココを見たのは誰?」。
この歌は当時バリで流行っており、ココは歌の中に出てくる犬の名前。
カフェに来るオジサンたちの掛け声・・・ここから「ココ」と呼ばれるようになったそうです。
25歳でパリに出てきて、最初に起業したのは帽子店でした。
そこから、ワークライフバランスならぬワークワークアンバランスで世界の頂点に駆け上がっていきます。
著者は、分かりやすい短いフレーズでシャネルの遺したコンセプトをまとめています。
今に生きる女性たちへのメッセージになると思います。
真似される女になる
恋愛のあとは友情を残す
自分の実力は自分で確かめる
「あたしは違う」と信じ続ける
仕事には、お金よりずっと強い味わいがある
欠点を強調して個性とする
あたしは人を判断するのに、お金の使い方で見分けることにしている
お金は効果的に、かつ上品に使う
人との距離を保つ
好きな人だけと遊ぶ
コピーされることは賞賛と愛を受け取ること
結婚に依存する女に未来はない
甘えられる男には思いっきり甘える
生きている実感を手に入れる
あたしはシャネルスーツを2着持っている。この2着であたしはいつもちゃんとした格好をしていられる。これがシャネルというものだ
あたしは、何より、嫌いなものを作らない
つねに除去すること。つけたしは絶対にいけない
自分自身のスタイルを持つ
愛されなさい。本来女は男に愛されてこそ幸せなのだ。男に愛されない女など何の価値もない。老若にかかわらず、女の幸せは愛されることであり、愛さなければ終わり。
化粧は、他の人のためにするのではなく、自分のため
仕事のためには、すべてを犠牲にした。恋でさえ犠牲にした
かけがえのない人間であるためには、人と違っていなければならない
規格品の人生を歩んではいけない
ココ・シャネル70歳。
パリではシャネルの名前が消え去りそうになっていました。
ディオールをはじめとする新興勢力がモードの先端に躍り出ていました。
シャネルは、再び挑戦します。
パリでの新作発表はマスコミから酷評されたものの、海の向こう米国で高い評価を得て、シャネルは復活します。
そして、シャネルは87歳まで働き続けます。
「なぜ、彼女はウェディングドレスを拒んだのか?」という問い。
生涯、一流の男たちに取り囲まれながら一度も結婚しなかったココ・シャネル。
シャネルコレクションにウェディングドレスはなかったそうです。
著者は、言います。
シャネルは「仕事」と「結婚」した。
そのシンボルが、シャネルスーツだと。
なるほど、疑問が氷解しました。
仕事に生きる!というシャネルの生き様は、とても刺激的で素敵だと思います。
シャネルの仕事グッズがあれば、お守りがわりに持ちたいなあと思った一冊でした。